第15話『終わってみれば…』
雑談が盛り上がりすぎて、生産修法がおざなりになったことは、後で男性リーダーにこってり怒られた。
「仕事ナメとんのか⁈」
ポールなどは言ったが、後でトゥーラに話を聞いて、ゲラゲラ腹を抱えて笑ったのである。
タイラーは……自分が本気になって怒ると被害が大きいので黙ったいたが、静かに怒っていた。
それで、二人きりになって、ついにオリーブに聞かれてしまった。
「——怒ってるの?」
「——別に」
うわぁ、絶対怒ってるよ、と思いながらしゅんとなるオリーブ。
「……ごめんね、統率力のないリーダーで」
「? なんでオリーブが謝るんだ」
「だって、みんなにいいようにからかわれて、おたおたしたの私だし」
「からかわれて対応に困るのは誰だって同じだろ」
そうじゃなくて、タイラーにまで恥をかかせてしまった自分が許せないのだ。
「まぁ、倉庫の作業は今日中に終わったから、明日からはそうはさせないがな」
いち早く気持ちを切り替えるタイラー。
「……」
今日の失態が忘れられないオリーブ。
話がかみ合うはずもなく、黙りがちになる。
「……じゃあ、今日はこれで帰るね」
「あ、ああ、おやすみ」
「おやすみなさい」
勢いよく振り切っていこうとして、オリーブは涙を光らせた。
タイラーがそれに気づかないわけがなく――ガシッと手を掴まれる。
「——泣いてる」
「……」
「どうした?」
声にならない声で呟くオリーブ。
タイラーはオリーブの背中を包むようにそっと抱きしめた。
「……みんなにからかわれるのがそんなにつらかったのか?」
「……逆」
「えっ?」
「——嬉しくていっぱいしゃべっちゃった。でも、タイラーは公私混同していると思うのよね?」
「何事もほどほどにしてくれれば、別に怒ることでもない」
「——タイラーに恥かかせちゃった」
「恥?」
Aのこと、トゥーラがしゃべっちゃった。
こそっと耳元で囁くオリーブ。
ぞくっとしながら、タイラーは堪えて溜め息をついた。
「——これだから女は」
「怒らないで」
「……君も怒るなよ」
上弦の月が重なった二つの影をスーッと伸ばした。




