見知らぬ草原Ⅱ「図々しいにも程がある。」
前回の選択
『F:空に向かって「異世界転生ボーナスをよこせ!」と叫ぶ。』
……せっかく異世界に来たんだ。
テンプレ展開。剣と魔法。魔物。そしてレベルアップ。
悪くない。実に悪くない。
ただ、一つだけ不満がある。
そう、特典だ。
異世界転生といえば、チート能力。伝説の武器。あるいは、なんかこう、世界を救えそうなすごい力。
そういうものがあって然るべきだろう。
……ないなら、交渉するしかない。
「おーい! 聞こえてるかー! 異世界転生ボーナスをよこせー!」
青空に向かって、遠慮なく叫んだ。
すると。
『……はぁぁ?』
頭の中に、やけに不機嫌そうな女性の声が響く。
『ちょっと、ちょっとちょっと!? あんた、いきなり何様のつもりなのよ!?』
「おっ、聞こえた。いやー、待ってたんだよ。ほら、転生特典。チートなスキルとか、伝説の武器とか、そういうやつ。できれば両方な!」
『はぁ? ……そんなものないんだけど?』
「えっ、くれないの?」
『あげないわよ!!』
「いやいや、そこを何とかするのが女神様の仕事だろ? ほら、俺だって右も左もわからない異世界に放り出されたわけだし。せめて初心者応援セットくらいあってもいいんじゃないか?」
『初心者応援セットって何よ!? ゲームじゃないのよ、こっちは!』
「えっ、違うの?」
『違うわよ!!』
「じゃあ、せめてスキルを一つ! いや、できれば三つくらい!」
『なんで交渉するたびに増えるのよ!?』
「いや、一つだと心もとないだろ?」
『最初から一つもあげるなんて言ってないでしょうが!』
頭の中で、女神がわめいている。
『大体ねえ! あんた、自分がどれだけ恵まれてると思ってるの!? ちゃんと能力もあるし、所持金だってあるでしょう!? それ以上、何を望むっていうのよ!』
「いや、まあ……できれば、もう少し強い能力と、もう少し多い所持金があれば助かるかなって」
『欲張りすぎでしょう!!』
「じゃあ、武器と防具は自分で何とかするから、スキルをもう一つ追加で」
『それで、譲歩したつもりなの!? 言っておくけど、何もあげないからね!!』
……もう少し粘ってみようか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━【ステータス】━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■基本情報
名前:未設定
種族:ただの人間
職業:無職
レベル:1
経験値:0 / 10
■能力値
HP:100 / 100
MP:50 / 50
攻撃力:10
防御力:10
魔力:10
敏捷:10
運:10
■スキル
『斬撃Lv.1』
■装備
武器:なし
頭:なし
胴:なし
腕:なし
脚:なし
装飾品:なし
■所持品
古びた布袋
■所持金
100G
■状態
通常
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【どうする?】
A: 「まあまあ、落ち着いて。お願いを一つだけでいいから」と下手に出る。
B: 「そもそも、記憶を失ってるんだぞ!」と正当性を主張する。
C: 「ほかの転生者にはチート能力を与えてるんだろ?」と追及する。
D: 「そんなこともできないのか?」と煽る。
E: 「分かった。もういい」と潔く引き下がる。
F: 「女神ィィーッ 君がッ チートをくれるまでッ 叫ぶのをやめないッ!」と宣言する。
相手の忍耐力は、すでに限界に近い気がする。
だが、うまくいけば特大の報酬を引き出せるかもしれない。
……たぶん。
難しいなぁー




