62、甘党
王妃様とお話をした二日後、私はスチュアート家に戻ることになった。リハビリや食事などの引き継ぎのため、戻る前日にスチュアート家から数人お城に来て着々と準備が進んだ。
ついにこの部屋で寝るのもあと一日となった。
「アリ、そろそろ寝よう」
「……はい」
最初は知らないうちに一緒に寝ていたエドワード様も、今は添い寝が普通になっていた。
私はそのたびに恥ずかしくて顔が赤くなるが、エドワード様は優しく微笑むだけでなんだか大人に感じる。いつもの定位置でぎゅっと抱き締められるといつの間にか一番安心できる場所になっていた。
「今日で最後か……。僕は明日から眠れるのだろうか……」
「帰ることになりすみません」
「いや、責めてるわけではないよ。僕は寂しく思ってるだけだよ」
優しく額にキスをされる。
「早くアリと結婚してしまいたい」
「エドワード様。私も寂しいです」
私からもエドワード様の夜着をぎゅっと掴む。掴みつつも疲れていた私はうとうととしてしまう。体力がなくなってからすぐに疲れるし、眠くなる。さらに頭を撫でられると睡魔に抗えない。
「アリ、おやすみ」
チュッと口にキスをされる。
「おやすみなさい」
◇
あっという間にエドワード様との生活が終わり、公爵家での生活が始まった。今日はエドワード様がタキレス様、サイテス様、アンジェリーナ様、エミリー様を城に呼ぶとのことでお茶会に私も参加することになった。
「アリシア嬢久しぶりですね。体調はいかがですか?」
「皆さん、ご心配おかけしました。体調はだいぶよくなりました」
私は頭を下げたが、エドワード様にすぐに手を引かれ椅子に座る。
「みんなも座って」
あらかじめ体調について記憶喪失以外を話してあったようで、それ以上は聞かれなかった。
お茶とお菓子がたくさん用意してあり、アンジェリーナ様やエミリー様は目がキラキラしていた。
「みんな心配かけたね。来週から学園に通学することになったからまたよろしく頼むよ」
みんなの目がエドワード様に向いている。
「もういいのか?」
タキレス様が心配するように聞いてきた。
「アリもだいぶ体力が戻ったからね、そろそろ登校することにしたけれど、僕たち二人は基本的に別室での学習になったよ」
陛下がやったという二人だけのクラスの再現になってしまった。先日お兄様が知ったときの冷気を纏ったあの顔は忘れられない。
「殿下、護衛はいかがいたしましょう?」
「近衛騎士が毎日護衛にあたるから、当面は様子を見るよ」
「タキレス、サイテスはお茶会後に話があるから残ってくれ。とりあえず、今はお茶会を楽しもう。久しぶりの再会だしね」
そういうと、エドワード様はいつものように「アリ、どれにする?」と聞いて、私はいつものようにイチゴのショコラタルトを選ぶと、エドワード様はお皿に乗せて一口サイズに切って私の口元にもってきた。
私はいつものようにそれを口に入れてゆっくり咀嚼する。うん、とってもおいしい!
思わず笑顔になる。
ん?
視線を感じみんなを見ると、四人ともが目を見開いていた。
?
「あーっと……エドワード……まあ、よかったな」
タキレス様がエドワード様に話しかけているのを聞いて、あ……。
今ナチュラルにエドワード様に食べさせてもらっていたことに気がついた。
私の顔やサイテス様、アンジェリーナ様、エミリー様の顔が一気に赤くなったのが分かったけれど、エドワード様やタキレス様は涼しい顔で微笑んでいた。
「タキレスもサイテスもやってみるといいよ。僕の気持ちが分かるよ」
エドワード様はさらっと言ってるけれど、私もはじめは慣れなかったなあと思い出す。はじめは恥ずかしいけれど、だんだんうれしいのよね。かといって私から勧めるわけにもいかず、控えめに微笑むだけにした。
更新が遅くなりすみません。
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