暇潰し
平日投稿、いつまで続くのやら……:(´◦ω◦`):
「暇だわ……」
「我慢しろ」
黒剣が暇と言ってソレを白盾が我慢しろと言って答えるを繰り返す。
この世界、free onlineの世界は、現実世界と時間の流れ方が違う。
現実が一日24時間に対し、この世界は48時間だ。
つまり、御雷の一ヶ月間のゲーム篭りっきりとは、ゲーム時間で二ヶ月篭っている事になる。
普通死ぬ。
後、アイツは、許されるギリギリまで学校をサボる気らしい。
毎回テスト満点だから、授業数ギリギリで普通に卒業出来る。
と、言っていた。
話を戻すが、一日が48時間。
現在時刻は30時。
姉さんに言われた宿に集合する時刻まで後6時間ある。
御雷達の様に観光する事も、海斗達の様に調べたい事も、姉さんの様に交渉相手が居る訳でもない俺達三人は、先に宿屋の9人部屋で暇を持て余して居た。
「光ー。魔狼ー。殺し合おうぜー。
暇過ぎて死ぬ前によぉー」
「宿屋が壊れるから無理だな」
黒剣と白盾は、鎧を脱いでそれぞれのベットの上で寝転んで居る。
「……そんなに暇なら、冒険者ギルドにでも行くか?」
「あー?何で?」
「アソコには、模擬戦場がある。
誰かに喧嘩売れば、誰か相手してくれんだろ。
何なら全員に売れば良い」
「いや、魔狼ソレは幾ら何でも「良いなぁ!!!ソレは!!」……」
黒剣は、白盾の言葉を遮り叫ぶと、鎧を纏ってさっさと出て行ってしまった。
「この国で問題行動を起こすなと、お前の姉に言われてなかったか?」
「問題ない」
「何処がだよ…」
「……冒険者との私闘で冒険者に怪我を与える事は、犯罪にはならない。
奴等はこの国に所属せず自由にやれる代わりに、法には守られていない。
殺したければ殺しても、何の問題も無い」
「……なるほど。確かにそれなら、暇つぶしと情報収集を兼ねられるな」
だからって、人殺しはダメなんだけどな。
普通は……。
その事に思い至らない辺り、白盾は疲れている様だ。
冒険者ギルド。
ギルドに依頼された物をランク分けして、内容を掲示板に貼り出し、それを取り合う場所。
誰でも依頼出来るが当然金を払う必要がある。
法の庇護を受けない代わりに自由な彼等は、元犯罪者か、そうでなくとも無法者の集まりである。
故にブチ殺しても構わんだろう?
と、いうイかれた思考でギルドまでやって来た漢が一人。
「おい、聞いたかよ」
「あ?何をだよ?」
「プレイヤーの事だよ。お前知らねぇのか?
この街に居るって話だよ」
「プレイヤーなら、別にココにも何人か居るじゃねぇか。
珍しい事でもねぇだろ
「いや、居るのは居るけどさ、何でも馬車に乗って来たらしいぜ」
「貴族様にでも依頼されたんだろ?珍しいが、別に変じゃなくないか?」
「だがよぉ!もしそうなら、俺等への依頼がまた減る事になっちまうぜ!!」
そう言って、座っている椅子を倒しながら立つ男。
話を聞いていた男は、自分の相棒の少々落ち着きの無い所に呆れている。
そして、ふと特に理由もなく、なんとなく後ろを振り向く。
次の瞬間、凄まじい轟音と共に、ギルドの入口が吹き飛ぶ。
「ココかー!!!!暴れて良い場所はぁー!!!!」
入り口が吹き飛び、不運にも爆発と、飛んで来た入り口に巻き込まれた数名を除き、全員が入って来た漢を見る。
なんだテメェは?とか、よくも仲間を、とか、そんな言葉を投げ掛けようとして、言葉が止まる。
全員の視線は、漢の剣と頭の角に集中していた。
ツノが生えているという事は、漢は人間では無いという事だ。
平時なら、亜人だとしか思わないだろう。
しかし今は、漢がプレイヤーと呼ばれる存在であると容易に想像できる。
剣の方に注目したのは、この場に居た、別のプレイヤー達だ。
彼等は、それなりの技術と、何度でも蘇る肉体を持って冒険者稼業をこなしていた者達だ。
そんな彼等は、このあまりにも有名な漢の事を当然知っていた。
黒鬼騎士団団長。
黒剣・グラム。
この厨二臭い肩書きを背負った漢の実力も、当然知っている。
攻撃力プレイヤーNo. 1。
それが何を示すのかも、プレイヤー達は知っていた。
故に、逃げたかった。
しかし、不可能である。
何故なら、入り口も出口も一つで、其処には黒剣が居るからだ。
詰んだな……。
「此処に……何の用だ」
冒険者の一人が口を開く。
先程、依頼が減ると嘆いていた男だ。
「暇潰しに来た!!!
俺と遊べ!!!」
支離滅裂、理解不能、脈絡皆無、焼肉定食。
呆れて、驚いてを繰り返している冒険者達。
しかし、そんな彼等を待つ程、黒剣は大人では無かった。
次の瞬間、黒剣の一番近くに居た冒険者は、頭を掴まれ、床に振り降ろされた。
「かぺぇ!!!!」
床にめり込み、完全に気絶する。
「次ぃ!!!!」
漢の咆哮に、この中でも強者に分類される者達が動き出した。
しかし、9000万人の中で二番目に強い獣の前では、彼等とて餌に過ぎない。
黒剣の魔力を込めた拳圧て、強者達は吹き飛び壁に叩きつけられた。
「もっとだぁ!!!!」
帰りたい、暖かい我が家が待っている。
しかし帰れない。彼等に待つのは地獄である。
その後、容赦無く振り回される黒剣の拳だけで、冒険者は全滅。
彼等は全員冒険者を辞めた……。




