81、レオナルド・スチュアート side 目標
王城に泊まってから戻ってきたアリシアはなんだか顔が赤い……?
「あれ? アリどうかした? 熱でもある?」
アリシアの額に手を当てて熱があるか確認するが、熱ではなさそうだ。
「元気ですよ。大丈夫です」
アリシアが誤魔化し笑いをしている……。もう仕方がないなあと
「エドワード王子に何かされたのかと思って心配したよ」
と、笑顔で言うとアリシアは固まっていた。
エドワード王子め! 何かやったな! 何とはあえて聞かないけれど!!
アリシアの教室に行くとサイテスやタキレスが前日の顛末をエドワード王子に報告していた。アンジェリーナ嬢やエミリー嬢がアリシアを隅に連れていったのは打ち合わせ通りで、アリシアに聞かせたい内容ではなかった。
「では放課後詰め寄ってきたというのか?」
「そうです。はじめは絡みやすかったのでしょう、エミリーを狙ってやってきたようでした」
サイテスが答える。
「では、サイテス、今後護衛対象としてエミリー嬢につけ」
「ですが……」
「いや、何かあってからでは遅い。目当てが僕であるなら、それに関してエミリー嬢に被害があってはならない。これは命令だ」
「殿下、申し訳ありません」
「まあ、何かあるときの避難場所としてこの教室に来たらいい。ここの騎士を突破できるとは思えない」
「ありがとうございます」
サイテスの件は一応終わった。エミリー嬢には嫌な思いをさせてしまい、昨日謝罪はしたがかなり恐縮された。サイテスにはがんばってもらいたい。
「じゃぁ、私から一件。生徒会情報です」
私は話を切り出した。
「新入生歓迎会ですが、まだ行われていないのはご存じかと思いますが、詳細がわかりました。
エドワード王子と関わらない一部の教師が行事だけでも関わりたいと思ったようで、新入生歓迎会へエドワード王子の参加を希望し、それを実現するために生徒全員参加を決定させたようです。
そしてその内容に乗っかったのがほぼ会う機会のないCクラス以降の上級生たちだったようです。
生徒会にも嘆願書が多数来ていて、鬱陶し……めんどくさ……貴重な意見として取り扱っていましたが、教師側から全員参加で執り行うことが通達されました」
「叔父上も賛成だったのか?」
「いえ、今は視察で学園を不在にされてます」
「……わかった」
エドワード王子からは表情が読めない顔をしていたが、すぐに切り替え笑顔になるところはすごいと思う。
「エドワード、モテモテだな」
タキレスのからかいには速攻で反応してたところは年相応かもしれない。
数日後、父上に執務室に呼び出された。
「父上、お待たせいたしました」
「レオナルド、ここに座りなさい」
なんだか嫌な予感がする。
「レオナルド、アリシアに言う前にお前に知らせておくが、アリシアを毎週末、学園が休みの日の前日から一泊、城に預けることにした」
「えっ……」
「アリシアも殿下も睡眠障害を起こしかけている。その治療だと思ってほしい。これは陛下の決定だから反対してもどうにもならない」
「過保護ではありませんか?」
「睡眠障害は怖いからね。アリシアよりも殿下の方が深刻のようだよ」
「決定であれば反対はしませんが、アリシアがうちにいるときは私の好きにしますからね」
「え?」
「兄として妹を可愛がります」
「……ほ、ほどほどにね」
「ええ、もちろん」
笑顔で答えた私は父上の執務室を退室し、自室に戻る。アリシアが一番大事であるが領地の経営も大事で、領地に関する執務は山のようにあった。全部を引きついだ訳ではないがそれでも仕事は膨大にあり、宰相の仕事と併用して行っている父上は今のところ目標でもある。いつかは宰相職に就くことになるし、卒業後は子爵として仕事をする。
卒業までになんとか一人前にならなくてはならない。
表情を変え、気持ちを新たに執務をし始めた。
久しぶりに寝込んでます。
しばらくはゆっくり(不定期)更新になりそうです。
ご迷惑おかけします(>_<)
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