株式会社エレメンタル8
「ただいまぁー。いやぁ夏木さんお待たせしました」
少しして逢川さんが戻ってきた。
「いえ。こちらこそ忙しいのにすいません」
「ハハハ。気にしないでください。むしろ僕が無理言って今日の面接ってしちゃったんですしね……。こっちこそ申し訳ないです」
逢川さんはそう言って私に頭を下げた。そうされると逆に恐縮してしまう。
「ったくマジでそうだよねぇー。逢川さんはケイカクセイがないっていうかさぁ」
ふいに美鈴さんが謝る逢川さんにそんな嫌味を言った。
「ちょっとー。香取ちゃん。そこまで言うことないんじゃないのぉ? 俺だって割と忙しいんだよ?」
「はいはい。分かってますよ。で? 昨日は勝ったの?」
美鈴さんはそう言いながら左手でドアノブを回すみたいな仕草をした。
「なっ? なんで知ってんの?」
「うーわ。やっぱそうだよ。かまかけただけだよ! ったくやだやだ! これだからパチ狂いわさぁ」
「うぅ……。香取ちゃんには敵わないな」
逢川さんはタジタジになりながらうなじを掻くとばつが悪そうに苦笑した。
「で? 香取ちゃん的にはどうだった? 夏木さんやっていけそうかな?」
「そうねー。ワタシ的には問題ないと思うよ。ってかむしろウチら二人より適性ありそうかなぁ。礼儀正しいし、仕草一つ一つちゃんと女の子してるしね」
美鈴さんはそう言いながら私の肩をポンと叩いた。そして「とりあえず私は推薦するよ。仲間増えるの嬉しいしね」と言って笑った。よく分からないけれど美鈴さんは私のことを気に入ってくれたらしい。
「そうか。んじゃ俺からは特に何も言うことないかな。えーと夏木さん……。一応身体測定だけして貰って良いかな?」
「身体測定……。ですか?」
「そうそう。ほら、衣装作るのに必要だからさ。あとは……」
逢川さんはそう言うとキャビネットからカタログを取り出して私に差し出した。
「うんとね。一応衣装の好みだけは前もって聞かせて貰ってるんだ。好きな色選んでいいよ。まぁ他のメンバーと被らないようにしなきゃなんないから赤と黄色は売り切れだけどね」
それから私は逢川さんが見せてくれたカタログの中から衣装を選んだ。彼の話では赤は美鈴さんが。黄色はさっき写真で見た弥生さんが既に使っているらしい。
何色がいいのだろう? 赤と黄色以外なら緑か紫か青かな……。と妙な悩み方をした。たぶん今まで生きてきた中で一番奇妙な色選びだと思う。
「じゃあ……。この紫でお願いします」
「お、良い好みだね。分かったよー。じゃあ身体測定しちゃおうか」
逢川さんはそう言うと受付に声を掛けた。




