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中国介入

20XX年 10月24日12:00  北朝鮮 平壌 陸自第2大隊

あらかた敵兵を殲滅し、辺りは一面死体だらけとなった。平壌に進撃した部隊のうち第2大隊および韓国海兵隊2個大隊は、朝鮮人民軍2個旅団から攻撃を受けた。本来3個大隊では対処できるような数ではないが、敵の火力が低かったことが幸いした。戦闘の結果、韓国海兵隊のK2戦車3輌と装甲車7輌を損失、隊員59名が戦死。陸自第2大隊の装甲車4輌損失、隊員21名が戦死した。韓国海兵隊は被害が甚大だとして、一旦退却することとなった。人海戦術で攻撃してきた朝鮮人民軍の人的被害は甚大で、この戦闘だけで760名が戦死した。しかしそれでも平壌から敵を追い出すという目的は果たされたため、北朝鮮軍にとっては作戦成功と言えるだろう。


我々第2大隊はこの攻撃によりだいぶ痛手を負った。敵のスナイパーによる狙撃で反撃も難しかったが、オスカーチームの援護のおかげで挽回できた。オスカーチームがスナイパーを始末したのち、敵兵に十字砲火を浴びせたらあっという間に殲滅できた。大隊長とその部下は、激戦が終わった後の死体で溢れた道を歩いていた。

「酷い有り様だな···」

「皆頭を吹き飛ばされていますね。かなり酷く···。5.56mmによるものではないですね」

大隊長の視線の先には、頭を吹き飛ばされた敵兵の死体がいくつも横たわっていた。損傷の具合から見て、オスカーチームの狙撃によるものだ。連中は12.7mm弾を放つバレットライフルを撃ちまくっていたため、被弾したら人など粉々になってしまう。

「そうだな。奴らの仕業だろう。全弾命中させるぞー、とかってはりきっていたし」

「はあ···。あっ、噂をすると···奴らですね」

遠くからオスカーチームが現れ、こちらに歩いて来た。隊長が走って来て大隊長に話かける。

「お疲れ様で~す。苦戦していたようですが、大丈夫ですか?」

「ああ、20名くらい殺られたがな。援護射撃ありがとさん」

大隊長が疲れた顔で答える。

「どうでした?うちの援護射撃は。全弾撃ち尽くしましたが、今回は一発も外してませんよ。そのうえほとんどヘッドショットだったから···自分だけで60人は始末しましたね。チーム全体では200人くらいかな?」

オスカーチーム隊員たちがニコニコしながら頷く。

「しかし、まだ任務は終わってないぞ。全弾撃ち尽くしたって···後の作戦はどうする?」

「ハハハハッ!そうなんですよ。ついつい興奮してしまってね、全弾撃っちまいました!でも大丈夫です。装甲車にたんまり積んでますから」

楽しそうに隊長が話す。60人殺した奴が随分愉快そうに話すものだな···。大隊の隊員たちも疲れた様子で、オスカーチームの連中もこんな雰囲気だが、任務はまだ終わっていない。政府施設の制圧が本当の任務なのだ。それなのに既に日韓両軍大きな被害を受けてしまった。政府施設制圧ではこれ以上の激戦も予想され、死傷者も尋常ではないだろう。ピンチを乗り切ったが、大隊長の顔は晴れなかった。




14:00

ところがその予想を裏切り、驚くべき情報が入った。戦闘が一時治まったのちに平壌防衛軍が停戦を申し出て、日韓と講和したいとのことだった。講和については政府から、つまり総書記から申し出たらしい。しかし北朝鮮側にも条件があり、経済的、軍事的援助を要求して来た。この情報は直ぐに東京の首相たちのもとにも届いた。



同時刻 東京 首相官邸

「···ということで、北朝鮮が講和に応じる代わりに、経済的、軍事的援助を要求しております」

防衛大臣が首相に報告する。まさかの展開に首相も状況を理解できない様子で、ぽかんとしている。

「···ツッコミ所は満載だが···なぜ軍事的援助を要求しているのだ?敵軍に日本が援助するとでも思ってるのか?」

「おそらく中国が怖いんでしょう。北朝鮮が降伏すれば、北朝鮮は一時的に日本の支配下に置かれます。つまり中国から見れば、戦争真っ最中の日本と国境が接してしまうことになるわけです。ただでさえ明日から国連軍が中国に軍事介入してヤバいのに、北朝鮮からも日本が攻めて来るとなると中国は非常に不利になります。北朝鮮から北京も近いですしね。ですから中国は北朝鮮が降伏しようとすれば、軍を派遣してでも必死に止めさせようとします。それから守って欲しいということでしょう」

「なるほどな···。だがさっきまで殺し合っていた相手に軍事援助をするのは無理があるんじゃないか?」

首相がさらに訊く。

「しかし、これを呑まないと講和に応じないと強く言っていましてね。我が国としても、これから中国と全面戦争するのだからできるだけ朝鮮戦争での被害を減らしたい。今日の戦いだけでも、日韓両軍で200名以上の死者が出たそうです。北朝鮮の要求を呑まずに戦闘を続行すれば、さらに多くの犠牲者が出るのは間違いありません。最後の総攻撃は交渉を有利に進めるためだったんでしょうね。これ以上戦うと多くの血が流れるぞ、というメッセージだったのです」

「なるほど。図々しい連中だが、筋は通っているのだな···」


難しい要求ではあったが、最終的には北朝鮮の要求に応じることとした。日本側の講和条件は"北朝鮮の民主化、総書記の権限の縮小、国政安定までの日韓軍駐留の許可"で、北朝鮮側の要求は"経済的、軍事的援助"だ。経済的援助として日本で行っていた経済制裁を一部解除した。また軍事援助として北朝鮮軍に最小限の防衛用兵器の支給を認めた。この武器で反乱が起きないよう、総書記から国民、兵士に説得するよう頼んだ。将軍の言うことなら北朝鮮国民も納得するだろう。



18:30  平壌 人民武力部 特殊作戦群第1中隊

休戦からまだ5時間も経っていないが、早くも講和会議が行われる。平壌攻略を目前にしていたが、これ以上の犠牲者を減らすため北朝鮮の条件にも応じ、講和することとなった。

「あの戦いが最後かよ···期待外れだなあ」

オスカーチーム隊長が呟く。オスカーチームを含む特殊作戦群第1中隊が日韓軍幹部の護衛、会場の警備にあたる。北朝鮮の警備隊だけでは信用できないからだ。

「まあまあ、これから中国とも嫌と言うほど戦いますから」

「平壌戦に備えて装備を万全の状態にしておいたのに。このMP7一発も撃ってないぞ?撃つ機会が来る前に終戦なんてな···予想外だ」

「今回撃てなかった分は中国でぶっぱなしましょうや。国民の矛先も主に中国に向いてますし。そもそも日本に核攻撃したのは中国だし」

「そうだな。中国攻略も明日からだしな。中華野郎皆殺しにしてストレス発散としようか」


会場に各国の代表が集まり、講和会議が行なわれた。会場は人民武力部、国防省のようなものだ。空襲によって一部倒壊していたが、他の建物に比べるとマシなものであった。講和条約の調印に朝鮮人民軍の大将たちが現れ、韓国軍総司令官や自衛隊の将官などが立ち会った。何事もなく調印式が終了。朝鮮人民軍大将と日韓軍指揮官が握手を交わし、朝鮮戦争は終結した。休戦から講和までたった5時間という前代未聞のスピード終戦となった。



20:00  平壌 陸上自衛隊第2大隊

「先ほど中国国境付近に展開する朝鮮人民軍から連絡が入った。中国軍から砲撃を受け、その後敵機甲部隊が越境、南下を開始したとのことだ。応戦したが進撃を止められるほどの被害は与えられなかったらしい。現在その部隊は後方へ50km撤退した。偵察機からもこの様子が捕らえられており、現在も南下中とのことだ。我々もこれから応援に向かう。国連軍の軍事介入にはまだ少し早いが、日韓朝軍合同で対中戦争フライングスタートとなる。総員心してかかるように」

司令部経由で各部隊に"中国南下開始"の連絡が送られた。北朝鮮が降伏し、北朝鮮の支配権が日本に移ったことが原因であろう。日本が北朝鮮を支配したとなると、対戦国である中国と日本が国境で接してしまうことになる。これは中国に非常に不利であるため、朝鮮半島からの日本排除を目的に越境したと思われる。

 北朝鮮降伏を受けて、朝鮮人民軍も日韓軍の友軍となり、共同で国内の治安維持や防衛にあたっている。


対中戦争フライングスタートと言っても、あと4時間で国連軍も中国への攻撃を開始する。東シナ海には沖縄を拠点として日米の艦隊が集結。米海軍の最新鋭正規空母"ジェラルドRフォード"や"ニミッツ"級空母、"タイコンデロガ"級イージス巡洋艦、"ズムウォルト"級駆逐艦、その他強襲揚陸艦など大艦隊が集結して戦闘に備えている。

 南シナ海にはフィリピン、ベトナムを拠点に英国海軍の"クイーン・エリザベス"級VSTOL空母、"インヴィンシブル"級空母、"45型"級駆逐艦。タイ海軍の空母"チャクリ・ナルエベト"、インド海軍の空母"ヴィラート"、ドイツ海軍の"ザクセン"級フリゲートなどが集結した。さらに台湾も国連軍側に就いて軍事介入するとの姿勢をちらつかせている。中国周辺の海は様々な国旗を翻している軍艦で埋めつくされており、もはや中国の勝利は望めない。核で一気に···という手段もあるが、太平洋には米軍の"オハイオ"級SSBNが展開しており、気安く使うこともできない。また、国内の中国軍でも反政府派が増加しており、そのうち反乱を起こした第二砲兵の部隊が核弾道ミサイルを乗っ取り、中国共産党に照準を合わせている。彼らは「国連の介入を妨害すればミサイルを発射する」としている。つまり中国共産党は国内からも国外からもミサイルを向けられているのだ。


国連軍介入まで数時間。世界を巻き込んでの対中戦争が始まろうとしている。

更新が遅くなってしまって申し訳ないです···

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