殿下とのお茶会②
フィーネが偽の聖女だったと噂された次の日。
アリアンヌは、エドワード殿下とのお茶会のために王城に来ていた。
「エドワード様、御機嫌よう。」
「あぁ、アリー、来てくれてありがとう。」
エドワードはアリアンヌの前に行くと、いきなり頭を下げた。
「今回の件、アリーに不安を与えてしまった。本当に申し訳なかった。」
アリアンヌは、急に謝るエドワードに驚いた模様。
「エドワード様。頭をあげてください。
私なら大丈夫ですよ。噂が流れている間会うことはできませんでしたが、きちんと手紙で状況を共有してくださったでしょう?
あれで私がどれだけ救われたか。おかげで、皆の前で冷静に対処することができましたわ。」
「だとしてもだ。
いくら任務の為だったとしても、噂でアリーを傷つけたのは不本意だった。申し訳ない。」
「もう、大丈夫ですよ。国のためなら私も次期王太子妃として割り切らないといけませんから。
どうしてもまだ謝罪したいのなら、変わりに今回の全貌を教えてもらえませんか?
噂だけが事実ではないのでしょう?」
エドワードは、頭をあげてから椅子に座りなおして、苦笑いをする。
「あぁ。やはりアリーにはバレていたか。その通りだ。」
エドワードは周りの侍従や侍女に下がる合図をしてから話し出す。
「噂というとどこまで知っている?」
「私はフィーネ様を引き取った男爵が、フィーネ様を王妃にするために教会へお金を積み、聖女の称号を与えたという所まで知っておりますわ。」
「なるほど。どこから話そうか…」
エドワードは少し考える素振りをして話をする。
「まず、その噂は正しいよ。ただ、それよりもかなり深い問題も潜んでいたんだ。」
エドワード曰く、男爵と隣国である帝国が手を結んでいて、フィーネは王妃になるためだけでなく、帝国のスパイとしての役割も持っていたとのこと。
フィーネは、聖女の素質である治癒魔法が使える事に加えて、禁忌とされる魅了魔法の使い手だった。
そんな彼女に目をつけたのが男爵だ。男爵は魅力魔法で高位貴族の子息達を魅了し、様々な情報を帝国に流す。その見返りとして、資金援助と万が一国で何かあれば、帝国で高位貴族の席を用意すると言われていたらしい。
実際にフィーネは、高位の貴族達に魅了魔法を使い、情報を取ろうとしていた。だが、まだ子供だったこともあり、本人達は国の重要な情報は持っておらず、被害は出なかったとのこと。
殿下は聖女を当初危険視していたらしく、陛下の命もあって近くにいた。そして、聖女からボロが出る機会を伺っていたらしい。
殿下は魔力量が多い事に加えて、精神系魔法の無効化アイテムを身に付けていたために魅了魔法自体にはかかっていなかったのだと。
男爵の処分は決まったものの、フィーネがどこまでこの計画を知っていたのか分からず、現在は捕虜のまま、教会上層部の処分内容も議論が続いており、中々決まらないらしい。
ちなみに、魅了魔法にかかった殿下の側近候補で高位貴族の子息達は、療養も兼ねての謹慎処分だそうだ。
帝国との関与については、両国の関係にヒビが入る事を恐れ、表沙汰にはせず、警戒を強める方向性らしい。
「なんともまぁ、すごい結末ですね。」
「あぁ、俺も予想以上に事が大きくてびっくりしたよ。
解決したのは、アリーが睨んでくれた事がきっかけなんだけどね。
ありがとう、アリー。」
エドワードの言葉に、アリアンヌは心当たりが無さすぎてキョトンとしてしまった。
「何のことか分かりませんが、どういたしまして?」
エドワードは、アリアンヌの反応にハハッと笑うのであった。
アリアンヌは、そんなエドワードの反応を見てフフッと微笑んだ。
そして、その後は穏やかなお茶会が続いた。
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今日もどこかでアリアンヌが睨む。
その姿は多くの人に恐怖を与えている。
だがその裏では、睨んだ事で誰かが、国が救われている。
果たして今度は、誰が睨まれるのか。
アリアンヌの睨んだ先には、明るい未来が待っている。
これにて完結です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。




