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孤独を癒すカラス  作者: 葉月 優奈
五話:ツグミの夏声
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来客は意外な人物だった。しかも二人組だ。


「よっ、カラス」

イエイヌが、女の子姿で玄関前に立っていた。

女の子というより、男の子っぽいいでたちで冬なのにハッピと半ズボン。ものすごく寒そうだ。

もちろん隣には黒田生徒会長、いや嵯毅の姿もあった。

ワンピースで肩まで出していて、マスク姿で寒そうな格好で来ていた。

嵯毅の顔を見ると、僕もなんだか照れてしまう。嵯毅の手には、大きなフルーツバスケットが握られていた。


「クラスメイトが病気ということで、お見舞いに来ました。

ここが、喜久君の家なのですね。なんだか、喜久君のにおいがします」

「そ、そんなににおいます?」

「とても、においます。いいにおいです」

嵯毅はいつも通り、冷静な顔で僕を見ていた。

僕は嵯毅とイエイヌをハシブトの部屋に通す。


生まれて初めて告白された相手、嵯毅。

高嶺の花な生徒会長、孤高の存在の生徒会長。でも僕の前で、初めて女性を見せてくれた生徒会長。

それが嵯毅だった。同じクラスなので学校でも、目が合うとちょっと気になる存在。

嵯毅とイエイヌを、ハシブトの部屋に案内した。


「おお、イエイヌ」

「カラス、見舞いに来たのだ」

イエイヌが、無邪気な笑顔を見せるとハシブトの表情が明るくなった。


「イエイヌ、太ったな」

「ボクは相変わらずだよ~、ハシブト。死にそうな顔をしているな。苦しゅうない」

「わしは、死にそうではないのだ。永遠に、死ぬことはないのだからな」

「今、なんて言った?」

僕は、ハシブトの言葉にすかさず聞き返していた。


「死ぬことはない、と言ったのだが」

「あれ、言わなかったの?ハシブト」

「うむ、そうだ」ハシブトの顔は少し曇った。


「死なないって、どういうことだよ?」

「喜久、聞いていないのですか?」

「嵯毅も知っていたのか?」

「イエイヌから全部聞きました、ハシブトさんとイエイヌさんは同じですから」

嵯毅は僕が強く詰め寄ったために、うつむいてしまった。


「別に隠すことでもなかろう、話してやろう」

ハシブトは、真剣な顔で大きく息を吐いた。

「それは、三百年前『生類の憐みの令』までさかのぼる」

ハシブトはゆっくりと静かに語り始めた。


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