表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/49

迷宮2

 トリーアの西地区、その先にある門を出てすぐに集合場所である祭壇がある、祭壇前はハミィと二人を探す際に立ち寄った時とあまり状態は変わっていないようで、ラビリンスに入る為のメンバーを募集している人達がそれそれの仲間と共に声を掛けていた。


 「すいません! タンクさんですよね!? 私たちと来てくれませんか?」


 待ち合わせ場所である祭壇前で他の皆を待っていると声をかけられる、一人でいるからという事もあるのかここについてからすぐにタンク争奪戦が始まりそうになっていたので一通り断りを入れてはあるのだが、それでもと食い下がって来る人や聞いてなかった人が話しかけて来るし、正直ここに余り長くは居たくないと思ってしまう。


 「すいません、連れを待っているんで参加は出来ないです」


 もう何度目になるかもわからないほどの断りを伝えるとため息をつきながら元のいた場所へと戻って行く、しかしタンクが少ない事は知っていたがここまでいないとは思ってもみなかった、周りで募集をしている人達を見渡すとそのメンバーは火力職と呼ばれるハンターやウィザードが多く、参加できる所がないかと探している人すらいる、それにタンクどころかヒーラーすらもいない所もあり、人材不足が深刻な状態である事も見て取れた。


 「お待たせ! 結構待たせちゃったかな?」


 断る事に疲れ、目立たない様にと全く関係のない方向を見ていた俺の後ろから聞きなれた声が聞こえ、振り返ると白い服にヒーラーの装備を付け、腰辺りまである髪を抑えているハミィがいてこれで一人ではなくなったと気持ちが楽になったのを感じる。


 「いや、そんなには待ってないよ! それにまだあの二人も来てないしね」


 先に鍛錬所を出て用意をしに行った二人がどこに泊まっているのかも聞いてはいなかったがそれほど時間もかからないだろう、何か道具を買っているならもう少しかかるかもしれないが。


 「そっか、それにしても相変わらず人が多いね、コウの場合タンクさんだから色んな人から話かけられたんじゃない?」


 「そうだな、結構大変だったよ、次からは一人の時にここで待つのは辞めようと思うぐらいだった」


 「そ、それは大変だったね……そろそろ二人も来ると思うんだけど……あ! いたいた、おーい! こっちだよ~!」


 町の入り口、門の方を見ながら手を振って合図をしているハミィに吊られて見ると門の方からはいつもの装備を身に付けた二人組が歩いて来ているのが見え、向こうも俺達の居場所が解ったからか走りながら向かって来た。


 「わりぃ! 遅れちまったか?」


 「待たせてごめんね~!」


 「いや、そんなに待ってないから大丈夫だよ、ハミィもさっき来た所だしな」


 これでメンバーは揃った、あとは中に入るだけなんだが全員が揃ってから聞こうと思っていた事を先に聞いておかなければ。


 「ハミィ、入る前に教えて欲しい事があるんだけど、ラビリンスで稼ぐのって具体的にはどうやればいいんだ?」


 「えっとね、ラビリンス自体は女神様の加護で出来ているって事は知ってると思うんだけど、中に入って稼ぐのも加護が関係しているの、私たちの住むこの世界で消費される物、それも冒険者が使う様な物だけが消費されると同時にラビリンス内で宝として箱に入った状態で現れるの」


 ん? つまり使えば使うほどラビリンスの中で消費された物と同じ物が表れるという事だろうか?


 「えっと、例えば私たちが装備を作るのに必要な物を売って、それを元に何かの装備を作ればラビリンスの中でまた同じ物が表れるって事であってる~?」


 「そう、あってるよ! ちなみにラビリンスの難易度が上がるほど珍しい物が表れる様になっているみたい、ここトリーアでは全体的な難易度は最低クラスだから珍しい物は出ないだろうけど売ればそれなりに稼げるってのがラビリンスだよ」


 今は大した物は得られないが中級冒険者や上級にもなると難易度も当然上がる事になり、いい物が手に入りやすくなるという事か。


 「しっかし女神の加護ってすげーんだな、どうなってんだよ」


 「世の中には不思議な力がいっぱいある、それでいいんじゃない? 考えてもわからないし」


 「それもそうか」


 確かに俺達が考えた所で加護に関してはどうなっているのかなどわかるはずもない、それに俺達の武器に使われた経典、あれもたしかラビリンスの中で見つかった物のはず、それをカマウリさんが武器に使ったという事はまたどこかのラビリンスで現れることもあるのだろう、武器を作る際に三つに分けてしまった物ではあるが元の状態を見る事が出来れば全く何もわかっていないこの文字の事もわかるかもしれない。


 「ありがとう、気になってたから助かったよ、それじゃ早速行ってみるか」


 「「「おう!/うん!」」」


 みんなの返事を聞いた後、祭壇前でメンバーを募集している人達の間を抜けて行き、色々な視線を浴びながらも祭壇にたどり着く。


 「なんかすげー見られてたな、なんでだ?」


 「多分私たちの構成のせいじゃないかな」


 構成のせい?どうゆう事だ?


 「私達みたいに四人で入る人達もいるけどその場合はヒーラーは一人なの、でも私達はヒーラーが二人いるからね、他のとこからしたら一人欲しいとか思われると思うよ、後は火力足りるのか? って思われてるかもしれないけどね」


 確かに火力に関してはマジェに頼るしかないから足りないと言われればそうなんだろう。


 「火力だけ募集して行く? 確かに低い気はするし」


 「ん~マジェ、今回使う石って何色を使うの?」


 そういえば星石には色がついていてその色でラビリンスの難易度も変わって来るって話だったな。


 「今回というか俺達が持っているのは青しかないけどそれでいいか?」


 「うん、大丈夫だよ! というか多分今の私達だと青以外に行くと帰って来れない気がするし……それと募集は今回はしないで四人ではいろう、青だから中で得られる物もそんなにいい物は出ないはずだし取り分の事を考えたら割に合わなくなる」


 「ん~? ハミィ、でも人増えた方が安全になるんじゃないの~?」


 そうだな、人がというか火力が増えると倒せる速さなんかも変わって来るだろうし入ってもらった方がいい気もする。


 「そうなんだけど今回は辞めておいた方がいいと思うの、カッチェの疑問は皆も思ってるだろうけど、まず私達はまだまともに連携も取った事がない、この前のアルスタの洞窟でゴブリン一匹を相手にした事以外で皆で戦った事が無い、そんな私達の中に全く知らない人が入って来て連携を取ろうとした所で上手くいかないと思うし、気を使いすぎて逆に手数を減らす事にもなると思うの、今は自分達の戦闘経験を積むことが優先だと思う、石も青だから私達だけで十分いけるはずだしね」


 自分たちの経験の無さ、それはアルスタの洞窟で嫌という程味わった、それも踏まえて今の俺達で青色の石なら大丈夫だとハミィが判断したなら今は楽をせずに経験を積む事を優先した方が確かにいいだろう、今後の自分たちの為にも。


 「そっか~、ならこのまま行こう~! マジェ早く開けて! 早く中見てみたい~」


 「いや、開けるのはいいんだけどこれどうやって開けるんだ?」


 祭壇の前で石を右手に持つマジェはどこかに使う場所でもあるのかと見ているようだがそれらしい物は何処にもないようだ。


 「祭壇の上に石を置くだけで入り口が開くから大丈夫よ」


 「え、そうなのか? そんじゃ置いてみるか」


石畳の地面の上に横に長い棺にも見える祭壇、その上に持っている青色の星石をマジェが乗せると石は淡く光った後ゆっくりと消えて行き、自分達が立つ祭壇の奥に光で囲まれた入り口らしきものが表れた。


 「わ~なんか出たね! あれが入り口なの?」


 「なんかすげーな! 不思議な力があったもんだな~」


 「カッチェの言う通り、あれが入り口よ、それじゃぁ入るわね!」


 祭壇の横を通り奥に歩いて行き、そのまま中へと入ってしまったハミィ、そのハミィの後を追う様に入ろうとするが大丈夫なんだろうかと心配になってしまう。


 「ハミィ待ってよ~!」


 「そんじゃ先に入るぜ!」


 そんな俺を残して先に入って行ったマジェとカッチェの後ろ姿を見送りながらも今更こうしていても仕方がないとビビりながらもゆっくりと入り口の中へと入って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ