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暴動

全ての戦争は内戦である。人類は皆仲間であるから。  

                     ー フランソワ·フェネロン

20XX年 7月16日10:00  大阪府庁前 大阪府警

デモの規模が大きくなってきている。数千人が集まってデモ行進を行っている。報復支持派がほとんどだが、戦争反対派も多く居て、このデモ隊に対抗した。一部の報復支持派のデモ隊が、金属パイプや火炎瓶で武装し、戦争反対派と対峙する。警官隊が仲介に入ると更に激化し、一部が検挙された。


10:30

遂にデモ隊同士がぶつかり合う。金属パイプでの殴り合い、火炎瓶、コンクリートブロックの投擲など、ほぼ殺し合いだ。前線から血まみれの人が次々と運ばれてくる。

「直ぐに止めなさい!退去しなさい!」警官隊が警告するが、全く効果がない。警官隊もライオットシールドや警棒、催涙銃、ゴム弾の入った銃などで武装した。後方の部隊は実弾を装備している。


「催涙弾撃て!」デモ隊に対して催涙弾が撃ち込まれる。効果があったようだが、直ぐにデモ隊のもとに落下した催涙弾が拾われ、警官隊に投げる返される。「はははは···、勇敢だな···」警官隊はガスマスクを装備していたので大丈夫だったが、デモ隊の鎮圧は難しいということだ。

 催涙弾を撃ったことでデモ隊の怒りを買い、警官隊とも対峙した。三つ巴の争いになりそうだ。「退去しなさ···」警官がメガホンで警告しようとしたとき、警官隊にデモ隊から火炎瓶が投げられた。爆発し、警官数名に引火する。「消化しろ!催涙弾用意!威嚇射撃も実施する!」催涙弾が再び発射され、一時的にデモ隊の勢力が弱まるが、また弾を投げ返される。「くそ···。威嚇射撃だ!撃て!」パンッ、パンッとモスバーグM500から空砲が発射される。銃声を聞き、デモ隊の中でもさすがにマズイと思った者が逃げて行く。しかしまだ多数居座っている。


11:00

のちにライオットシールドと警棒で武装した警官がデモ隊に接近すると、またもやブロックや火炎瓶が投げられた。隊長はデモ隊の強制排除を命令し、部隊をデモ隊に突撃させた。抵抗する者は警棒でボコボコにし、逃げて行く者に対しても追いかけて更に逃げさせた。


なんとか実弾を使用せずに鎮圧できたが、デモ隊同士のぶつかり合いで3名が死亡、200名ほどが負傷した。警官隊は50名の負傷者を出したが、いずれも軽傷だった。




同時刻  東京都郊外

東京でも暴動が起きた。補給物資の輸送が放射能を恐れてなかなかできなかったため、食糧、医療の物資が不足していた。大阪の暴動はそれほど大事にはならなかったが、東京ではとんでもないことになった。

 大阪とは違い、皆生死の瀬戸際にいるのだ。自分や身内に負傷者がたくさんいる。物資がないと死んでしまうかもしれない。少ない物資を求めて暴動が起こる。「日本人は災害にあっても暴動も起こさず、エライ!」と誉められたこともあったが、今回は違う。東京の食は、周辺の都道府県からの食糧で潤っている。しかし核攻撃の影響で、東京への輸送が困難になった。消費は多く、供給は少ないという状況だ。負傷者も多いので、移動もできない···。こうして力ずくでも物資を手に入れようとしたのだ。



12:00  東京都郊外 化学防護隊

「並んでください!1列に並んでください!」何度も呼びかけるが、全然聞いていない。乱暴に人の取った物資を奪おうとする。放射能の影響があるため、物資を東京郊外まで業者に運んでもらい、東京都内に我々化学防護隊がトラックで運んでいる。NBCスーツを着込み、89式小銃を所持して配給所の警備をしている。


10分もせずにこの地区に配るぶんの物資がなくなる。「今日配給はこれで終わりです。明日にはまた配給します」民衆が罵声を浴びせる。「トラックにまだ入ってんじゃねえか!」男が叫ぶ。「いいえ、これは別の地区で配給するぶんで···」物資がまだあると知った民衆は、話を聞かずトラックに殺到する。「トラックから離れなさい!」小銃を構えたが、効果がない。さっきの男がトラック警備の隊員を引きずり下ろそうとしていた。「パンッ、パンッ!」銃声が鳴り響き、男が倒れる。警備員が発砲したのだ。「下がれ!」目の前で男が射殺されると、さすがに民衆も静かになり、おとなしく指示に従った。世界に誇った大都市も今ではこのザマだ。




同時刻  中国 

中国でも暴動が発生している。中国は日本以上に酷い。もともと普段から暴動は多いのに、戦争による犠牲でさらに悪化したのだ。

 テロに対する報復として日本にミサイル攻撃を行い、国民の支持を獲ようとしたが、治安を回復させられるほどの効果はなかった。戦災した人の状況は変わらないからだ。



14:00  中国 天安門

反政府運動は全国に広まった。天安門では数万人が集まり、反政府デモを行っている。「戦災処理もできないのか!」「日本を怒らせたらマズイだろ!衰退した軍はどうするんだ!」「一党独裁反対!中国共産党は解散しろ!」などと叫びながらデモ行進を行う。


「今すぐ退去しないのなら、強制排除を行う!」天安門に集結した武装警察隊がデモ隊に警告する。しかし退去する気配はない。デモ隊も、警察の言っていることはハッタリだと思っているようだ。天安門事件であれほど世界中から非難されたのだから。


15:00

「パンッパンッパンッ!」日本とは違い、いきなり実弾が空に向けて発射される。催涙弾なども撃ったが、デモ隊は警戒しつつデモを続行した。


15:30

遂にデモ隊に向けて実弾が発射される。まず、デモ隊を指揮していた者が射殺される。次からは適当に射殺され、多数の死傷者が出た。まさかの銃撃に皆仰天し、さすがのデモ隊も逃げて行った。再び天安門は死傷者で溢れたのだった。


デモ隊は"いくら共産党でも、世界中から非難されることはそう簡単にはやらないだろう"と考えていた。しかしそれは違う。まず、日本に核攻撃を行った時点で、それはわかる。中国は政権を守るためなら何でもする。中国人民解放軍および武装警察は中国共産党直属の組織だ。つまり共産党の好きなようにこれらの組織を動かすことができるのだ。


再び天安門で事件が起きて、死者54人、負傷者を400人ほど出した。こうして中国国民の怒りが爆発した。

すでに各地の警察署や国営機関などが襲撃されたり、その周辺で爆弾テロが発生したりした。北京では、先日テロの標的となった共産党ビルが今度は中国人によるテロの標的となった。調査中の区間に車が突っ込み、複数の武装警察隊員を引き殺したのだ。国民と中国共産党の対立は深まり、中国は崩壊へと傾くことになる。

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