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屍兎は自由人  作者: 平成兎
第1章 屍兎
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荒刀

夏バテって怖いっすね。.°(ಗдಗ。)°.

「はぁ。まさかあのタイミングで私を見捨てるとは思ってませんでしたよ」


皆より一足先に食事を終えた俺は現在ハクに正座させられていた。


「イヤ、あれは見捨てたんじゃなくて、実際その後ちゃんと拾ったし、あの時は一旦離れるしかなかったていうか」

「ジーー」


めっちゃ睨んでらっしゃる。

仕方ない。降伏するか。


「すみませんでした」

土下座。

其れはいつの時代も下の者が上の者に行う最大限の謝罪。


浮気がバレた時とか、約束を破ってしまった時とか、心なしか主に男性が行う行為な気がする。


「マスター。私は貴方程反省という言葉とイメージが合わないじょ、男性は見た事がありません」


「ねぇ今女性って言おうとした?したよね?」


「マスターが女々しいという意味を込めました。

後、マスターは女性になれるので」


「俺そんなに女々しい?

後女性になれるからって女性って言おうとしたの?

えげつないねお前」


「と、とにかく!今回はマスターに反省してもらうために、ドクロとある事を考えました」

「うん?ドクロと?

お前等何する気なの?」


「次の黒剣戦。

私達は観客席で見てます」







「………………………は?」


「ですから、観客席で」

「いやいや、聞こえた聞こえた。

……え?正気?」


「えぇ、至って正気ですよ」

「ドクロも了承した?」


「えぇ、マスターは一度反省するべきと快く承諾してくれましたよ」


ドクロの方を見ると、スッゴイ勢いで目を逸らされた。

アイツ……買収されやがった。


「というわけでマスター。次の試合私達抜きで頑張って下さいね♡」

そう言ってハクは、ご飯を食べている灰ト達に合流する。


うわぁ、マジか。彼奴マジか。絶対本気じゃん。本気で黒剣戦戦わない気じゃん。


ていうか今回は俺悪くないじゃん。


………て言っても無駄だろうなぁ。

メンドクセェなぁ。



はぁ……しょうがない。アイツ使うか。

俺は溜息を吐きながらある場所に向かって行く。














プレイヤーは職業と種族によって戦い方が大きく変わる為、一概に誰が誰よりも強いとは言えない。条件によって相性が逆転するからだ。


だが、最強は誰だ?

そう上級プレイヤー達が聞かれれば、彼等は口を揃えてこう答えるだろう。


月兎、と。



プレイヤーランキング。

プレイヤー達の評価を順位付けした物。


その評価基準は非常に多い。

どれだけ大物のモンスターをどれくらいの数仕留めたか、どれだけ上位のプレイヤーをどれだけ仕留めたか等。


だが、このランキングにはある制度がある。


通称、下克上制度。


上位のプレイヤーを倒すと、その者の順位を奪い取る事が出来るというものだ。


過去の事例としては、前二つ名四位は現在の二つ名四位、魔狼に一方的に撲殺され、その順位を奪われている。

五位の蒼銀も、同じ方法で五位になった。

後、九位の隠者も。


二つ名の下克上となると、やはり有名になりやすい。有名になれば、色々得な事が多いゲームの為、この下克上制度を利用して成り上がろうとする者は非常に多い。


そしてこの制度、一対一である必要性は無いのだ。


制度の穴が知れ渡ったのは約四ヶ月前の事だった。


free onlineは、再入荷をまだ一度しか行っていない。

余りにも人気故に、一人に一つしか売らないようになっており、此れにより転売は無くなっている。


そして、転売も無く、即売り切れになった為、

プレイヤー達は、減る事はあっても、再入荷まで増える事は殆ど無かった。


再入荷までのプレイヤーは二千万人。

彼等は第一世代と呼ばれるプレイヤーで、謂わゆる古参プレイヤーだ。


そして、再入荷が行われた。


其れが四ヶ月前。

通称第二世代が参入した時だった。


そして、第二世代は出来るだけ早く、第一世代を追い抜く方法を考察し始めた。


そして、彼等は下克上制度の穴を見つけた。

無論、当時ネットは大騒ぎだった。

この制度を利用された事により、

二つ名持ちも非常に入れ替わりが激しかった。


しかし一ヶ月後、二つ名の入れ替わり騒動はある程度収まる事になる。


収まる原因になった事件の引き金を引いたのは、

とある大手ギルドだった。


倭寇騎士団。

第二世代のプレイヤーを主としたギルドで、

当時の二つ名五位と九位をリーダーとしたギルドである。


彼等は中小ギルドから資金やアイテムを略奪を繰り返し強くなったギルドで、五位の座も、千人程で攻めて奪い取った。


そんな彼等が次に狙ったのは、プレイヤーランキング一位の座、つまり月兎を狙ったのである。

彼等は月兎がハクアの大森林で狩りをしている所を攻めた。


しかし、結果は惨敗。

複雑な森の地形と、月兎の動きに連携を乱された事で、お互いの脚を引っ張り合ったのが原因である。


そして、惨敗を期し落ち目になったギルドに見切りをつけ抜けるメンバーが続出し、今迄略奪して来た中小ギルドに復讐され、潰される事となる。


此の倭寇ショックと呼ばれる事件により、二つ名五位は現在の五位の蒼銀と現在の九位の隠者に奪われてしまう。


そして、集団で奪う事のリスクを認識したプレイヤー達は、大人しくなり、

集団で奪って地位を得た二つ名持ちは集団ではなく一人の実力で戦いを仕掛けて来た者達に奪われ、二つ名持ちは現在の十五人で安定する。

そして、これを機に、月兎が最強である事をプレイヤー達はより強く認知する事になる。












長々と話したが、そんな二つ名一位には、ある特典が与えられている。


その特典とは、始まりの街の地下に自室を持てるというものだ。

しょぼくない?と思う方も居るだろう。


しかし、そんな事は無いのだ。

先ず、此の世界は安らげる場所等無い。


何を求めてるんだと思うかもしれないが、意外と重要だ。


ギルドホールや、宿屋は確かに拠点にはなるが、ギルドホールも宿屋も爆破などの破壊手段がある。


然し、地下の自室はそもそも誰もその場所を知らない(月兎以外一位になった事が無い為)ので、安全なのは確定しているのだ。


更に、此の部屋には、アイテムボックスと金庫がある。


此の世界にも銀行はある。

ギルド用と、個人用の二つの銀行が。

しかし、安全性はと言うと、ギルド用は厳重な警備が敷かれており安全だが、個人用は安全では無いのだ。


事実、昔銀行強盗を行ったプレイヤーが居た。


しかし、自室は先程も言ったが誰も知らない為、安全に保管出来る。


という利点がある為、其れなりに使えるのだ。







まあ、俺は此処で寝た事なんてないけどね。



…………そんな安全な自室には、ある物がある。


俺の刀だ。


刀はドクロとハクが居る為、使ってなかったが(使わなかったら拗ねる為)今回は此奴を使うしかない。



鬼哭村正

長さ二尺一寸九分(65.7cm)の居合刀。

四ヶ月前まで背負っているだけで使わなかった刀で、

始まりの街を出て南西にあるドワーフの国一の刀鍛冶に打ってもらって刀。


柄は赤く、柄頭に鬼が哭いているかの様な紋章が彫ってある。鍔には交差した爪痕の様な紋が彫られている。


刀身は赤黒い。


ドクロやハクと同等の斬れ味だが、あの二人の様に意思が宿っているわけではない。


後、強いのは強いが、とんだ暴れん坊である。

刀を作ったオヤッサン曰く、何かとんでもなく変な魔力を込めてある金属を使ったらしい。


そのせいで、何か恐いことに意識を乗っ取ろうとして来るらしい。


そんな金属使うなよ………。


まあ意識を乗っ取ろうする魔物とはプレイ中に何回かエンカウトした事はある。


其れに、俺のスキルにも意識を乗っ取ろうとするスキルはある。


だからこそ言える事がある。



絶対疲れる。


そう、疲れるのだ。


え?心配するとこ可笑しい?


俺が呪い程度に負けるわけないだろ?最強だぜ?

まあ、最強自慢は此れぐらいにして、試しに握ってみるか。


そう思い、鞘を握った瞬間………

声が流れ込んで来た。





コロセ……コロセ……コロセ……コロセ……














黒剣戦、サボろっかな………。

目がショボショボするぜぇ.°(ಗдಗ。)°.

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