オフィス・トライメライ 幕張研修所11
それから私たちは少しの間、お茶会のようなことをした。そして三人で談笑していると鹿島さんが自身の人となりを簡単に教えてくれた。どうやら蔵田さんは彼女の叔母さんの旦那さんらしく、それが縁でUGで働いているらしい。
「あの人かなり性癖歪んでるんですよぉ。義理の姪っ子にあんな格好させて喜んでるんですから。本当にもう……。どうしようもない変態野郎ですね」
鹿島さんはいつもの口調でそんな毒を吐くとお茶を口に含んだ。言葉の内容と言い方が全く合っていない。
「そうなんですね……。私はてっきり鹿島さんはゴスロリ趣味なのかと」
「うーん。嫌いではないですよ? これでも縫い子ですからどんな衣装だって気にはなります。でも……。普段はまず着ないですねぇ。どちらかと言えば和装の方が好きなくらいですし」
「……確かに鹿島さんは振り袖とか似合いそうですよね」
「そうそう! そうなんですよー! ほら私の顔って明らかな塩顔じゃないですか? だからゴスロリみたいな服はあんまり似合わないんですよね。化粧で多少はごまかせても弥生ちゃんみたいには着こなせないです」
鹿島さんはそこまで言うと弥生さんに「弥生ちゃんは洋装似合うもんね」と話を振った。弥生さんは「まぁ……。そうね」とだけ答える。やはり今回も否定はしない。案外弥生さんは自身の可愛さについて自覚があるのかも知れない。
「蔵田さんのはねぇ……。アレばっかりはいただけないよね。まぁ彼も一応は服飾デザイナーだからテストも兼ねてるんだろうけど」
「そうですねぇ。実際私の衣装は全部店長の作品ですからね。……正直嫉妬しちゃいます。まだ私にはあれだけの服は縫えないから」
鹿島さんはそう言うと「まぁそれでも変態クソ野郎なんですけどね」と付け加えた。最高に口が悪い。まぁ……。その言い方から察するに尊敬もしているのだろうけれど――。




