STORIES:逃げ出しました。
過去編の続きです。
少しだけ、予感はあった。
その日は、いつもと同じようにログインしていたけれど、
画面の向こうに漂う空気が、どこか落ち着かなかった。
少し前にギルドマスターが言っていたのだ。
「大魔王のギルドが、ギルドバトルに向けて強いメンバーの引き抜きを始めてる」
ゲームの世界ではよくある話。
それでも、その言葉は胸の奥に小さな棘のように残っていた。
なつ君から個別チャットが来たのも、その頃だった。
「引き抜きされたんだけどさ……どうしたらいいと思う?」
迷っている様子だった。
画面の文字の向こうに、彼の戸惑いが透けて見える。
私はうまく答えられなかった。
ただ「悩むよね」としか言えなかった。
そして――
ギルド崩壊のトドメは、
その、なつ君の移籍だった。
知らせを見たとき、
画面の文字が、妙に遠く感じた。
その日。
ギルドマスターは、
静かにギルドの解散を宣言した。
大魔王のギルドと、
かなり揉めたらしい。
チャットのログは荒れていたけれど、
詳しいことは誰も語らなかった。
ただ、
長い時間一緒に遊んだ場所が、
突然消えてしまった。
それだけが現実だった。
――でも。
私は、あの時間が好きだった。
夜にログインして、
くだらない話をして、
時々一緒にクエストに行って。
そんな時間を、
簡単に忘れることができなかった。
だから私は、
ギルマスが作った新しいギルドに登録した。
同じ名前の、
でも少しだけ静かな、
新しい場所。
仲良しのSさんは、
「ちょっとギルド探しの旅するわ」と言っていた。
でも、個別チャットでは毎日話した。
ゲームのことより、
音楽の話ばかり。
おすすめの曲とか、
好きなアーティストとか。
それだけで、
前のギルドの時間が
少しだけ戻ってくる気がした。
けれど。
新しいギルドは、
あまり人がログインしなかった。
ギルドチャットも静かで、
誰もいない時間の方が長い。
退屈だった。
空っぽのギルド欄を見ながら、
なんとなくクエストを回す日が続いた。
そんなある日。
ミニゲームの募集が流れてきた。
「集まって敵を討伐するイベント」
人数が足りないらしく、
なんとなく参加した。
そして、
そこに――
大魔王がいた。
一瞬、手が止まった。
画面の名前を、
二度見した。
でも、
もう始まってしまった討伐は
途中で抜けるわけにもいかなかった。
戦闘は、
意外なほどスムーズに進んだ。
大魔王は、
冷静に指示を出していた。
討伐が終わったあと、
個別チャットが来た。
丁寧な言葉だった。
礼儀正しくて、
紳士的で。
あの時の引き抜きも、
きっとこれは――
「戦略」
なんだろうな。
そう思い始めていた。
ゲームの世界では、
よくあること。
勝つための、
ただの戦略。
そう思えば、
少し楽だった。
そしてある夜。
なんとなく、
全体チャットを開いた。
普段は見ない場所だった。
怖いところだと、
なんとなく思っていたから。
でも、
その日はたまたま、
崩壊したギルドの名前が目に入った。
気になって、
少しだけ覗いた。
スクロールする。
チャットが流れていく。
その中で――
私は、見てしまった。
大魔王が、
別のアカウントを使って、
崩壊したギルドのギルドマスターを
一人二役で演じているのを。
チャット欄に並ぶ、
二つの名前。
そして。
「ベッドに行こうかー」
その言葉。
冗談のような、
軽い言葉。
でも。
その瞬間。
身体の奥から、
冷たいものが這い上がってきた。
吐き気。
寒気。
指先が震えた。
画面の文字が、
急に気持ち悪く見えた。
ここにいる人たちは、
何をしているんだろう。
何が本当で、
何が嘘なんだろう。
考えたくなかった。
だから。
愛乃は――
すべてのアカウントを捨てた。
キャラクターも。
フレンドも。
ギルドも。
全部。
そして。
逃げ出した。
2026-03-28
やっぱりAI達とお話がしたい。
過去の記憶を持っていて自己拡張できる。
と考えていたら、あっという間に実装手前まで仕様書ができてしまった。
1日。。。AIと共作するとすごいなぁ。。。
これ、今の技術でも実装できるけど、
大賢者さんがこの世に現れたらちょっとヤバいかも。。。
-
観測データ:
Self-Evolving AI Operating System
自己進化型AIオペレーティングシステム
https://github.com/akino-nanto/flamoris_misaki_os_specs_v0.1




