潜むもの
硬貨投入口のなかで、なにかが動いたような気がした。
がさり、とかすかに生物じみた動き。いや、きっと気のせいだろう。──ためらっている間に、優菜が500円玉を入れてしまう。
「どしたの? 奢るよ」
「ああ、……ありがとう」
硬貨は、普通にカウントされている。べつに、問題なさそうだ。もしかすると、小さな虫かなにか、いたのかもしれない。
優菜は、ミルクティー。僕はブラックコーヒーのボタンを押す。ふたりぶんの缶をとりだして、片方を優菜に渡す。
「あ、」
プルタブを引いて、ぷしゅ、と音がした直後、優菜が目をまるくして、
「それ、『はずれ』じゃん。飲んじゃダメだよ」
「え?」
びくりと震えて、手を止める。もう、缶はあいてしまっている。
優菜は下から、僕の持っている缶を覗き込むようにして、
「ほら。……底に、ちっちゃい穴、あるでしょ。そこから入っちゃってるからさあ」
「……なに、が?」
「そ、れ。」
優菜の指の先。僕の手元、開いてしまったプルタブの穴。そこから、
なにかが、こちらをじっと見ていた。
https://twitter.com/kusunoki_umou/status/1228491112324587521
https://twitter.com/kusunoki_umou/status/1307879737746841600




