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転々転生  作者: まつり
タナと1000人の悪霊

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幽霊屋敷

2章はじめます。

「さて、我が家へと向かおうか。」


サシュマさん、もといお父さんへそう促されて部屋を出ると、ここは屋敷とは別の家だった。

後で知ったのだけれど、今まで僕ら居たのはこの家への来客が多くって、内密な話や貴人も多いので来客用に別に建てた物なんだって。


外に出ると、右手に屋敷があり、それ以外の敷地には草原が広がる。

その中にポツンと墨を垂らしたように石碑が置いてあった。


あ、あれ、僕が鑑定して死んだやつか。

違うか、横にいた女の子を鑑定しちゃったから死んだんだっけ。


あの女の子が一体何だったのか分からないけれど、神様の目を借りたから見られたらしいから、もう会うことは無いんだろう。


「なぁ、ラルフ、私の事はお父さんと呼ぶので問題はないと思うが、一応きちんと伝えておくとだな…。


面倒が多そうなので、これからは対外的にはジェマと名乗る事にする。

サシュマの息子で、ラルフの父、そういう立場の人間だと言う事にな。」


うん、何となく言ってたよね。

でも家族とか納得するかな?

家族が若返るとか意味不明で、大事件だと思うんだけど。


「まあ、私の家族なら大丈夫だ。」


なにやら自信満々のパパン。

絆け?絆を信じているんけ?


「息子のフリをして驚かせてやろう。」


なるほど、イタズラがしたいのか。

ヤンチャな爺さんだ。


改めて屋敷の入り口へと向かうと、そこには玄関掃除をしている女の人が居た。

眼鏡姿で、一つにまとめられた茶色い髪はよく手入れをされており身なりの良さを感じる。


仕事中という事もあるのだろう、袖が絞れた動きやすそうな服装をしており、その上から飾り気のないエプロンを下げている為か洒落っ気は感じない。


見覚えのある人だ。

あれだ、お父さんと城門に居て、鳥の召喚獣を出した人。

羨ましい。

召喚獣がいるなんて。

名前はたしか…。


そんな事を考えていると、女性は掃除を中断してエプロンの裾を正し、こちらへやって来た。


「…ん?あら、先生?早いのね。

あらあらあらあら、どうしました、お若くなって、また変な古代魔法でも試したんでしょ。」


イタズラ失敗。

すぐに正体がバレたね、パパン。

っていうか、変な姿になるのが初めてじゃない言い方されてるよ?


「…何故すぐに私だと分かった。」


「あはは、何言ってるんですか。


変な法具を弄って一晩で髪の毛が真っ白になったり、目の色が緑になったり今までもあったじゃないですか。


若返ったくらいで今更驚かないです。


…羨ましいですけどね。


それより、その子はどちらから攫って来たんです?

また魔法を教えてやるとか言って連れて来たんでしょ!

親御さんが心配する前に帰してください。」


おぉ、このヘンテコな状況に慣れすぎている。

僕はしっかりした人だと勝手に思っていたけれど、さてはお父さん。

職人タイプの、やり始めると他のことは視野が狭くなるタイプだな?


なんで分かるのかって?

前世の僕もそうだったからだよ。


「この子の前で事情を話すのは憚られるのでな、後で話すが、身寄りのない子だ。

私の養子にしようと思う。」


「本当に?才能のある子供を拐って来たんじゃなくてですか?」


なんか疑われてる…。

そういえば、カルさんが野生の教え魔人って言ってたっけ。


あぁ、身に積まされるよ、僕ら研究者や職人は一旦夢中になると本当にダメなんだ。

時間感覚とか、相手の都合とかを忘れてしまう生物で、それが指導だとしてもそうなんだ。

ノッたら突き進んでしまうんだ…。


同じタイプの生き物だって分かったし、尚更助け舟を出さねば。


「僕、ラルフ、親、いない。」


ララさんは一瞬ピエって顔をしたけれど、すぐに持ち直し、何故か飴をくれた。

何かを飲み込んだ所を見ると、優しい人なのだろう。


「何故信じられないのか分からんが、ラルフの言った通りだ。

細かい事情は後で説明するから、な?


さて、他の家族も紹介しよう。

シーとルーベンスは…部屋だな?いつも通りに。


ぺぺはこの時間買い出しか?

では…まず書類を整えたいのでな、ルーベンスの元へと向かおうか。


ん?ラルフ、石碑が気になるのか?」


僕がどこかを見ている事に気がついたお父さんが、そう問いかける。

確かに僕は石碑の方に目を向けているが、石碑を見ている訳では無い。

しかし、それを知らないお父さんの説明は続く。


「この地は昔にな、防衛線を張っていた地域なのだ。

だから人が沢山亡くなったのも事実。

その慰霊碑として建てたのが、あの石碑なのだ。

ここを王からいただく際には、呪われた土地だとか言う輩も居たが、馬鹿馬鹿しい。


ここは国を守る英傑達、英雄達が眠る場所なのだ。


故に呪われるなどと言う方がおかしい、同じ国を愛する我らを呪うわけなどあるわけがなかろう。」


それは確かにそう思いたいけれど、僕はちょっと受け入れられない。

間違い無く呪われていると思うよ。


『こんにちは!私はタナ!

あなた、ラルフって言うのね!


…見えてるよね…?

じゃあ、あとで、あそびましょ。』


だって透けてる女の子がいるもの。

話しかけて来ているもの。

まるで怪談の様な誘い方してきているもの!


おいおい…神様……見ちゃいけないし、見えないんじゃ無かったのかよ…。


『屋敷へ、ようこそ。』


ここはシャイニングのホテルか何か?

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