001・ボクの名前は、歌方 夢彦です!!
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『引き継ぎ記憶を使用しますか? YES・NO』
という、1670万色以上に光る文字が、ピカピカとボクの目の前に浮かんでいました。
「んーー……?」
深夜、ふと目が覚めて寝ぼけていたボクは、目を擦ります。
そして手を伸ばしてみると、ピカピカと浮かぶ文字に確かに触れることができました。
ふむ……。
「……よく分かりませんが、ボクに引き継いでもらいたい、ということでしょうか」
じゃあ、引き受けましょう。
たぶんこれは、ボクのために光ってくれているようなので。
というわけで、ボクが『YES』のコマンドボタンをポチッと押すと、
『ロードを開始します』
『現在ロード中です。しばらくお待ちください……▶︎▶︎▶︎』
「へっ? ……うわわわわわっ!?」
突然脳の奥底から、知らないはずなのに懐かしく感じる大量の記憶が、洪水のようにワッとあふれ出してきたではありませんか。
「おわーっ!? 目が回ります〜!?」
そのままボクは、バタンキュ〜しました。
そして夢の中で、
『貴方の名前を教えてください』
と言われたので、
「ボクの名前は、歌方 夢彦です!!」
と答えたのでした。
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次に目が覚めた時には、すっかり頭がスッキリしていて、ボクはこの世界の真実を理解していました。
なんとこの世界、ゲームの世界なんですよ!!
あまり大きな声で言うと頭の病気を疑われてしまいそうですが、どうやら真実なようですね。
この世界は、女性キャラしか出てこない某ソシャゲをモデルにして作られているのです。
なるほど。
だから世界各地にダンジョンがあるし、なんならボクの家の近所とかにもダンジョンがあるんですね。
【ダンジョン・ストライク、わりと人気だったんだぜ。もうサ終したけどな……!】
【5周年記念ガチャであんなことしなけりゃな……!】
【本当に、惜しいゲームを無くした……!】
頭の中で、前世の記憶たちがガヤガヤしています。
皆さん、元になったゲームが大好きだったようなので、どこかテンションが高いですね。
そしてボクなんですが。
なんと、この世界を管理する女神様の息子らしいです。
そしてその女神様から『メニュー機能』という能力をもらっているようです。
試しにメニュー画面を開いてみると、目の前に半透明の板が現れました。
これはごく一般的なソシャゲのホーム画面そのままですね。
そしてその中に『ガチャ』というものがあります。
ガチャ……!
……良い響きですよね。
世の中のソシャゲは全て、ガチャを回すためにプレイしていると言っても過言ではありません。
先ほどボクにインストールされた前世の記憶たちの中にも、ガチャを回すためだけに大量のソシャゲを掛け持ちしていたニートの人がいたみたいですし。
【ガチャ最高♡ ガチャ最高〜♡】
ガチャには、抗いがたい魅力と魔力があるのでしょう。
それにほら。
ガチャって、新しいものに出会えるものじゃないですか。
新しいものに出会えるのって、とっても楽しいですし、楽しいことが起こるのって、とっても嬉しいですよね。
だからボク、ガチャが好きです。
ガチャを回すと、ハッピーになれちゃうので♡
さて、ガチャコマンドをタップしてみると、初回10連が無償で引けると書いています。
しかも10連目には確定で、金レアキャラが出てくるのだとか!
わぁい!
確定ガチャ!
ボク、確定ガチャ大好き♡
約束された勝利の抽選最高〜♡
「それではさっそく……」
確定レアの誘惑に負けたボクはノータイムでガチャを回そうとしました。
すると。
【バッキャロウ!!! ガチャ引くときは全裸になれっ!!!】
「!」
【貴様も全裸教になるんだ!! ユメヒコぉっ!!!】
「はいっ!」
内なる声に従い、ボクはパジャマを脱ぎ捨てパンツまで脱いで全裸になりました。
それからあらためて、10連ガチャのボタンを押します。
「ポチッとな!」
どぅるるるるるるるるるるん♫
という楽しいメロディのあと、ウィンドウ上に次々とカプセルが表示されました。
ポンッ、緑!
ポンッ、緑!
バシュンッ、銀!
ポンッ、緑!
ポコンッ、銅!
ポコンッ、銅!
ポンッ、緑!
バシュンッ、銀!
ポンッ、緑!
ときて、最後の一つは、
ゴロゴロ、ドンッ!!
という雷のエフェクトとともに、キラキラと金色に光るカプセルが現れました。
【レア最高♡ 金レア最高〜♡】
「何がでるかな〜♫」
低レアのものから順番にタップしていくと、
緑カプセルからは、
『装備:木製バット』
『消費:ソウル(小)』
『消費:ライフポーション(低)』
『装備:ヘルメット』
『技能:スライディング』
銅カプセルからは、
『衣装:可愛いメイド服』
『職業:拳闘士』
銀カプセルからは、
『消費:ソウル(大)』
『装備:鉄腕ナックル』
そしてそして、金のカプセルからは、『採用:???・斎藤 金衣鳥』と書かれたチケットが出てきました。
……採用チケット?
チケットに意識を向けると、手の中にキラキラと金色に輝くチケットが現れました。
【思いっきり破るんやで】
さっきから頭の中に響く色んな声に従いビリビリっとチケットを破ったとたん、ボクの背後でガチャっと音が鳴りました。
今のは、玄関のカギの音……?
「おお〜ん? なんでウチに、男がいるんだ〜?」
そして、我が家の玄関ドアもガチャっと開き、見るからに泥酔した様子の女の人が入ってきました。
おや、この人は……?
たしか、隣のお部屋に住んでいる金髪ヤンキーお姉さんでは……?
「しかも、スッポンポン? ……まさかこれは、夢か〜?」
「確かにボクは、ユメヒコです!」
「夢なのか。……じゃあ」
すると、いきなり興奮した様子のヤンキーお姉さんがドタドタと部屋に上がってきました。
そしてボクは、ゆっくりと床に押し倒されました。
「な、何をしても。夢だから、良いんだろ……♡」
お姉さんは羽織っていたスカジャンを脱ぐと、黒のタンクトップ姿に。
うわあっ。
裾からチラ見えする腹筋、バキバキに割れてます〜♡
それに、肩と腕の筋肉もモリッと盛り上がってます〜♡
か、カッコ良い〜♡
痺れちゃいます〜♡
「素敵ですね……♡」
「っ!!」
「お姉さん、お名前を聞いても?」
「お、俺は、斎藤金衣鳥だ!」
「斎藤さん、ボクは歌方夢彦ですよ」
「ユメヒコ……♡」
ぽやーっとだらしない顔になった斎藤さん。
ボクに覆い被さるようにして、ゆっくりと顔を近づけてきました。……が、
「……ぐー、ぐー、ぐー」
どうやらもう限界だったようで、そのままボクに覆い被さって寝始めてしまいました。
あらら。
「うーん、重い。……けど、暖かくてポカポカします……♡」
ボクは、硬くて柔らかい斎藤さんの下敷きになったまま、斎藤さんのポカポカをしばらく堪能しました。
「……? おや……?」
そうしていると、なんと斎藤さんの体が、苦しそうに震え始めたではありませんか。
どうしたのでしょうか。
「ううっ……、うううっ……。チクショウ……、チクショウめ……」
そして、悪夢にうなされているように、苦しそうな寝言を呟きます。
ふむ……。
「大丈夫ですよ、斎藤さん」
ボクは、斎藤さんの背中に手を回して、きゅっと抱きしめました。
「悲しまなくても大丈夫です。今はボクがいますよ」
「ううぅっ……、ぐううぅっ……」
「よしよし、斎藤さんは素敵ですよ……♡」
「ぐすっ。ぐうっ。……ぐう、すぅ、すぅ……」
斎藤さんは、またすやすやと眠り始めました。
ボクは、しばらく斎藤さんの背中をポンポンと叩いていましたが、そのうちボクも眠くなってきちゃいまして、
「な、な、な、……なんじゃこりゃーー!?」
翌日。
酔いが覚めて飛び起きた斎藤さんの絶叫ボイスで、ボクも目が覚めたのでした。




