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作戦実行

「準備はいいですか?」


ラークが応援に対して、グッとサムズアップしていると、審判員を務める教師から、始める確認がされた。


「いつでも」

「大丈夫ですよ」


「それでは、竜舞を始めます。両者、ドラゴンを入場させて下さい」


両者の確認が取れると、ジグルド、ザイード、クレディの3人は観客席に戻っていった。それを終えると、2人は自分たちのドラゴンを呼んだ。


「ガラランダ入ってきて」

「グルルゥ」


「ネルトスこっちへ」

「フルゥ」


両者のドラゴンは鼻息荒く、堂々とした立ち姿で入場してきた。


「それでは、どちらかが戦闘不能とみなされた場合、もしくは降参で決着とします―それでは、初め!!」


「グルァ」

「ファア」


その合図と共に、両者は一瞬にして、距離を詰め、お互いの身体がぶつかり合った。

ぶつかっては離れ、ぶつかっては離れ、竜舞場に激しい衝撃が鳴り響いていた。


「行けぇ!ガラランダ」

「押し込めネルトス!」


何度目かのぶつかり合いの末、有鱗種の方が有毛種より防御力が高いおかげか、ネルトスの方がよろめいた。


「よし!このままいけば」


ラークはその隙を見逃さず、この戦いに好機を見いだした。


「く、ブレスだ!」


トーレンも気づいていたようで、立て直すためにネルトスに指示を出した。


「よし、避けれる」


とはいえ、崩れた体制からのブレスは狙いが定まっておらず、ガラランダは余裕を持って避け、ブレスはワンテンポ遅れたガラランダを追うような形になっていた。


「避けるなぁ!!」


そんななかトーレンが叫んだ。今までとは違い妙に耳に残る・・というよりは頭の中に響くような声であった。


ビクッ


ガラランダの身体が一瞬硬直した。


「グゥッ」


その硬直が仇となってしまった。

ガラランダはネルトスのブレスに直撃してしまった。ガラランダは打ち所が悪かったのか、空中から落ちていった。


「ガラランダ!」


ラークの声で朦朧としていた意識を取り戻し、ガラランダは地面すれすれで持ち直した。


「・・・やっぱり使ってきたか。ならばこっちも行くぜ・・ラーク!」

「了解!よし、キュースケ任務開始だ」


観客席にいたジグルドが合図をだすとラークはニヤリと笑い、キュースケに合図をした。


「キュッ」


キュースケが、了解と一声鳴くと、トーレンに向かって走り出し、飛びついた。


「うわっ!!!!!な、なんだこれ、こすぐったい!?アハッ・・い、痛ッ、やめ、やめろ」


キュースケがトーレンの服の中に潜り込み、あちらこちらでもぞもぞと動き回り、ときに噛みつき、ときにこすぐったりしていた。


「ナイス、キュースケ!それじゃあ今度は僕の番だね――ハァ!」


ラークは、かけ声と共に力を使った。


「フアッ!?」


今度はネルトスがビクッと硬直した。


「グラァッ!!」


その隙に、ガラランダが攻撃を開始した。


「あひゃひゃひゃひゃ、いててててて、いひひひひ」

「フルァ(泣)ーーーーーー」


一方はひとりでに錯乱し、もう一方はガラランダから逃げるようにして、泣きながら動き回っていた。



「・・・・一体どうしたのでしょうか?」


観客席で見ている者は皆奇妙な光景に、頭に疑問符を浮かべていた。


「トーレンのスキル【威厳】は確かに厄介だ。それを封じれば、奴に負ける訳がない」


そんなコーデリアにジグルドが話しかけた。


「ジグルドくん!・・・トーレンさんは何故錯乱しておられるのでしょうか?」


急に話しかけられたことに驚きはしたが、ジグルドだと分かると同時に、この人が何かをしたのではないかと考え、尋ねた。


「あいつ、最近ずっとトカゲを飼ってただろう?あれが、ラークのドラゴン代わりなんだ。要特別待遇者にはもったいないぐらい賢い特別なトカゲだけどな。そいつがたまたま悪さしてるみたいだな」


ジグルドは白々しい顔で呟いた。


「では、ドラゴンの方は何故逃げ回っているのですか?」

「【絵描き】のスキルで、ガラランダに大量の虫や、気持ち悪い絵をつけただけだ」

「・・・それだけですか?」


ジグルドの答えは意外にも簡単なもので、コーデリアは一瞬思考を停止してしまった。


「あのドラゴン潔癖症らしい。そもそも戦いに向いてないんだ。恐らく我慢して戦ってたんだろう。トーレンが異常に掃除を人に押しつけていたのも、あいつのドラゴンが納得するレベルが高いんだろうな」


「自分のスキルを用いて、優位な立場で指示を出す。そんな安直な作戦で、俺らに勝とうなんて百年早えよ」


「こちとら生まれたときから、悪知恵と共に生きてんだ。将を落とすにはまず馬を射よってな。ま、この場合竜を落とすにはまず将を射よってか」


ケケケとあくどい顔で笑うジグルドであったが、そんな彼の態度はどことなく頼もしさがあった。



「ねえ、先生?これって戦闘不能で良いのかな?」


ラークがにっこりと、未だ状況が良くつかめずに困惑していた審判に問うた。


読んでいただきありがとございます。

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