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北部戦線

20XX年 10月25日01:00  北朝鮮 平城(ピョンソン)市 陸自第2大隊

中国軍が南下を開始して以降、日韓軍の味方となった朝鮮人民軍が応戦するものの、中国軍の圧倒的な兵力のため南下を阻止できず、平壌まで30kmの都市平城(ピョンソン)まで後退してしまった。既に平壌は敵の大型ロケット砲で攻撃を受けており、自衛隊の爆撃で廃墟となった街がさらに破壊された。4時間ほどの戦闘で朝鮮人民軍兵士400名以上が戦死、民間人も200人ほどが死傷している。これだけ被害を出して得られた戦果は中国兵50名、戦車1輌、装甲車3輌を無力化したのみだ。

 平城市まで後退してようやく日韓軍も合流。韓国軍も初めて中国軍と交戦した。現在も日韓朝連合軍と中国軍との間で激戦が続いている。


「司令部からの命令···"平城を死守せよ"だそうだ。簡単に言ってくれるもんだな」

大隊長が部下に報告する。これ以上北朝鮮に進撃されると日韓軍の拠点が失われることになり、韓国本土も危険になる。よってこれ以上の侵攻を阻止せねばならないのだが、敵の兵力も凄まじく、簡単には止められないだろう。

「現在敵は平城から40km先にいる。そこに敵の大部隊が集結して、平城攻略の準備をしていると考えられる。そろそろここも榴弾砲の射程内となる。ゆっくりはしていられないぞ。偵察機からの情報によると、その大部隊は主に99式戦車で構成されていて、数は全部で1000ほど。航空部隊も向かっているらしい。言うまでもないが、我々だけでは対処できない。よって空自と米軍の支援を受けることとなった。空自が航空部隊を、米軍が戦車部隊をある程度攻撃してくれる。その後が我々の出番だ」

「戦車1000輌なんて米軍の支援を受けても難しいのではないですか?アパッチ部隊だってまだ展開していませんよ?」

部下が大隊長に訊く。この質問はもっともなもので、今のところ北部戦線に送ることのできる米軍部隊は在韓米軍のF-16数十機と、一部の空母艦載機のみだ。大隊長が答える。

「その通り。数は少ない。しかし空母艦載機のF/A-18がSFWを搭載して我々を援護してくれるんだ」

隊員たちが一斉にざわめく。

 CBU-97 SFWは最新鋭の対戦車クラスター爆弾だ。一発に40発もの子爆弾が搭載されており、しかもその子爆弾一つ一つに赤外線誘導装置が付いている。それで敵戦車を探し、命中するのだ。子爆弾の弾頭は成形炸薬弾。小型であるため威力は小さいが、確実に戦車上部に命中させることができる。戦車の上部装甲は薄いため、十分撃破可能というわけだ。しかもその威力はイラク戦争で実証済みだ。

「···といわけで空自と米軍が敵部隊をあらかた殲滅したのち、我々が止めを刺す。出番は少ないだろうが気を引き締めてかかるように」

SFWによる支援ということで隊員たちの士気は上がった。今回の攻撃で中国軍はかなりの痛手を受けるだろう。




02:00  平城付近の上空  空自第8航空団 F-3Aアルファ編隊

朝鮮半島上空を監視していたE-767 AWACSが平城に向かう敵の大編隊を捕らえた。先島諸島の戦闘以来の大部隊だ。何としても北朝鮮の日韓朝連合軍を駆逐したいらしい。そのため第8航空団がスクランブル発進し、迎撃に向かっている。

「アルファ1より司令部へ。こちらのレーダーでも敵編隊を捕らえた。オーバー」

「こちら司令部。それが標的だ。交戦を許可する。各機攻撃を開始せよ」

「ラジャー、攻撃を開始する」

レーダーには数えきれないほどの敵機が映っていた。大きなものから小さなものまで···おそらく爆撃機と戦闘機だろう。攻撃するまでに余裕があったため敵編隊の背後に周り込み、主要な敵機から撃墜することにした。しかも背後だと敵機の排気ノズルから出る赤外線が捕らえやすく、ミサイルの命中率も上がる。

「目標ロックオン、ミサイル発射!」

兵倉が開きAAM4が飛び出す。僚機も次々とミサイルを発射している。最初の目標は"空警8 AWACS"と護衛のJ-10戦闘機だ。敵機も突然の攻撃に回避もできなかったようで、何の動きも見せずレーダーから消失した。

「全弾命中!24機撃墜だ。お見事」

AWACSから戦果が方向される。

「こちらアルファ1。AAM4を全弾発射した。敵編隊に接近し引き続きAAM5で攻撃する」

アルファ編隊が敵編隊に接近する。その間にも他の友軍部隊がAAM4で敵編隊を攻撃、さらに16機撃墜した。

 敵編隊が見えてくる。月明かりのおかげで視認可能だ。数十機の輸送機と爆撃機が編隊を組んで飛行しており、護衛のJ-10戦闘機が散開して我々を探していた。しかしステルス機である我々を発見することはできない。そこにすかさずAAM5を撃ち込む。一瞬で8機のJ-10が火だるまになって墜落していった。残るは輸送機と爆撃機のみだ。空挺作戦でも実施しようとしていたのか、輸送機の数がやけに多かった。

「アルファ1からアルファ隊各機、残りは鈍足野郎だけだ。ミサイルを節約するためバルカン砲で撃墜せよ」

アルファ隊各機が散開し、残るH-6爆撃機とIl-76、Y-8輸送機への攻撃を開始した。H-6には尾部機銃が付いて我々を近づけまいと射撃しているが、夜で視界が悪いうえ、高速で飛行するジェット機に当てるのはほぼ不可能だ。F-3Aは銃撃をすんなりと回避し、敵機にM61 20mmバルカン砲を浴びせる。発射速度3000発/分であるため、敵機は一瞬にして炎上。粉々になりながら墜落していった。残る輸送機も容赦なく攻撃する。輸送機は何の自衛火器もないため、この状況ではただの的だ。

「中華野郎め···ゆっくりいたぶってやる···」

Il-76の4基あるエンジンを一つずつ破壊していく。このパイロットとしては、こうして乗員を恐怖に陥れさせたかったのだ。自衛隊員にも中国人に対する怒りはある。多くの隊員が中国による日本本土攻撃で身内を殺されていたのだ。エンジンを3基破壊した時点で輸送機のランプドアが開き、空挺隊員が脱出しようと機体後部に集まっていた。

「させるか!」

すかさずその集団にバルカン砲を発射。全員が粉々に吹き飛び、機体も炎上し高度を一気に下げた。乗員は全員死亡しただろう。

 他のパイロットも、わざと空挺隊員の密集している貨物室を狙って銃撃したり、燃料タンクを銃撃して大爆発を発生させたりした。彼らがやりたかったことは"乗員を皆殺しにすること"だ。"自分がやられて嫌なことは人にするな"という考えはくそ食らえなようで、ただ復讐に燃えていた。


空中戦の結果、自衛隊の損失はゼロで、2機が損傷したのみだった。中国軍はJ-10戦闘機が48機、空警8 AWACSが1機、H-6爆撃機が8機、Il-76輸送機が8機、Y-8輸送機が4機撃墜された。戦死者は自衛隊がゼロで中国軍が650名だった。脱出した者もいたが、そのほとんどがパラシュートで降下中に銃撃され死亡した。生存者はたった29名だ。それほど自衛隊による復讐攻撃は激しかった。




02:40  平城から40kmの空域 アメリカ海軍第102戦闘攻撃飛行隊 F/A-18スーパーホーネット

「日本軍が中国軍航空部隊を殲滅した。作戦を開始せよ」

SFW4発を搭載したF/A-18スーパーホーネット8機が平城に進撃する戦車部隊を攻撃するために出撃した。この爆弾はイラク戦争以来の実戦使用となる。

「プレデターからの情報だ。敵の戦車部隊が現在も南下中。数は600以上。地対空ミサイルに注意しろ」

「ラジャー···。600以上か···SFWを使うにふさわしいな」

一応この8機で1000輌以上撃破できる計算だが、装甲の厚い99式は撃破できるかわからない。


敵戦車部隊が見えてきた。かなりの数で、土煙を上げながら進撃している。

「目標を確認。爆弾投下後は速やかに退避する」

高度を上げ、爆弾の投下用意をする。高度を上げたほうが爆弾の滑降距離が長くなり、それだけ敵部隊に接近しなくて済むのだ。

「爆弾投下···着弾まで40秒」

8機から計32発のSFWが投下される。敵の追撃を受けないよう、そのまま編隊を維持したまま速やかに反転した。

 パイロットたちは退避しながら偵察機から送られる映像をモニターで見ていた。我々が投下した親爆弾が分解し、子爆弾が飛び出す。回転しながら敵戦車を探し、標的をロックオンすると成形炸薬弾頭を発射した。見事戦車上部に命中。パチパチと小さな爆発が無数に起こる。59式戦車など旧式戦車は問題なく撃破できたようで、次々と爆発、停車して炎上していた。99式戦車は頑丈で、しばらく爆発に耐えていたが、さすがに数発が同じ所に命中すると耐えられない。大爆発を起こし砲塔が吹き飛ぶ。

「ハハハハッ!戦車複数撃破だ!爽快だな!」

パイロットたちがあまりの大戦果に興奮する。最終的に99式戦車を91輌、その他59式などの戦車を211輌、装甲車などの車輌を380輌撃破した。これで中国軍機甲部隊は壊滅。北部戦線での日本の勝利は確実だろう。



02:50

戦闘を終え、スーパーホーネット8機は空母へ向かっていた。

「今日はたくさん殺してしまったな。化けて出るんじゃないか?」

「そろそろハロウィンだしな。化けられても見分けがつかないだろ」

「ハハハハッ!そうだな、ちょうどいい時期だな」

僚機同士で会話をしながら帰還していた。

「ビーッ、ビーッ、ビーッ!」

突然ミサイル警報が鳴る。

「な、何だ!?···AWACS!ミサイルを撃たれたぞ!どういうことだ!」

「わ···わからん。敵の地対空ミサイルは射程外のはずだし、敵機の反応もない···。とにかく回避しろ!」

咄嗟にフレアを放出しながら回避したが、次々とミサイルが向かって来る。たちまち先頭の4機が撃墜された。

「畜生!回避できない!···」

これを最後に、16名のパイロットとの連絡が途絶えた。

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