プロローグ
…何だったんだ。
俺の見てきたものは。
俺の信じてきたものは。
Reversal
―主人公がヴィランになるまで―
俺の名前は、杉崎 渉。
現在高校3年生で野球部キャプテン。
入部当初はボールの手入れすらままならなかった部員の皆を鼓舞し続け、顧問の先生へは野球のルールを一から教え、練習内容の提案を行なった。
二年生から不登校だったマネージャーには、家へ何度も足を運んで登校、練習へ参加して貰えるようにもなった。
そんな俺達が最後に手にした結果は県大会にてベスト8。
優勝とまでは行かずとも、予選試合ですらも勝てなかった俺たちはかなりの飛躍を遂げた。
寂れていたとは思えないほど、汗と涙を吸い込んだこの部室もあともう少しでお別れだ。
この3年間は素晴らしい学校生活だった。
部活は勿論のこと、体育祭、文化祭といった行事も毎年盛り上がった。
勉強は…誇れるほどでは無いが一般的だったと思う。
みんなで一丸となるということは俺のモットーだ。
曲がったことが嫌い、仲間外れは作らない。
下を向いている人がいたら、進んで声を掛けた。
最初は俯いていたやつも、最後にはちゃんと顔を上げて笑ってくれる。
その瞬間、自分がここにいる意味を強く実感できた。
おかげでクラスでの打ち上げは毎回全員参加だ。
誰かが笑ってくれるたびに、自分のやってきた事は正しかったのだと、確信できた。
学校内でもこれらの結果が認められ、表彰された。
生徒会長がにこやかに、強く握りしめた賞状を渡してくれたことは記憶に新しい。
卒業後も、期待に胸膨らむ事ばかりだ。
来年からは晴れて推薦で、某名門大学への進学が決まっている。
両親や担任にたくさん相談に乗ってもらい、背中を押してもらった感謝は忘れない。
順調だ。
俺のやり方は、間違っていなかった。
だからこそ、ここまで来れた。
本当に俺に生まれてよかった。
____そう思っていた、18歳の冬。
背後でタイヤがアスファルトを擦る音がした。
振り返る間もなく、見知らぬワンボックスが俺の視界を埋めた。




