80、レオナルド・スチュアートside 天使
「バート、報告を」
私はアリシアが休学中もバートにマリアンナ・ブラウニング嬢の回りを探らせていた。
「はい、ブラウニング嬢は取り巻きを増やしていってますが、今のところ女生徒のみです」
「増やし方はわかったか?」
「図書室で話しかけたり、その相手との繋がりだったりするようです」
「相手は誰か分かるか?」
「Bクラスのヒラリー・オフリー、Cクラスのリリア・スイートリー、Dクラスのステラ・ソールズ、同じくDクラスのリネット・マーシャリーです。この四人は元々知り合い同士のようです」
「そうか……。それ以外は何かあるか?」
「ブラウニング嬢は補講組になりました。担任のロバーツ先生が呼び出したようです」
「わかった。ありがとう。バート、引き続き頼む」
「承知しました」
バートは音もなく生徒会室を去っていった。生徒会に入って自室を与えられてから、基本的にここで報告を聞いている。
毎日マリアンナ・ブラウニング嬢を監視させてはいるが、これといって動きはない。エドワード王子が休学しているから動きようがないのか。
「ダメダメダメダメ、ダメに決まってるでしょぉお!」
ある朝、学園に行く直前にたまたま聞いたのが成人直後にアリシアが結婚したいと言っている話。ダメに決まってるでしょ!
卒業してすぐに結婚するのも反対なのに、なぜ早める?
朝からエドワード王子の自室に行くと、アリシアだけがいたので話をしたら、マリアンナ・ブラウニング嬢対策だという。が、それでも賛成はできない。幸いなことに親たちも早めることについては反対をしていて、その代わり婚約の御披露目をすることにしたらしい。
あぁ、アリシアがどんどん離れていく。
その後アリシアが家で暮らすようになってからは私の心も穏やかになった。家の中も明るくなり、母上も休んでいたお茶会に参加するようになった。
アリシアが王城にいる間は火が消えたように静かだったのが、記憶が戻ったアリシアを見て、嘘のように屋敷は明るくなった。特に侍女のエマは張り切っていた。
やはりアリシアは私の天使。真剣にそう思うときがある。いるだけで癒される。
アリシアが学園に通うにあたり、学園の部屋のセッティングを私が任された。警備主任の騎士と相談しつつ配置を決め、私のスペースもこっそり用意したが、騎士に片付けられた。ちっ。
万全の態勢にしてアリシアが通学してきたのはいいが、昼休みに会いに行くと顔色が悪い。血の気がなく、どう考えても体調が悪そうだ。
その日は付き添って帰ることができず、エドワード王子に任せたのがいけなかった。
帰ってこない。
父上から、アリシアが寝てしまい、さらにエドワード王子の服を離さないので泊まらせたと聞いたがなんてことだ。
「アリシアは未婚なんですよ?
ほいほい泊まらせてはいけないでしょう!」
父上に詰め寄ると逆にアリシアが毎日よく眠れないことを相談された。それはもちろん知っていた。寝る前に頭を撫でてあげると、比較的眠れるようだったので、だいたい毎日撫でている。
「今日、殿下の横でぐっすり寝ているのを見て、アリシアは殿下の側だと熟睡できるのだなあと淋しくもあったけれど、うれしくもあったよ」
「そうでしたか。アリシアが幸せなのが一番の願いですからね……」
小さい頃からアリシアの一番は私だったのに、今の一番はエドワード王子なのだろう。父上が言うように淋しくもあるがうれしくもある。いつ頃からだろうか。エドワード王子は誰が見てもアリシアを溺愛している。
それでも結婚するまでは私たちの天使でいてほしい。
体調不良のため、少し更新をお休みするかもしれません。なるべくがんばりますがすみません。
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