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61、善意

 エドワード様とお昼を食べたあと、私は王妃様の来訪を待っていた。本来なら私が伺うところだけど、体調を考慮してくださって来てくださることになっていた。


「王妃様がいらっしゃいました」


 侍女からの知らせを受けて出迎えると、王妃様は侍女たちを下がらせて私と二人きりになった。紅茶だけがテーブルに用意してある。


「アリシアちゃん、いつも言ってるけれど、陛下も私もアリシアちゃんのことを実の娘のように思っているわ」


「はい、ありがとうございます」


「それでね、あなたのお母様であるリリーとも話したのだけど、結婚まであと数年しかないでしょ? だからできるだけ早くスチュアート家に帰って、家族との時間を楽しんできてほしいのよ。

 結婚したら気軽に里帰りなんてできなくなるわけだし……、というよりエドワードがなかなか帰らせないようにしそうだしね……」


「そうですね……」


 なんとなく分かる。


「最初に言ったように私たちは実の娘のように思っているわ。だからこそ、スチュアート家も大事にしてほしいの。エドワードとの関係と同じように」


「はい。分かりました」


「医師に相談してリハビリのことも確認しましょうね。学園の方はエドワードと合わせましょう。

 それと私の希望でアリシアちゃんとエドワードの婚約お披露目式をしようと思うの。そうね……呼ぶのは伯爵位ぐらいまでかしら。まだ成人前ですから昼間のお式がいいわね。衣装は私が用意したいけれど、きっとエドワードが怒るわね。アドバイスだけにしておくわ」


 え! えっ!

 何かがどんどん進んでいってる……。


「あの……もう決定ですか?」


「そうよー。陛下に言ったら分かったっておっしゃってたから開催は決定よ。これから忙しくなるわぁ。リリーとも相談しましょうね」


 にっこりと笑う王妃様に私は言葉が出ず頷くだけだった。

 私たちの婚約は小さい頃に結ばれた。高位貴族の中では知らない人はいないが、お披露目などがあったわけではない。それがこれに繋がったのかもしれないが、急な話にただただ驚いていた。


「それじゃぁ、アリシアちゃん、またね。エドワードがきっとやきもきしてるから交代するわね。

 アリシアちゃん、ゆっくり休むのよ」


 王妃様は紅茶を一口飲むと、手を振りながら部屋を出ていった。


 ほんとに毎回毎回、嵐のような人だ。

 しばらくしてエドワード様が戻ってきたのでお披露目式の話をすると、知らされていなかったようでかなり驚いていた。


「母上のやることは全く……」


「でも、なんだかとても嬉しそうでしたよ」


「まあ、実際楽しいのだろうけれど、あまり振り回されないようにしようね。あ、衣装は僕が用意するよ」


 やっぱり。

 予想通りの反応に思わず笑らいながら答えてしまった。


「エドワード様、ありがとうございます」



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