株式会社エレメンタル19
美鈴さんはバイクに跨がるを私に半分型のヘルメットを差し出した。どうやらこれを被れということらしい。
「本当はフルフェイスが良いんだけどさ。流石に二つはリュックに入んなかったんだ。ごめんね」
「大丈夫だよ。じゃあ……。よろしくお願いします」
私はそう言うと彼女の後ろの座席に跨がった。スカートで来たことを少しだけ後悔した――。
それから私たちは国道を酒々井方面に向かって走った。幸いなことに道は空いていてスイスイ進める。
風が気持ちいい。梅雨明けの暑さが和らぐ。むしろ寒いくらいかな。私は美鈴さんの背中に抱きつきながらそんなことを思った。
抱きついた美鈴さんの背中は思いのほか引き締まっていた。筋肉質でアスリートみたいな体型だと思う。本人のコンプレックス通り胸は小さい……。よく言えばスレンダー。悪く言えば幼児体型。そんな身も蓋もない言葉が浮かんだ。当然口にはしなかったけれど。
美鈴さんは私のそんな考えなど知らずに楽しそうにバイクを走らせた。不思議とマフラーから立ち上る熱気さえ心地良く感じた。おそらく彼女の丁寧な運転のおかげでそう思えたのだと思う。美鈴さんの運転には不思議とそんな安心感があった。
しばらく走るとバイクはウインカーを出してエレメンタルのある路地に入っていった。
昨日より少しだけ道ばたの雑草が伸びたように感じた。




