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第1話:はじめましての泉

まほうの泉から、ぽこん、と二つの泡がはじけました。


「……ふぁ。よく寝たねぇ」


「うん。……ねえ、キミ、だれ?」


白い毛並みの「ぽこ」と、青い帽子の「くう」が顔を見合わせました。


彼らの背後には、天を突く「銀の牙」がそびえ、足元にはかつて誰かの生活だったガレキが、お菓子の屑のように散らばっています。


「わかんない。でも、キミ、とってもいい匂いがするよ」


「ふふふ。キミもだよ。お日様と、少しだけ焦げたパンの匂い」


二人はお互いのマフラーを直しあいました。


昨日までどんな地獄を見て、何度命を落としたか。泉の底に沈んだ「記憶の澱」だけが知っていますが、彼らの心は、洗い立てのシーツのように真っ白でした。


「ねえ、あっちに『光る川』があるよ。行ってみようよ」


「うん! 冒険だね、くう」


ぽこが先に立って歩き出します。


足元で、かつて誰かの宝物だった「壊れた時計」がパキリと鳴りました。二人はそれを「綺麗な音の鳴る石ころ」だと思って、大切にポシェットにしまいました。


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