食料品店の肉
みんなで向かっている途中ある看板が目に入った。ギルドの看板だ。内容は4級試験を1ヶ月後にやることについて書かれている。
「面白そう!やりましょう!」
と、はしゃぐアレス。
莞爾も
「確かにそろそろ5級を卒業して4級にあがりたいですね。4級になればモンスターを狩る依頼もきますから。」
なんと、面白いことを聞いた、異世界生活はや1年やっと森に潜ってモンスターを狩れるようになるのか。まぁ、あの卒業試験の時もモンスターを狩ったのだが....
とりあえず俺とアレスは食料品を買いに行った。莞爾とトレディアは料理ができないらしいのでロースターを連れて街を歩いてもらった。
食料品店を物色していて思ったのだがまず肉が少ない。モンスターの肉はいくらかあるが干し肉な上くさい。さらに数も少なく高い。その点、野菜類は意外と安い。同じ量買っても肉と比べて半額以下だ。
「この店には初めてきたんですけど肉って高いんですね。」
なんて店主に言ってみる。この世界はもしかして肉は貴重なんだろうか。
「ああ、あんたら冒険者か?なら、モンスターの肉を売ってくれよ。」
「それはどういう意味よ?」
アレスが書き返す。
「なんだ、あんたら知らないのか?ここら辺じゃモンスターから取った肉は冒険者がそのまま食っちまうんだよ。」
話を聞いてみると、冒険者がモンスターを狩る。そこから採れた肉は冒険者が捌いて加工なりなんなりして自分たちの食料になる。結果、冒険者が自分達で消費してしまって冒険者以外には肉が出回りにくくなるらしい。時々売りにくる人はいるのだがそれは肉になるモンスターを本来は狩らなくていい2級や1級の冒険者が襲われてきたから狩った程度のものらしい。
故にこの世界での肉は貴重だ。
と、そんな感じで肉を買えずに渋々宿に帰る。ちなみにこの買い物のせいでほんとに無一文になってしまった。
トレディア視点
街を散策しててと言われたのでとりあえず武器屋に行ってみる。この世界にはどんな武器があるのか気になるからだ。
ロースターちゃんを連れているからいくかは少し迷ったが彼女も行きたいそうなので問題はないだろう。
店内に入ると木と鉄の匂いがする。店内を物色すると当然だが色々な武器があった。短剣に長剣、ナイフ、魔術師用の色々なサイズの杖。
「ねぇ、莞爾。魔術師って杖を使ってるけど、使うとどんな感じなの?」
私も魔術は使うが剣も使うので杖は持たない。故に杖の良さがわからない。あれを握って何になるのかが謎である。
「あれはですね、同じだけ魔力を込めたとしても威力が全然違うんですよ。」
さなるほど、つまりは魔力を増幅させるための装置ということか。となれば私も欲しい。
「莞爾さんは魔法使いなの?」
ロースターが口を開く。しまった、彼女のために散策しているのにすっかり彼女を忘れてしまっていた。
「そうだよ。僕は光魔術が得意なんだ」
莞爾が誇らしげにいう。
今更だが、彼の戦闘シーンは見たことがない。というか、このパーティの戦闘シーンは見たことがない。才能はあるから強いんだろうけど....
色々な武器を見たがその中で一際目立つものがあった。それは片刃で反りがある長剣だ。なんとも使いづらそうだが、その一点のみ値段が異様に高い。なぜこんなに高いのか...
なんて見入っていると店主に声をかけられた。
「あんた、この剣に興味があるのかい?」
「あ、いえ、使いづらそうな割に高いものですから、なぜなのかと気になりまして...」
「ああ、それはね。もう何百年も前にトウショーという人が伝えた剣のコピーでね。普通のより使いづらいけど、使えるようになると最強の剣、なんて言われてるんだ。うちの店で一番高い剣さ」
「なるほど、そんな剣があるんですね」
「私知ってる!確かニホントーっていう種類だよね!」
「お嬢ちゃんよく知ってるね」
「えへへ」
なんでもすごい剣なんだと感心してると、莞爾が戻ってきた。
「そろそろ行きましょうか、おそらく豊達も帰ってると思うので」
「そうだね」
せっかくだから後でアレス達にもニホントーとやらの話を聞かせてあげよう。アレスなら使えるかもしれないし。
豊視点
トレディア達が戻ってきた。ロースターの機嫌がちょっとだけいいような気がする...
ふと気になったのだがロースターのフルネームはなんというのだろうか。
「なぁ、ロースター。お前の名前ってロースター何だ?」
と聞くと少しの間沈黙があったが決心したような顔で
「マズル・ロースターです....」
マズルか...おそらく苗字に当たるのだろうがなぜそんなに躊躇う必要があったのだろうか?この世界で言うキラキラネームなのだろうか?
「みんな帰ってきたことだし、ご飯食べましょ!」
アレスは待ちきれないようだ。
よし、とりあえずは一週間後の4級試験に向けて訓練と、作戦会議だな。




