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放課後、職員室に脇坂がいた。
いつも通り、脇坂が僕とハシブトに荷物を用意していた。
確かに嵯毅の言うとおり、脇坂は様子がおかしかった。
だけど、脇坂は僕とハシブトの顔を見るなりすぐに元気になった。
脇坂の指示で、ダンボールを二つ運んでいた。
というのも脇坂は、『ヘルニア』らしく重いものが持てないみたいだ。
一応量を確認するけれど、どっちもプリントだ。
僕は大きいダンボール、ハシブトは小さなダンボールを抱えた。
そのまま人気のない廊下で、僕とハシブトは歩いていた。前にもそういえばこんな光景あったな。
「喜久よ、何をしていたのだ?」
「ハシブト、あんまり大きな声で言うなよ」
「よいだろう。わしは口が堅いぞ」
そういって僕は、嵯毅の懸念していた噂を話した。
ひき逃げ事故が三日前にあったこと、そのひき逃げ事故の被害者が死んだこと。
そして先生の娘が、ひき逃げ事故に遭った被害者だということ。
ハシブトは真剣な顔で聞いていた。
「まあ、あくまでも仮説だけど……だけどやっぱり先生の様子がちょっとおかしかったな」
「そうだな」
「どうした?」
「喜久、何故わしにすぐに言わぬのだ?」
ハシブトは、怒りのようなものを見せていた。
寂しそうな顔をしながらハシブトは聞いていた。
荷物を持ったまま教室に差し掛かって、教室のドアを開けた。
「えっ、ああ、仮説だし……あんまり嵯毅じゃなく、生徒会長から言わないようにって」
「彼は孤独なのだ」
教壇の前に荷物を置いた僕の隣、ハシブトは気難しい顔になっていた。
「孤独って……でも……」
「先生は、前に離婚した話を聞いたぞ。一人娘がいたそうじゃないか。
美野里みたいな家庭環境で、先生一人で育てている。だとすれば……」
「あっ、でも家族環境は知らないし、先生だって大人だから」
「孤独に大人も子供も関係はないぞ!」
眉間にしわを寄せて、ハシブトは怒っていた。そのまま教室のドアから出て行こうとした。
「おい、ハシブト!どうするつもりだ?」
「先生を救いに行くのだ。わしは『孤独を癒すカラス』なのだぞ」
肩を怒らせて、ハシブトは職員室に戻っていた。
僕は困り果てた顔でハシブトを追いかけていた。




