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異世界ライフは山あり谷あり  作者: 常盤今
第3章 激闘編

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021

 昨晩はなぜか激しく攻められた一戦の後で、ルルカからこの国の慣習について教えられた。

 俺は知らない内にかなり危ない橋を渡っていたらしい。

 ファンタジーな世界なんだし、解雇と斬首の認識違いぐらいは気付くべきだった。

 道理で伯爵に会った後で、打ち合わせした担当者が俺のことを過剰に気遣うはずだ。

 刺し違える覚悟で城に来たと思い込んでいる者との折衝は、さぞや胃が痛むことだったろう。


 それにしても、俺に教えてた時のルルカは女教師みたいで良かったなぁ。

 スーツぽい服を探して、女教師プレイも良いものなのかもしれない。



 2週間近く前に賃貸物件のことを聞いた商人の店舗に行き、数ある中から何件か選んで案内してもらった。


 俺達が選んだ家は、壁外区の東にある2階建て3LDKで、風呂と庭付である。家賃月10万ルク也。

 2階には2部屋でその内の1つをルルカの私室にする。1階の奥の部屋が俺の寝室だ。

 2階の2部屋がそれぞれ6畳・1階の部屋が4畳半・リビングが12畳である。目測なのでおそらく。

 なぜ2階を自分の部屋にしないかは、1階の部屋がトイレと風呂に近いからである。狭いとこも割と好きだし。

 風呂でイチャイチャして即寝室、という流れも極めて重要である。




 商人のとこで最初に言われた通りに8か月分の支払いを済ませて鍵を受け取り、その足で家具など必要なものを買いに行く。

 ベッドはそこそこ大きく、アレの時に音の出ないタイプを選んだ。あの音気になるんだよね。

 その他家具・調理器具・食器などなど収納魔法大活躍である。

 ほどほどのところで切り上げ、借りたばかりの家に戻った。


 所持金239万5320ルク→124万8120ルク




 ドアを開けたところで待ったを掛ける。


「今からこの家に入る際は靴を脱ぐものとする!」


「土足禁止ということでしょうか?」


「その通りだ。欧米風は好かん」


「おうべ?」


「なんでもない。こうして土魔法で少し段差を付けて、ここを靴を置く場所とする」


 靴を脱いで、浄化魔法を掛けながら部屋の各所に家具を置いていく。


「あの、ツトムさ、んが全てやってしまうと、私の仕事が……」


「こういう事は収納魔法と浄化魔法の得意領域だからなぁ。

 ルルカは日常的な買い物と、料理や家の中の管理だな」


「かしこまりました」


「もちろんのことだが……」


 ルルカの手を引き、置いたばかりのベッドに移動する。


「最優先すべきなのは俺への奉仕だから」


「……はい」





 1本後に遅めの昼食にする。王都で買い込んだパンと城内のシチューである。


「午後からは久しぶりに、軽く狩りに行こうと思う」


「お気を付けください」


「大丈夫だ。魔物相手に負けたことはない」


 『当たり前やないか~い』みたいなツッコミは当然ながらなかった。ボケ殺しかっ?!

 ……うん。家を借りて変なテンションになってるようだ。気を付けないと、厳格な主としてのイメージが損なわれてしまう。




 北西の狩場に行き、いつものようにゴブリンを焼いてオークを誘う。


 森から出てきたオークを1体残して土槍で倒し、残った1体に初の対オーク近接戦を挑む。


 ゴブリンとは段違いに違うパワーに押されつつも、オークの攻撃を何とか(さば)く。


 しかしながらこちらの攻撃がほとんど通じない。オークのぶ厚い肉に阻まれて、槍で突いても剣で斬っても致命傷にはならず、浅い傷を負わせるのみなのだ。


 もう1歩か2歩踏み込めばそこそこのダメージを与えられると思うのだが、それをするとオークの攻撃を喰らうことが体感でわかってしまうので、踏み込み切れないでいる。


 魔法で倒したオークの死体を放置してたせいか、血の匂いに釣られて周辺の魔物が近付きつつある。


 勝負すべきだと判断した俺は、オークの足の腱を斬り付け動きを鈍らせて、心臓目掛けて渾身の突きを放つ。


 これまでより1歩半ほど踏み込んだ突きは、今までで一番の手応えだったのだが絶命させるには至らず、棍棒による反撃を喰らってしまった。

 一応攻撃が当たる瞬間に某無手最強古武術の浮身を試みたのだが、ダメだったみたいで左腕の骨がポッキリ折られて弾け飛ばされた。


 無念だが痛いし仕方ないので土槍で倒し、左腕に回復魔法を施す。


 今の俺の近接戦闘の技量では、オークを仕留めるのは無理なのだろう。

 時間を掛けていいのであれば失血死は狙えるかもしれないが、あんなに傷を付けては素材としての価値は失われてしまう。それ以前にソロだと悠々と一騎討なんてしていられない。


 死体を収納し、周辺の魔物を掃討して再びゴブリン焼きをする。

 なかなか餌に掛からないので、場所を変える為に移動した。




 変えた場所も食いつきが悪く、今日は早めに切り上げることにする。


 別の狩場を探すべきかもしれない。


 ギルドに行き死体を売却した後で、受付で適当な狩場について聞く。

 担当は前回と同じ秘書タイプのお姉さんだった。


「西の森は、5日ほど前に城の騎士団が大規模な掃討作戦を行ったばかりなのです」


「オークが少ないのもその影響なのですか?」


「間違いありません。いくつかのゴブリンの集落と、オークの小さな群れを壊滅させたみたいですよ」


「他に近場でオークのいそうなところはありませんか?」


「南東の森でいくつかの目撃情報がありますね」


 南東の森は少し遠い。歩きで1時間以上は掛かりそうだ。

 いや、若返ってるのだし走っていけばいいのではないか?

 走ることは運動の基本だし、近接戦をやる上でも無駄にはなるまい。


 秘書タイプのお姉さんにお礼を言ってギルドを後にする。


 それにしても、飛行魔法が使えれば地図(強化型)があるので、魔物も簡単に見つけることができるのだが。

 ここ数日は魔盾の練習を減らして、代わりに滞空魔法を練習してるのだが、ちっとも上手くいかない。

 根本的にやり方を間違えてるのかもしれない。


 明日南東の森に……午後から城に行かないといけないから時間的に厳しいか?

 朝一番で出るならいいが、せっかく家を借りたのだから朝はルルカとイチャイチャしたい。


 イチャイチャで大事な用を思い出した。

 ベッド他を買った家具屋に行き、陳列してある防水加工が施された風呂用の木製椅子の生産者を聞く。

 午前中に大量購入したのが効いてか、すんなりと教えてもらった。


 家具屋から少し歩き、椅子の生産者が勤めている木工所に行く。

 そこでオーダーメイドで風呂用の木製椅子の製作を依頼する。もちろん2人分だ。

 そう。いわゆるエッチぃ椅子である。

 明日の午後にはできるみたいなので、明日の夕方また来ると伝えて帰宅した。

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