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来客は意外な人物だった。しかも二人組だ。
「よっ、カラス」
イエイヌが、女の子姿で玄関前に立っていた。
女の子というより、男の子っぽいいでたちで冬なのにハッピと半ズボン。ものすごく寒そうだ。
もちろん隣には黒田生徒会長、いや嵯毅の姿もあった。
ワンピースで肩まで出していて、マスク姿で寒そうな格好で来ていた。
嵯毅の顔を見ると、僕もなんだか照れてしまう。嵯毅の手には、大きなフルーツバスケットが握られていた。
「クラスメイトが病気ということで、お見舞いに来ました。
ここが、喜久君の家なのですね。なんだか、喜久君のにおいがします」
「そ、そんなににおいます?」
「とても、においます。いいにおいです」
嵯毅はいつも通り、冷静な顔で僕を見ていた。
僕は嵯毅とイエイヌをハシブトの部屋に通す。
生まれて初めて告白された相手、嵯毅。
高嶺の花な生徒会長、孤高の存在の生徒会長。でも僕の前で、初めて女性を見せてくれた生徒会長。
それが嵯毅だった。同じクラスなので学校でも、目が合うとちょっと気になる存在。
嵯毅とイエイヌを、ハシブトの部屋に案内した。
「おお、イエイヌ」
「カラス、見舞いに来たのだ」
イエイヌが、無邪気な笑顔を見せるとハシブトの表情が明るくなった。
「イエイヌ、太ったな」
「ボクは相変わらずだよ~、ハシブト。死にそうな顔をしているな。苦しゅうない」
「わしは、死にそうではないのだ。永遠に、死ぬことはないのだからな」
「今、なんて言った?」
僕は、ハシブトの言葉にすかさず聞き返していた。
「死ぬことはない、と言ったのだが」
「あれ、言わなかったの?ハシブト」
「うむ、そうだ」ハシブトの顔は少し曇った。
「死なないって、どういうことだよ?」
「喜久、聞いていないのですか?」
「嵯毅も知っていたのか?」
「イエイヌから全部聞きました、ハシブトさんとイエイヌさんは同じですから」
嵯毅は僕が強く詰め寄ったために、うつむいてしまった。
「別に隠すことでもなかろう、話してやろう」
ハシブトは、真剣な顔で大きく息を吐いた。
「それは、三百年前『生類の憐みの令』までさかのぼる」
ハシブトはゆっくりと静かに語り始めた。




