6話 心に刻む決意
都合により遅れました。すいません。
「・・・・蓼が?」
「うん。中身は見てない。・・・宛先は怜だから、怜自身が読むべきだと思う。ひょっとしたら蓼は・・・・・最悪の事態を想定してこの手紙を書き残したのかも・・・・。引き出しの奥に入っていたよ。」
「少し、ひとりにしてもらえるかな・・・・」
「わかった」
そうして怜一人になる。怜は手紙を開け、読み始めた。
兄ちゃんへ
兄ちゃん、やっぱ僕はさ、悪い行いは見逃せないや。
性分なのかな。呆れるよね。
あいつらはいまだにそういうのやめないんだ。飲酒、喫煙、暴力、それにこの前は薬らしきもののやり取りまでしてた。
明日、僕はまたあいつらのところへ行くよ。またこのまえみたく返り討ちに遭っちゃうかもしれないけど、それでも。
僕はそのあとどうなるかは分からない。でも、少しでもあいつらの心に響けばそれで何かが変わるかもしれない。
僕に何かあったら、兄ちゃんはどうする?
兄ちゃん優しいから、この前見たく駆けつけてくれるかな。
もし、そうなってもさ、復讐とかはしないでよね。後で落ち着いたときに、絶対後悔するよ、兄ちゃん。こんなことで兄ちゃんの人生を台無しにしてほしくない。
兄ちゃんは、僕なんかよりもすごい人間で、人のためになるようなことをして、いつも感謝されるような人だから。
最悪の事態になったあとはさ、僕のことなんか忘れて改めて人生をスタートさせてよ。
その手で、多くの人を悲しみや苦しみから助け出してあげてよ。
約束だよ。
じゃあね
「ふざけんな・・・・・・・・・・忘れるなんて・・・できるわけねーだろ・・・・・・」
気がつけば、目のまえはぼやけ、文字がにじんでいた。次々とあふれ出てくる。
「蓼・・・・・・・ありがとう」
やっと、やっと止まっていた時間が動き出した。
「母さん」
台所まで行くと母さんが夕ご飯の支度をしていた。
「なに?」
「俺、行くよ」
母は、呆れたようにため息をついた。
「そう。行ってきなさい。」
「え?」
怜は少し驚いた。
「やらなきゃならないことがあるんでしょ?」
母にはすべて見透かされているようだ。
「うん」
怜は意を決してうなずく。
「お父さんには言っておくから。・・・たまには帰ってきなさいよ?」
「ああ。分かった!」
ここから始まる。彼の、もうひとつの人生が。




