4. ぶちまけ
「そういえば名前きいてないよね!私はハルカ!」
「僕は千明です」
僕はハルカさんを助けたお礼に、はなしをきいてもらうことになった。
「敬語じゃなくてイイヨ?高校生でしょ?
何年生?」
「高2です」
「同い年じゃん!!」
「は!?」
思わず口にでてしまった。
うそだろ…
あまりに幼いような言動と華奢な容姿から、てっきり中学一年生くらいだと思っていた
「なんだよー」
「…嘘?」
「ホントだし!」
ムッと怒ったみたいな表情をした。
なぜだろうか。彼女相手だと普通に話せる。
「高校はどこなの?海の近く?」
「そーだったんだけど、昨日引っ越してきて、
明日から新しい高校なんだ!」
どうやら高校生だってのはホントらしい。
「へー、ここら辺の?」
「そーそー!!…あ」
ハルカさんが一瞬しまったという顔をした。
「こ、個人情報だからこれ以上は言わないよ!」
焦ったように言う。
なんじゃそりゃ
「じゃ、そろそろ本題にハイロー!」
彼女が切り替えたように言う
「君はどうして死のうとしたの?」
せっかくだし、とことんぶちまけよう
「…僕は、中学のときから、人と関わったり
喋ったりすることが、とてもこわく
なったんだ。」
「でも、私と普通に喋れてるじゃん!」
「ハルカさんはなんか話しやすいから。」
「へー、特別な感じ~?」
からかうようににやにや見てくる
「そんなんじゃない!」
「照れちゃって~」
うざい
僕はちょっと顔をしかめる
「ごめんごめ~ん冗談だって!
君はなんで人が怖くなったの?」
「喧嘩したんだ。友達と」
「どうして?」
「僕は、人の顔を伺って話してて、きもちわるい
っていわれたんだ。それが気にくわなくて、
言い返したら、喧嘩になったんだ。」
そう、僕が中学の時…
「おい千明ー!おまえもカラオケ行くよなー?」
見たい番組あんだけどな、まあ、嫌われたくないし
「おーいくいく!!」
「よっしゃいくかー!」
僕は中学の時よく卓也、俊介、陽一と一緒にいた。
俊介はいつも僕をにらんでいた。
「お前、行きたくないんじゃねーの?」
「え、そんなことないけど」
顔にでていただろうか。
「いこーぜいこーぜー」
「…」
僕はこんな感じに上手くやっていた。
はずだった。
あれは俊介が陸上の大会前にけがをしたときのことだった。
「ざんねんだよな。」
「お前、ホントに頑張ってたもんな。」
俊介は陸上部で、サボることもなく真剣に取り組んでいた。全国に行けるようなレベルだったらしい。
「あんなに、あんなに練習したのに…」
みんな励ましてる、俺も励まそう
「分かるよ、ざんねんだよな。」
明るく言ってやった。
俊介の肩に手をやる。
その時、俊介の拳が俺の顔めがけて思いきり飛んできた。
「…ゔっ、なにすんだよ!」
「黙ってろよ!思ってないことヘラヘラして言ってくんじゃねぇよ!」
「は?!心配して言ってやってんだろ!」
「心配なんかしてねぇだろ!いっつもいっつも人の顔伺いやがって!気持ち悪いんだよ‼」
「俺がいつ顔伺ったんだよ!」
「いっつもだろうが!自分の思ってることなんて一切口に出さねぇくせに!てめぇ写真部ダセェって言われてやめたんだろ?人の意見に振り回されて好きなこと捨てるやつに俺の気持ちがわかるかよ!」
僕は写真部だった。そこそこたのしかったのだが、学校では写真部のヤツはダサいという風潮が流れ、僕は二年続けてきた部活をすぐにやめた。
「、っ!!」
「なんだよ!図星だろ!?」
言い返せない。
確かにそうだ。
「…顔なんてうかがってねぇよ!」
「ほらな!そうやって嘘ばっかつきやがって!」
「だまれよ!」
そこから僕たちは殴り合いになったが、卓也と
陽一が止めに入り、喧嘩はおさまった。
「…俺はひとりでかえる!」
俊介が怒鳴り声で言う。
「おい千明、二度と俺に話しかけんなよ」
「…」
僕をにらんだ後、俊介は去っていった。
「まあ、こんなこともあるよ」
「アイツも怪我して変な感じになってたんだろ」
卓也と陽一が気を遣ったように言う
あー、明るくしなきゃな
「そーだよな!」
「あした、俺たちで話してみるよ」
「悪いな、よろしくな!」
「だいじょーぶだろ!仲直りできるって!」
「…」
なんなんだよアイツ…
俺が顔を伺ってる?
なんのことだよ
ムカつく
僕のなにをわかんだよ、
次の日、中学で昼休みの時、トイレにいこうとしたところ、俊介、卓也、陽一が話し合っているのを偶然きいてしまった。
「…だってよ、そう思わねぇか?!アイツ、いっつも人の顔伺ってんだろ!気づかねぇのか?」
気づくわけないだろ、伺ってないんだから
「…まあ、壁あるって感じはするよな」
陽一が言った
……は?
卓也も続けて言う
「なんか、気遣って話してる?みたいなのはあるよな」
気を遣ってる?俺が?
「だろ?きもちわるいだろ!?」
「…まあ、話しててへんなかんじっていうかな」
「少しは、思うかもな、俺らのこと、信用してないみたいな」
なんのことなんだよ、気なんて遣ってないよ
俊介が言う
「この際、俺はアイツと縁を切る。お前らもそうしろよ」
「うーん、」
「まあ、昼休み終わるし、教室もどろーぜ」
僕は走って教室に戻る
アイツらも教室にきた。
僕に近付いて話しかける
「わりぃ、アイツ相当きれてるみたいで、だめだわ」
「また話してみるからよ」
普通に話しかけてくる。
さっきまであんなに散々いってたくせに
「…なあ、僕、気を遣ってるとおもうか?」
聞いてみた
「そんなわけねーじゃん!」
「おもわねーよ!」
あー、もうわかんない。
「…お前らだって、気遣ってんじゃねーか」
「え?」
「もう話しかけんな。」
言ってしまった。
「…」
「行こうぜ」
2人が去っていく
そこからは、もう3人と話すことはなかった。
次第に僕は誰とも話せなくなっていった。
僕をさけるようになっていった。
また知らぬまに気を遣ってしまうことと
気を遣われるのがこわいから。
…………
僕はこの一部始終をハルカに話した。
結構スッキリした。
「それ以来、僕は人と関わることがこわくなったんだ。それで、寂しいし、辛いし、つまらないし、死のうと思ったんだ。」
「…千明君はホントに気を遣ってたの?」
「その頃は自覚なかったんだけど、思い返すと、本音で話していなかったのかもしれない」
「そっか。君は、人と関われれば、死にたくなくなると思う?」
「…多分ね。でも、話しかける勇気もないし、また誰かに嫌われたりしたら、怖い。」
「じゃ、私と友達になろうよ!!」
「…え?」
「人と関われば死にたくなくなりそうなんでしょ?私なら喋れるみたいだし!なろうよ!」
「いや、いいよ別に、俺のためになんか」
「実は私も、友達いないんだよね~!それに、人と話してると私もたのしいし!それにさ!話してる間に、ひととはなせるよーになるかもよ?ま、いやならいーんだけどねー」
また、人と話せるようにか。
なれるかな
でも
なれるかもしれない
「…分かった、よろしく」
「やった!よろしくね!」
ホントに嬉しそうにわらった。
きっと少しも嘘を含まれないまっすぐな笑顔。信頼できる、優しい笑顔。
こんな風に、笑えるように。素直になりたい。
こうして、僕とハルカは友達になった。




