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幼馴染×悪霊×ラブコメです


対戦お願いします


東雲悠真は長尾侑芽が好きだ。

それは子供の頃から変わらない。

だが、それを口に出す勇気がなかった。

小学校、中学校、高校、大学…共に過ごし、共に笑い…でも、会社員になった途端、その時間は消えてしまった。

互いに忙しく、どんどん疎遠になっていく。

そんな現実に耐えきれず、悠真は神頼みに来た。

幼い頃、彼女と遊んだ小さな神社。

そこは縁結びに強いと今は亡き祖母が言っていた。


ーーー侑芽と、結ばれますように!


強く願ったその時だった。


『その願い、叶えてあげましょか?』


悠真の頭の中に知らない男の声が響いた。


『僕、九条道明いいます。まあ、あんたらの言葉借りるなら…』


ーーー悪霊、いうやつや


♦︎♢♦︎♢♦︎♢


それから、悠真と道明の奇妙な生活が始まった。

『待ってるだけじゃあきまへん、動かな』

「うるせー、わかってるんだよ」

脳内に響く道明の声に思わず悠真は怒鳴って、咄嗟に口をつぐむ。

道明の声は悠真だけに聞こえる。

迂闊に返せば独り言を言ってる危ない人になってしまう。道明は笑った。

『ま、あの神社の神さんもサービスしてくれはったようやし、きばりぃ…』

言われて悠真が前を向くと、バスを待つ侑芽の姿を視界にとらえた。

少し大人びているが、間違いない。

「侑芽っ!」

「ん?ゆうちゃん!?」

悠真が呼びかけると侑芽は振り返り、笑顔をみせた。

昔と変わらない柔らかい笑みに、悠真の胸が高鳴る。

「久しぶりだね?」

「ああ」

「元気だった?」

「まあ」

だが笑顔で話しかけてくる侑芽に悠真は照れ臭くてなかなか言葉が出てこなかった。

『見てられまへんな』

その時、悠真の頭の中で道明が喋った。

道明の笑い声が聞こえると同時に、悠真の体が動かなくなる。

ーーーなんだ?これ?

「『侑芽は相変わらずかわええな』」

気がつくと、口が勝手に動き、手が勝手に侑芽の頭を撫でていた。


悠真は体の主導権を取られていた。


ーーー侑芽っ!!


「もう、ゆうちゃんたら!子供扱いしないでよ」

「『子供扱いなんてしとらんよ?思ったことを言うとるだけや』」

侑芽は違和感に気づいていない。「もうっ!」と照れくさそうに笑っている。

「『なあ、明日休みなん?大人らしく飲み行かへん?』」

「うん、いいよ!私も久しぶりにゆうちゃんとお話ししたい!」

侑芽が即答した。道明は悠真の顔で笑い

『ほな、お膳立てはしといたで、あとは自分で頑張りい』

いきなり悠真に主導権を返した。

「な、なにいってやがる!」

悠真は思わず返し…

「え?ゆうちゃん?」

目を白黒させている侑芽を見て我に返った。

「あ、これは違うんだ」

悠真はフォローしようとしてしどろもどろだ。

脳内の道明が爆笑しているのを感じた。

「そう?なら行こうか?」

侑芽が先導すると、ますます道明は笑いがとまらなくなった。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢


2人が入ったのは駅前の居酒屋チェーンだった。

個室に案内され、タブレットで適当に注文を済ませる。

「なれてるねー」と侑芽に感心され「まあな」と返した。

そしてとりとめのない話をする。

「ゆうちゃんとお酒飲むの、大学以来?」

「そうだな…かなり久しぶりだよなぁ」

「仕事忙しい?」

「まあまあ、侑芽は?」

「私もー、新人が続かなくてさー」

「どこも一緒だな」


その時、また道明が話しかけてきた。

『駄目や駄目や、女の子に気ぃ使わせよって』

ほな、代われと、再び主導権を奪われた。

ーーーちょっと、お前、何にする気だ!

『なあに、お手本を見せたるだけですわ』

道明の声は笑っていた。


悠真の体の道明は、侑芽の小さな手をとった。

そして顔を覗き込み、尋ねる。

「『なあ、侑芽? 付き合うてる人おるん?』」

「どうしたの、ゆうちゃんいきなり…」

「『気になってしゃーないんや、教えて?』」

「…いないよ」

真っ赤になって答えた侑芽の頭を悠真の体で撫でる。

「『そりゃあ、よかった』」と笑うと「良くないよ!」と侑芽。

「だいたい、なんでそんなこと聞くのよ?!」

恥ずかしいのか、やや強めの口調の夢の唇に道明は人差し指を当てた。

「『それは、今は内緒や』」

もう!と侑芽は顔をそむけた。

悠真の姿の道明はまた笑った。


『良かったな、悠真、これは脈アリや』

ーーーなんでだよ

『ここからはお前の番や。次の約束でも取り付けて来い』

ーーーはっ?!


そして悠真はまた放り出された。


顔を逸らしたままの侑芽に悠真は戸惑う。

ーーーここからどうしろっていうんだよ!

「そ、そんなことよりさ、飲もうぜ」

「そんなことってなによ、もう」

そうは言いながらも、侑芽は笑ってカクテルに口をつけた。

「美味しい」と小さく呟く侑芽に悠真も自然と笑顔になった。

「あ、あのさぁ、明日…なんだけどさ」

「なあに?」

「また会えないか?」

久しぶりにあったから、まだ話したいことが沢山あるんだ。

そういうと、侑芽は笑顔でうなづいた。

「いいよ、どこ行く?」


ーーーヤバい!考えてなかった!

心の中で叫ぶと、道明はまた爆笑した。

『侑芽は何が好きなんか、思い出してみい』

お前だからわかることやと彼は言う。

遊んでるだけではない。本当に恋愛指南するつもりはあるようだ。


「も、モールにさ、猫カフェできただろ?」

「うん、常連!」

「じょうれ…」

昔から猫が好きだったのは覚えていた。

覚えていたが…悠真の知らない侑芽がそこにはいた。

「悠真もいきたかったの?」

「お、おう」

「じゃあ連れて行ってあげる!」

脳内で大爆笑する道明の声が聞こえた気がした。


続くのじゃ

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