第一章幕間 それぞれの時間2
「さて、次はどうしようか」
鎧を受け取って持っていると荷物になるからと着た後、南側の職人通りを抜てギルドの前にまで二人で移動し、これからの予定を考える、元々今日一日は休みの予定で、鎧を新調したからといってこのままクエストやダンジョンに行く気にはならない、それにお世話になった事もあり、サイモンさんに挨拶ぐらいはしに行く必要はあるだろう、そうなってくると次の目標はあの二人、マジェとカッチェを探す事になるだろう。
「ここから北の方に行ったんだっけ?」
「マジェとカッチェ? あの二人のことならそうだよ~?」
リヴァイヴで食事をしていた時に聞いた情報をハミィに再確認し、二人が向かったであろう町の北側、その方角に続く道を眺める。
しかしここで問題になってくるのがあの二人がその後どこに行ったかだ、ハミィの話では俺と会い、食事をする前にあの二人を見た事になる、そこから今ではそれなりに時間もたっている為あの二人がそのまま北にいるという保証はない、むしろ移動している可能性の方が高いだろう、ならいっそ北の捜索は辞めて東か西側を探したほうがいいだろうな、南にはさっきまで俺達がいたしあっちは探す必要はないだろう。
「そうだな、ハミィ、西側に行ってみよう! 北に向かってからけっこうたつし、他の所に移動している可能性の方が高そうだ」
「そうだね、色々回るって言ってたから他の場所に行ったかもしれないしね!」
町の西側、そういえばこの町に来てからまだ西には行ったことがない、冒険者に必要な店というのが北や南に固まっているというのもあり、それ以外の方向には行く事がいままでなかったしな。
「こっちの方ってなにがあるか知ってる?」
「ん? あぁ、コウこっちには来たことがないんだね! 西側は住民地区になっててこれといってなにかあるわけじゃないんだけど、町の外、門を出てすぐの所にラビリンスの入り口があるよ! こっち側はそれぐらいかな」
なんどか聞いた名前であるラビリンス、入る為には星石が必要と聞いたんだけど売ってしまったりお金が無かったりとあわただしかったせいで忘れてしまっていた。
「入口って建物か何かがあってそこからラビリンスに入れるってことでいいの?」
「うんん、違うよ、祭壇があって、そこに石を置くと入り口が開くって感じかな、女神様ってすごいよね! あんな不思議な空間を作れちゃうんだもん」
確かに、女神の加護でラビリンスが出来たと聞いたけどそんなものどうやって作ったんだか。
「とりあえず行ってみようか、もしかしたらあの二人も見にいってるのかもしれないしね」
ギルドの前で話し合っていた所で動かなくては見つかるものも見つからないだろう、そう思い移動をし、西側の通りを歩きながら辺りの様子を見るとハミィの言った通りに西側は住民区となっており、道を挟むようにして何件もの家が立ち並んで子供達が遊んでいるのが見え、走り回っている子にぶつからない様に歩き続け、門にまでたどり着く。
「なぁ、あれなに?」
思わず俺の口から出た言葉は門の向こう側、町のすぐ外の所にできている人だかりが原因だ、離れた場所から見えるだけでも二十人ほどの人が集まりなにやら声をかけているようだ。
「あ~あれはパーティー募集をしてるんだよ! ラビリンスに入る時はギルドじゃなくここ、祭壇の前で人を集めて入るようになってるの」
「なるほどね、あの人だかりは入る為に募集している人達ってことか」
せっかくだからと門を通り、集まっている場所に近づくと色々な職業の人達が何人かで固まり、それぞれに声を上げて募集をしている姿が見えるし聞こえるのだが、そのどれもがタンク募集やヒーラー募集でちょっとした取り合いがおこっていた。
「ギルドで登録するときにタンク職が少ないって聞いたけどあれ本当だったんだな、火力職ばかり集まってるけど他が全然いないな」
「そうだよ、コウもタンクになってわかると思うけど、一番危険だしすることも多いからタンクやりたがる人ってそんなにいないんだよね、大体が身の安全を優先して火力職になるから自然とこうなるんだよ、だから私とコウみたいなタンクとヒーラーが揃ってるのって取り合いになっちゃうの、さっきからチラチラ見られてるのはそのせいだね、まぁ私の容姿のせいでもあるけど、最近はなんかそっちは気にされなくなってきてるし、なんでだろ?」
それは間違いなくサイモンさんと俺のせいですね、割合的にはサイモン9、俺1ぐらいの割合であっちが原因だと思うんだけどね、それはそうと確かにさっきから募集をしている人達がチラチラを俺達を見ているのが解る、変に期待をさせている様で悪いし移動した方がいいだろうな。
「ハミィ、ここには二人共いないし移動しようか、邪魔になると悪いしな」
「そうだね、それじゃ次の場所にいこっか!」
向けられる視線を気にしない様に来た道を引き返した俺達が探し人である二人を見つけたのはそれからすぐの出来事だった。




