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異世界ライフは山あり谷あり  作者: 常盤今
第3章 激闘編

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023

「乗合馬車が襲われたなんて、犠牲者が出てなくても大事件だからね。是が非でも揉み消したかったのだろうけど、彼は3年もこの街にいて、南部領における冒険者の重要性を理解できてなかったのだね」


「ゴトス(=商業ギルド長)は如何なりましょうか?」


「王都で裁判にかけられることになるかな。王国としてもこの機会を活かして、商人たちに睨みを効かすつもりだろう。

 罪状は横領罪になるかな。揉み消しそのものは南部防衛には影響大だとしても、法的には正式な護衛依頼でもなく怪我人すら出ていないのでは罪に問えないからね」


「ゴブリンを放置し、馬車が襲われた原因を作った責任があるのでは?」


「そこは微妙だよね。

 結果的には君の言う通りなんだけど、元々商業ギルドには、ゴブリンの討伐や街道の安全を確保する義務なんてないからね。あくまで商売を行う上で必要だったから、予算を組んで冒険者ギルドに依頼を出していた訳で」


 今回の件では、ゴトスはお(とが)めなしになりそうな雰囲気だな。


「横領は別にして、ゴトスの判断が間違っていたとは言えないのだよ。どこに居たのかもわからないゴブリンに対して、その討伐報酬を払い続けることへの根強い反対意見が、商業ギルド内に前からあったのは事実のようだ。見回りについても冒険者の裁量如何なので、これも前から効果が疑問視されていた」


「軍隊で討伐するという訳にはいかないのでしょうか?」


 確か5日前にも西の森の魔物を殲滅したらしいし。


「さすがにゴブリン相手に軍は動かせないかな。1体につき、冒険者に依頼する場合の数十倍の費用が掛かると思ってくれていい。それにバルーカの防衛任務を疎かにすることはできない。

 もっとも実戦演習も兼ねて、定期的に西の森の掃討は行っているけどね」


 ゴブリンが多い西の森の魔物は、演習の相手としても最適なわけか。


「ちょっと話はズレたけど、君にはお詫びの意味も含めて商業ギルドから馬車を救った感謝料として20万ルク。揉み消そうとしたことへの謝罪料として50万ルクを引っ張ってきた。はいどうぞ」


 大金貨7枚を渡される。


「過分な御配慮に深く感謝致します」


「私が出した訳ではないから気にしないでいいよ。商業ギルドの一件は以上かな」


「では、次は私から」


 金髪ねーちゃんは何の用なんだ? 初対面のはずだが……

 普通から微の間ぐらいか? どこのこととは言わないが。


「私は帝国から派遣されてる白鳳騎士団長エルカリーゼ・フォン・ビグラムです」


「初めまして。ツトムと申します」


 帝国って確か王国の北にある強大な軍事国家だったな。

 その黒を基調とした軍服も帝国のモノなのだろう。

 確かグラバラス帝国だったか。


「本日この場に同席しましたのは、そなたに聞きたいことがあったからです」


「なんでしょうか?」


「なぜ、商業ギルド長の首を要求したのですか?

 戦いをなかったことにされた。報酬を貰えなかった。貴方が受けた仕打ちに比して、要求が過大あるいは大仰過ぎると思うのですが、いかがですか?」


 もう済んだことを蒸し返しやがって。

 物理首とは思わなかった、なんて今更言える雰囲気ではないし……


 待てよ。首が勘違いだとしても、元々城側と戦闘に発展する想定はしていたんだ。

 そのことについて言えばいい。


「失礼ながら。大仰過ぎるという感じ方は、城内の様子を良くご存知の方の見方でございます」


「貴方は違うと?」


「はい。商業ギルド長があのような無法を行うのは、統治されてる方々の後ろ盾があるからだと考えました」


「となると、私と閣下も容疑者になってしまうね」


「ただの想像でしかありませんでしたが、その直後に冒険者ギルドで城からの出頭命令を受けてしまいます。当然私としてはこの2つを関連付けて捉える他なく、私を害するか捕える目的での出頭命令と考えます。

 なので、連れに城のほうで騒ぎや爆発音がしたら街を出るように言って後事を託してから、登城致した次第であります」


「なるほど。納得しました。ロイター子爵」


「なんでしょう?」


「一昨日、伯爵が誠意を持って迅速に対応なさらなければ無益な戦闘が行われ、多くの犠牲者が出る事態になっていたかもしれません。改めて伯爵の対応に感謝申し上げると共に、貴国の先人からの教えを胸に刻みたいと思います」


「伯爵にお伝えしましょう」


「ところでツトムとやら。そなた、貴族に興味ありませんか?」


「お貴族様に、ですか?」


 何だ?


「帝国では子爵の推挙があれば、割と簡単に騎士爵や準男爵ぐらいにならなれますよ」


「困りますなビグラム子爵。我が国の有望な若者を引き抜こうとされては」


「ふふふ。最後までお聞きください。

 ツトムとやら。叙爵(じょしゃく)後に私と結婚なさい」


「なっ!?」


 なぜにそうなる??


「ビグラム子爵家は私が継いでるから当主は無理だけど、子爵家のナンバー2になれるわよ?」


 や、やばいやばい。

 貴族なんて謀殺暗殺毒殺なんでもござれの超危険地帯じゃないか。

 しかも正室と側室がはっきり分かれていて、ギスギスしてる感じの嫌なハーレムだろ?

 俺が望むのはイチャイチャハーレムであって方向性がまるで違う!

 落ち着け。

 ここの断り方は慎重に。

 この手の金髪貴族は、プライドを刺激するに限る。(もちろん二次元知識)


「恐れながら。ビグラム様は、自身が与えた地位や立場を有り難がり、それに執着するような男性に興味を持たれるのでしょうか?」


「!!」


「たとえ小人の妄言と言われようが、自身の力で掴み取り築き上げた事にこそ、自分は価値を見出しとうございます」


「ふふふ。あはははははは!?」


「ビグラム子爵?」


「ベルガーナ王国侮り難し! 一介の冒険者ですら尚武(しょうぶ)の気質を持つ手強き国なり!!

 本国に送る報告書にこう記させて頂きます。失礼」


 金髪ねーちゃんは颯爽(さっそう)と部屋を出ていった。

 残されたのは俺とロイター子爵である。


「……いやはや何とも君は大胆不敵だねぇ」


「いえ」


「どうだい? ウチに仕える気はないかい?」


 こっちもかよ! なら、


「ビグラム様からのお誘いをお断りしたからには……」


「せめて同等以上の条件でなければ帝国に対して角が立つか……上手い断り方をしてくるものだ」


「過大評価にございます」


「まぁいいさ。本題である訓練場に行こうか」


 所持金127万4720ルク→197万4720ルク

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