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孤独を癒すカラス  作者: 葉月 優奈
五話:ツグミの夏声
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放課後、職員室に脇坂がいた。

いつも通り、脇坂が僕とハシブトに荷物を用意していた。

確かに嵯毅の言うとおり、脇坂は様子がおかしかった。

だけど、脇坂は僕とハシブトの顔を見るなりすぐに元気になった。


脇坂の指示で、ダンボールを二つ運んでいた。

というのも脇坂は、『ヘルニア』らしく重いものが持てないみたいだ。

一応量を確認するけれど、どっちもプリントだ。


僕は大きいダンボール、ハシブトは小さなダンボールを抱えた。

そのまま人気のない廊下で、僕とハシブトは歩いていた。前にもそういえばこんな光景あったな。


「喜久よ、何をしていたのだ?」

「ハシブト、あんまり大きな声で言うなよ」

「よいだろう。わしは口が堅いぞ」

そういって僕は、嵯毅の懸念していた噂を話した。


ひき逃げ事故が三日前にあったこと、そのひき逃げ事故の被害者が死んだこと。

そして先生の娘が、ひき逃げ事故に遭った被害者だということ。

ハシブトは真剣な顔で聞いていた。


「まあ、あくまでも仮説だけど……だけどやっぱり先生の様子がちょっとおかしかったな」

「そうだな」

「どうした?」

「喜久、何故わしにすぐに言わぬのだ?」

ハシブトは、怒りのようなものを見せていた。

寂しそうな顔をしながらハシブトは聞いていた。


荷物を持ったまま教室に差し掛かって、教室のドアを開けた。

「えっ、ああ、仮説だし……あんまり嵯毅じゃなく、生徒会長から言わないようにって」

「彼は孤独なのだ」

教壇の前に荷物を置いた僕の隣、ハシブトは気難しい顔になっていた。


「孤独って……でも……」

「先生は、前に離婚した話を聞いたぞ。一人娘がいたそうじゃないか。

美野里みたいな家庭環境で、先生一人で育てている。だとすれば……」

「あっ、でも家族環境は知らないし、先生だって大人だから」

「孤独に大人も子供も関係はないぞ!」

眉間にしわを寄せて、ハシブトは怒っていた。そのまま教室のドアから出て行こうとした。


「おい、ハシブト!どうするつもりだ?」

「先生を救いに行くのだ。わしは『孤独を癒すカラス』なのだぞ」

肩を怒らせて、ハシブトは職員室に戻っていた。

僕は困り果てた顔でハシブトを追いかけていた。


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