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金川大戦車戦

万人は一人のために。一人は万人のために。

                  ー ウラジーミル·レーニン

20XX年 10月21日00:00  北朝鮮 開城(ケソン) 陸上自衛隊第2大隊

攻撃開始から2時間が経ち、北朝鮮南部の江原道(カンウォンド)黄海北道(ファンヘプクト)黄海南道(ファンヘナムド)の攻略を行っている。軍事境界線に近いここ開城周辺は完全に制圧され、砲撃部隊の射撃地点となった。今は主に自衛隊が拠点防衛、韓国軍が前線にいて、今のところ日韓両軍ともに大きな被害はない。最初の攻撃で敵もかなりの打撃を受けたのだろう。予想以上に北朝鮮軍の抵抗は小さかった。


開城の敵陣地に来た。ここは先に潜伏していた特殊作戦群が攻撃することになっていた場所だ。既に味方が制圧しているのだが、戦闘の跡は酷いものだった。爆死した思われる粉々になった死体。胴体に大穴が空いていたり足がもげて、頭の砕け散っている死体。骨が露になるほど深く首を斬られている死体などなど。

 その脇で、先ほど合流した特殊作戦群の隊員たちが世間話をして笑っていた。どういう神経してんだか···。


「これ、あんたたち殺ったのか?」

大隊長が尋ねると、世間話をしていた隊員たちが振り向いて答える。

「ええ、そうですよ。作戦通り上手く行きました」ニコニコしながら答える。

「どうやって制圧したんだ?どうやったらこんな死体が···」

「これです。バレットM82。良い銃ですよ。···ああ、それと、こいつは俺が殺りました。こいつは足だけ吹っ飛ばしてしまってね、可哀想なんで直ぐに楽にしてやりました」

オスカーチーム隊長が足元にあった胴体が砕けている死体と、頭が砕け散っている死体を足でコツコツと蹴りながら話した。噂によると、この隊長は元傭兵で、人殺しには慣れているのだとか。···そうだろうな。そうでなきゃ普通に死体を蹴るなんてそう簡単にできるもんじゃないよな···。我々の部隊の中にも敵兵を殺した者はいたが、大抵の者は殺しをした後は元気がない。まあ、それが普通だろうが。

「これは俺が。俺に気づいてなかったんで、後ろから近づいてナイフでサクッと」

一緒にいたエコーチーム隊長が首を斬られた死体をM4カービンの銃口でガツガツつつきながら話す。

「はあ、そうですかぁ···」この集団と居ると気味が悪いので、大隊長はそっとその場を離れた。



同時刻  オスカーチーム

話かけてきた大隊長が、エコーチーム隊長の話を聞いたら途端直ぐに行ってしまった。

「あれ、何かマズイこと言ったかな···?」エコーチーム隊長が心配そうに言う。

「さあ···。まさか大隊長なのにグロいのが嫌とか?ごっつい顔してたけど、けっこうかわいい奴だったりして」

大隊長がいなくなったのをしっかりと確認してから、からかって笑う。


しばらくして、敵増援部隊を食い止めることになっているマイクチームから連絡が入った。

「マイクよりオスカー、エコーへ。遂安(スアン)から敵の戦車が複数、そちらに向かっているようだ。我々でも対処できる量ではないため、増援を要請する。送れ」

「こちらオスカー。だいたい戦車の数はどれくらいだ?送れ」

「100以上だ。主にT-62で編成されている。99式戦車も少数。送れ」

「了解。それは我々でも対処できそうもないな···。第2戦車連隊にも協力を要請してみる」

遂安はここから40kmほど離れた場所だ。遂安だけで100輌以上の戦車がいるそうだが、他の所からもこちらに向かっているとしたらかなりの数になるはずだ。


要請した結果、第2戦車連隊と韓国軍の第8、第11戦車大隊が応戦に向かうこととなった。日韓両軍で220輌の戦車が派遣されることになる。具体的には、第2戦車連隊の10式戦車40輌、74式戦車が20輌。第8、第11戦車大隊のK2戦車が40輌、K1戦車が80輌、M48が40輌だ。74式戦車とM48は旧式で、厳しい戦いになるだろう。韓国軍のK2戦車も、最近になってようやく問題点が改良されたものだ。しっかり戦えると良いが···。




03:00  金川(クムチョン) 日韓戦車部隊 

日韓両軍の戦車200輌がマイクチームから報告のあった遂安に向かう。まだ日は昇っていない。情報によると敵戦車はT-62がほとんどだそうだが、あの旧式戦車がこんな暗闇で動きまわれるのだろうか。夜戦を挑んでくるのは自殺行為だが···。


「こちらOH-6。北西8kmに敵装甲部隊多数。おそらくマイクが発見した部隊だ···。いや、北東からも敵戦車多数接近。丘が邪魔で良く見えないが、かなりの数だと思われる」

前方で偵察していたOH-6ヘリコプターから情報が入る。既に敵は8km先に迫っているため、各戦車部隊が戦闘準備に入った。第2戦車連隊では、10式戦車の120mm滑空砲にはAPFSDS弾、74式戦車の105mmライフル砲にはHEAT弾を装填、戦闘に備える。韓国軍戦車部隊を先頭に前進する。


03:10

「なんて数だ···」

ナイトビジョン越しに敵部隊の方向を見ると、どこもかしこも戦車だらけだ。ざっと数えてもおそらく500輌はいるだろう。第2次世界大戦を思わせるような大部隊同士の戦いだ。

敵部隊まで5kmに迫った。あと1kmで10式戦車、K2、K1戦車の砲が射程に入る。各戦車部隊が敵戦車に狙いを定めていた時だった。

「ミサイル接近!敵戦車がミサイル発射!」

先頭の韓国軍部隊が叫ぶ。おそらく敵の99式戦車による攻撃だろう。99式戦車はアウトレジ戦闘をできるよう、砲からミサイルを発射できるようになっている。ミサイルであるため砲弾よりも射程が長いのだ。しかし、まさか北朝鮮がこんなに99式を保有していたとは···。

 後方にいた第2戦車連隊にも何発かミサイルが飛んできた。ミサイルを撹乱するため、発煙弾などのアクティブ防御装置を作動させる。これにより自衛隊の戦車は無事だったが、韓国軍戦車は被害を受けた。M48戦車18輌、K1戦車6輌が撃破される。K1戦車はこれが初陣だというのに、最悪な戦闘となった。


「くそ、先にこっちが殺られるとは···」10式戦車長がぺリスコープ越しに爆発する韓国軍戦車を眺めながら言う。韓国軍戦車がいくら殺られようとどうでも良いが、これによって我々の部隊が危険にさらされるのは困る。被害を出来るだけ食い止めねば。

「前進!韓国軍を援護する」

既に北朝鮮軍戦車が韓国軍戦車に砲撃を開始しているようで、韓国軍が一方的に撃破されている。旧式のT-62が韓国軍を蹴散らすシーンさえ見られた。あの戦車は夜戦装備さえまともに搭載していないはずだが···。おそらく中国が技術を教え、改良させたのだろう。旧式のT-62でさえ脅威になってしまった。

「10式は99式を狙え。74式はT-62、T-55を狙え」部隊長から指示が出る。74式戦車ではとても99式戦車を撃破できそうもない。よって装甲の弱い戦車を狙うことになった。


「10時方向に敵。距離3200m。99式だな」

車長が砲手に目標を指示する。砲手は敵戦車に狙いを定め、手元のボタンを押す。これで目標の自動追尾ができるのだ。これにより、戦車が移動したり揺れたりしても、砲は敵の方向を向いている。

「てっ!」「ドゥンッ!」

車長の命令と同時に10式戦車の120mm滑空砲が火を吹く。敵戦車も回避しようと移動していたが、高性能な射撃制御装置によって目標にまっすぐ命中する。APFSDS弾が敵戦車の装甲を貫通。戦車は誘爆し砲塔が吹き飛んだ。乗員も助かる見込みはないだろう。

「1輌撃破。次の目標、2時方向、距離3000m···」指示を出しているうちに自動で砲弾が装填される。74式と違って、10式戦車は自動装填装置を搭載している。これにより射撃速度も向上しているのだ。

 隣ではK2が10式戦車同様に善戦していた。K2戦車の砲は10式戦車よりも強力で、同じ120mm砲だが、10式は44口径でK2は55口径だ。威力が全然違う。K2から砲撃された99式戦車は大爆発を起こして粉々に粉砕されていた。


一方、74式戦車。射撃して命中すれば大丈夫だが、先手を打たれると一方的に撃破される。一応105mmライフル砲でT-62、T-55共に撃破可能だが、防御に関して74式は大きく劣っている。T-55の100mm砲の攻撃でさえ戦闘不能になることがある。それがT-62の115mm滑空砲となると74式は完全に撃破され、99式戦車の125mm滑空砲となると粉々に粉砕された。

 また、韓国軍のM48は弾除けにしかならなかった。T-55に数発撃ち込んでようやく撃破するので精一杯だった。あとは一方的に撃破されるのみだ。



03:40

金川戦車戦では北朝鮮軍戦車477輌と日韓戦車220輌が激突した。30分間の戦闘によって、北朝鮮軍の99式戦車を65輌、T-72を70輌、T-62を89輌、T-55を144輌撃破した。残りの撤退していった部隊もAH-64Dなどの攻撃ヘリが追撃し、壊滅的な被害を与えた。


一方日韓戦車部隊は、10式戦車を2輌、74式戦車を11輌、K1戦車を36輌、K2戦車を4輌、M48戦車を39輌撃破された。こちらも被害は大きかったが、戦果に見合うものであろう。

 韓国のK1戦車は故障によって動けなくなり、狙い撃ちされたものが多かった。まだ問題点を完全には解決できていなかったのだ。


結果として日韓両軍が勝利し、遂安、金川を占領した。この戦闘で北朝鮮軍の戦力も大きく削がれたことだろう。





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