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あれから一日、ハシブトはいつも通りになっていた。
学校にいた脇坂は、いつも通り何も気にしないで授業をしていた。
あんなに怒っているのに、次の日は何事もなかったかのように授業をしていた。
だけど噂は瞬く間に広がった。脇坂の娘が死んだこと、ハシブトに暴言を吐いたこと。
そのことで脇坂が、職員室で謝罪していたらしい。
昼休み、僕は美野里と一緒にいた。
美野里は明るいが、ハシブトはショックなのか顔色が沈んでいた。
「どうしたの、ハシブトさん?兄さんに何かいじめられた」
「そうではない、美野里は明るいな」
「ええっ、ホント。超うれし~」
言われて美野里は顔を赤くした。
ほんとにハシブトが好きなんだな、美野里は。
「だけど、好きすぎると消失した時に大きなショックにさいなまれる。
それが、人は孤独と錯覚する。彼は短期間で多くのものを失った」
箸を持ったまま、難しい顔をしていた。
「大丈夫、愛し続ければ孤独は癒されるから」
「美野里……」
「あたし、ハシブトさんのこと大好きだよ」
満面の笑みを見せた美野里、こんな笑顔を見せるのは初めてだ。
美野里は本当にハシブトが好きなんだろう、ただ屈折しているだけど。
「美野里、大好き……か」
「うん、だからいつも得意な料理でハシブトさんにお弁当を作ってあげるの」
「そうだった。わしは大事なことを忘れていたようだ」
急に立ち上がったハシブトは、なんだかやる気に満ちていた。
「協力してもらうぞ、美野里」
「ハシブトさん、なんでも言って」
だけど、その時のハシブトの目はとても赤かった。
その目の赤さは、とても危険な香りがした。




