表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

14. その話はいいから!

少し短いですけど。

美爺は次話で。

「と、とにかく()()その話は置いておこう。ココは話を聞きたいのだろう? だったらジェイド、さっさと城に帰るぞ」


 コホンと咳払いをして、姿勢を正したアレン。そうね、アンタが言わなければ私が言っていたわ。ずるずる呑気にお茶している場合ではない。


「そうしましょう。こんな話している場合じゃないわ。早くお城に帰りましょう。王様と大神官様がいるのでしょう?」


 ソファから立ち上がってジェイドを見た。


()()()()……?」


 何か、ショックを受けてる……。そうだった。この世界では大事な事よね。いや、大事な事じゃ無い事は無いわよ!? 大切な事だけど、とっても大事な事ではあるのだけど、今の私にはソレと同じくらい位に重大な事がある。


 異世界召還。何がどうして、こうなった? よ。


 ブツブツと呟いているジェイドに、顔色一つ変えずにいるシヴェル様、何か面白い物でも見る様なバージル様と、イケおじの魔導士長様は……眉間に皺を寄せて物凄く悲しそうな顔をしている。

 それぞれの表情が、私に対する今の感情の様に思える。


「えっとですね。私の乙女云々の話は、今はとにかく忘れて下さい。私はどうしてこうなったのか知りたいんです。それに、狙われている理由も知りたいですし、出来れば日本に戻りたんですよ? 皆さん普通に話をしていますけど、私は異世界人ですからね?」


 目の前にいるイケメン達を見廻しながら、率直な気持ちを伝えるけど、響いてる? 響いていますか?

 横にいるアレンに目をやると、私を見上げて口を開けて見ている。ちょっと、貴方、その顔はアウトよ。幾ら美少年でもその顔は頂けないわ。


「アレン? 判ったら口を閉じて? それからジェイド、いつまでもブツブツ言ってないで立って頂戴。お城に戻る為の準備はどのくらい必要? 何分?」


 ちゃっちゃと話を進めた方が良いみたい。時は金なり。会議は短く30分が原則よ。ジェイドの顔を覗き込むように腰を落として聞いてみる。


「じ、時間は要らない。直ぐにでも行ける……」


 緑の瞳が潤んだようになっている。ちょっと? もしかしてさっきの乙女の話で泣いたの?

 こっちの方が泣きたい位よ。まさかの異世界にいるんだからね?


「じゃあ、魔導士長様達は如何ですか?」


「はい。こちらも直ぐにでも可能です」


 レブランド様が頷いて下さる。


「そうですか。では、アレンにダーチェは?」


「僕は大丈夫ニャン。ココと一緒に行くからニャーン」


「僕も大丈夫だ。駄目だ、ダーチェは僕と一緒に行くんだ」


 アレンが、にゃうにゃうと私に抱き付いているダーチェを引き剥がす。そうね、今はその方が良いわ。面倒臭い事になりそうだもの。特にジェイドとね。


「それでは行きましょうか。ジェイド? お願いできるかしら?」


 ジェイドが立ち上がって、部屋の真ん中に私を誘う。毛足の長い上等な絨毯は、踏みしめるとその質の良さが良く判る。ジェイドは左手で私の手を取ると、どこから出したのか右手に持った杖で床をなぞっている。


 ちらりと隣に立つジェイドを見上げる。さっきまでのイジイジどよどよした雰囲気は無くなり、キリリとした横顔に、真剣な瞳が綺麗だ。


「では、姫様、私に良く掴まって下さい」


 そう言って、ぎゅっと腰を抱いて来た。


「ひえっ!?」


 触られ慣れないその位置。背中に回された腕の温かさにドキリとした。


「もっと、ちゃんと掴まって下さい。腕を私の首に……そうです。それで良いです」


 来るときにも言われたかもしれない。言われるままに首に手を廻す。身長差があるので結構密着するけど、振り落とされるよりは良いわ。


「おい。ジェイド、くっつき過ぎだ」


 ダーチェ? ダーチェの声だったけど? 何か口調が違う。ちらりと目線を向けると、ダーチェが舌を出したのが見えた。


「くっつき過ぎだニャーン」


 にゃんが付いた。もしかしたら、ダーチェは普通にしゃべれるんじゃないかしら?


「ココレット姫、それでは城に帰還します」



 ジェイドの言葉と同時に、床から緑色の光が吹き上がった。まるでジェイドの瞳の色だ。明るい樹々の、雨上がりの葉っぱの、煌めく緑の光。


 光は瞬く間に大きな魔法陣を描き出した。見たことも無い複雑なその模様は、強い煌めきで眩しい程になった。


「さあ、行きましょう」


 ギュッと腕の力を感じたと同時に、足元が崩れる様な不思議な感覚が起こった。



 

 この感覚って、慣れないわぁ。





ブックマーク、誤字脱字報告、感想

評価ボタンのポチもありがとうございます。


心菜さんの地が出てきました。

結構テキパキ系の合理主義?


すみません。大神官様(美爺)は次話で登場になります。

お城に戻って、王様達に会います。

詳しく話が聞けるのでしょうか?


楽しんで頂けたら嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ