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特殊作戦群出動

同じ敵と何度も戦うことは避けなくてはいけない。自分の戦法を敵に教えることになってしまう。

                        ー ナポレオン·ボナパルト

20XX年 10月19日00:00  東京 首相官邸

仮設施設のような大田区の臨時の政府施設の生活もようやく終わりとなり、かつてと同じ千代田区に、官邸が新しく完成した。かつての官邸は3か月前の東京への核攻撃で破壊されていたのだ。


「先島諸島全島の奪還に成功しました。尖閣諸島では海自のSBUが潜入して敵を攻撃しようとしたところ、敵兵が直ぐに降伏したそうです。戦死者は両軍ともにゼロで、こちらは捕虜300名を捕らえました」防衛大臣が現状を首相に報告する。

「それで国民にも知らせたんですが、今度は"ミサイル攻撃の報復として国連軍の中国本土攻略に協力し、北朝鮮にも出兵するべきだ"という者が大多数でして···」

「やはりか···。憲法的には大丈夫だが、兵力は大丈夫なのか?兵士も疲れているだろうし···」

 現在、憲法は停止されている。政権が変わって以降、新首相は国家緊急権を行使し、憲法を停止させたのであった。憲法のせいで自衛隊の有効な交戦が妨げられていたからだ。現在こうして善戦しているのも、憲法を停止させたおかげだ。また報復についても、ミサイル攻撃を仕掛けてきたのは中国だけでなく北朝鮮もだ。北朝鮮に対する報復も国民は望んでいる。

「兵力なら、多少は出せますね。現在先島諸島や我が国本土のゲリラ狩り、治安維持に25万人が動員されています。7万人なら報復に動員できますね」

「そうか···。日本の面目を守るためにも出兵は必要だよな。先進国日本が一方的に侵略され、報復するとなっても国連軍に任せっきりというのも面目が立たん。ASEANなどに日本の立場をアピールするためにもな···」

 戦前からASEAN諸国やオーストラリアは、衰退して撤退して行く米軍に代わって日本が太平洋の治安維持に活躍してくれることを期待していた。友好国の期待を裏切るわけにはいかない。


協議の結果、日本は国連軍の一員として中国本土攻略に全面的に参戦することを決定した。

 また北朝鮮については、韓国とも連携して攻略を目指すこととなった。対立している韓国が協力してくれたのは、北朝鮮の後ろには中国が着いていてこのままでは韓国も危ないからだ。北朝鮮は中国と共同で日本へのミサイル攻撃をする引き換えに、中国に全面的な経済的、軍事的援助を要求していた。これにより北朝鮮の軍事力も飛躍的に向上しているのだ。

 つまり日本は、南では中国、北では北朝鮮という2つの戦線で戦うことになったのだ。中国本土への攻撃開始は25日。連合軍が集結するのを待たなければいけないから時間がかかるのだ。北朝鮮攻撃20日の夜となった。国連軍、韓国軍が協力するとはいえ、かなりの兵力が必要になるだろう。




05:00  韓国 北朝鮮との軍事境界線付近 陸上自衛隊 特殊作戦群

「どうせそのうち韓国とも戦争になるだろうから、いっそ日本が朝鮮半島を統一すれば良いと思うがな···」

特殊作戦群第一中隊隊長は韓国との共同作戦に乗り気でない。韓国兵などお荷物になるだけだろう。我々だけにして欲しいものだ···。


北朝鮮攻撃を前に、特殊作戦群第一中隊が韓国を訪れた。日本国内のゲリラ狩りは他の部隊に任せて、第一中隊は急遽韓国に派遣された。任務は北朝鮮に潜入し、のちにやって来る自衛隊正規部隊の攻略を援護すること。つまり北朝鮮国内でゲリラ活動をしろということだ。北朝鮮ごときなら1個中隊だけでも大丈夫だろう。仁川(インチョン)に用意してある、毎度お馴染みの小型潜水艇(SDV)で北朝鮮の黄海南道(ファンヘナムド)に上陸する予定だ。

 早速装備の確認をして、出撃に備える。特殊作戦群の装備は、メインウェポンとしてレイル標準装備のM4カービンに、ドットサイト、ブースター、サイレンサーなどを装備したもの。サブウェポンにMP7やSIG226。狙撃部隊はM24とM82バレットライフル。その他にも81mm迫撃砲や、対戦車用に01式とカールグスタフを装備した。


05:30

「装備の準備が整った。こんなところ早く離れるぞ」オスカーチーム隊長は韓国から早く離れたがる。韓国人の態度が気にくわん。日本人が嫌いならてめえらで北朝鮮をどうにかしろっつの···。

「隊長、ピリピリしないでくださいよ。これからもっと大変なんですから」部下が言う。

「ここ以上に大変な場所あるってのか?···ったく。ほら、そこの道案内の韓国兵、こっち睨んでるぞ。PDWであの汚い面吹っ飛ばしてやろうか」こちらのピリピリした雰囲気が韓国兵にも伝わったらしい。

「仕方ないな···わかりました、早く離れましょう」部下が隊長を潜水艇の待機する海岸まで連れて行く。


SDVに装備を積み込む。かなりの量なのでSDVもオスカーチームだけで2隻必要となった。これが1個中隊ということはかなりの規模になるだろう。隊長が出撃を前に作戦内容を確認する。

「最終ミーティングを行うぞ。我々オスカーチーム、それからエコー、マイクチームが黄海南道に上陸し潜伏する。そこで攻撃命令が下り次第、主に軍事境界線の敵部隊を襲撃する。ちなみにアルファ、チャーリー、デルタチームは平安南道(ピョンアンナムド)経由で平壌(ピョンヤン)を目指す」

「隊長、その海域周辺には機雷原がありますが···?」部下が訊く。

「機雷?あったらかわせば良いだろ。絶対に起爆させないように。奇襲が台無しだ。起爆させた奴は体の末端からじわじわ痛めつけて殺してやるぞ」

「なるほど···了解です」つまり、いつもの無茶な作戦ということだ。しかし我々も特殊部隊だ。それくらい簡単だ。

「あと質問は?···ないな。よし、出撃だ」

ミーティングを手短に済ませ、酸素マスクを装着しSDVで海中に潜って行った。




06:00  黄海南道(ファンヘナムド)沿岸 オスカーチーム

「海岸に敵兵はいないようだな···。よし、上陸を開始する。水際地雷に注意しろ」30分ほどで北朝鮮に到着した。SDVから装備を取り出し、上陸する。SDVは海岸の洞窟のような所に隠した。海岸からうっすらと街の様子が見える。それにしてものどかな場所だ。街灯も少なく、建物も低いものしかない。

「周囲を警戒しろ。街を避けて内陸へ進む」M4カービンを構え、前進する。一人あたりの装備も相当なものだ。カールグスタフを持った者はとくに大変だ。18kgのカールグスタフ+その弾薬+バラした迫撃砲の一部+個人装備だ。しかし訓練を積んできた身なので、易々と前進する。


07:00

黄海南道を進み、海州(ヘジュ)市郊外に到達した。ここにあるボロ家を念のため隠れ家として確保しておく。今日中に軍事境界線間近にある開城(ケソン)という街まで行き、迫撃砲の発射陣地などを確保する。そして20日の夜、攻撃開始だ。


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