第18話 ガジラ3
ガジラは怒っていた。自分を攻撃してきた不届き者に向かって進撃していく。そして縦浜から2キロメートルの地点にまで迫っていた。そもそもgiftによって作り出された虚像ではあるが、gift持ちにとってはガジラは虚像ではなく、現実にいる怪獣と化していた。
そして作り出した当の本人達はかなり焦っていた。
「おい、お前のせいだぞ!お前が怪獣ごっこをしようなんて言うから!」
「うるせーな!お前だってすごい動画を見たから、何が作れるか試そうって言ってたじゃん」
「お兄ちゃん達… どうしよう、ガジラがもう縦浜に向かってきてるよ。あと少ししか距離がない。」
ガジラを作ったのはまだ小学6年生の明と海斗と海斗の弟である、小学4年生の春人だった。この三人は友人とその兄弟で小学校終わりによく遊んでいた。明が持っているスマホで動画サイトを見ていたところ、春人がgiftの動画を見つけ、三人ともgiftを持ってしまった。これがニホンどころか世界に衝撃を与えたgiftによるガジラ事件の始まりである。なぜガジラを作ったかというと、少し前にテレビでガジラの映画を見たのがきっかけだった。それだけではガジラは生まれる訳がない。だがgiftを得たことによって現実に生み出されるきっかけとなった。アンチgift派が多く生まれた事件の始まりであった。
ここで三人に与えられたgiftを紹介する。
明のgiftは空想上の生物を作ることができる。フィギュアのようなものを生み出す力だ。
海斗のgiftは空想上の生物に意識を与える。これはその生物のイメージによってどのような意識を持つか左右される。
春人のgiftは空想上の生物のサイズを自由に決めることができた。なぜか明のgiftで生み出されたものだけだが。
初めは好きな戦隊モノのヒーローを誕生させては、テレビで見た決めポーズや技を繰り出して遊んでいた。そのうちに気づいてしまったのだ。三人で力を合わせればどんな生物も作り出せることに。そして相談の結果、怪獣ごっこをしようと言う結論に至った。三人も子供ながらにこのgiftは危ないのではないかと言うことに気づいていた。しかし好奇心が勝ってしまい、持ちうる三人のGPをつぎ込んで、誕生したのが、実写版ガジラであった。初めのうちは海の中で遊ばせていたが、なぜか途中から言うことを聞かなくなってしまった。
ちなみに明が念じれば生物を消すことができる。三人ともそのつもりだった。しかし途中から言うことを聞かなくなったと思ったら消すことさえできなくなった。支配権を誰かに奪われたかのように。
三人がおかしいと思った頃にはガジラは街に向かって視線を向けていた。そこからの流れは
前述した通りである。
三人はしでかしたことの大きさに耐えきれず、青レンガ倉庫の箱の中に隠れて震えていた。
「誰か助けて…」「こんな時にヒーローがいたら…」「お願い誰かガジラを倒して…」
箱の中から覗くガジラの姿は秒を追うごとに大きくなっている。
ガジラの背中の棘が光り始めた。口の中から青白い光がもれていく。光線が放たれれば
Gifter達は一たまりもないだろう。三人が絶望の淵に追いやられたその時
空から一筋の光が走り、ガジラに向かっていく。
そして顎をしたから殴りつけ、ガジラの体が海から浮かび上がるほどの威力で
仰向けにさせた。口から放たれた光線は間一髪で空に向かい、雲を貫いて消えた。
「「「ヒーローが来てくれた!!」」」
旬の視点
危なかった… 背中が光り出したところで全速力で向かわなければ間に合わないところだった。
ガジラが放射線を集めて、光線を放つことは予想済みだったからな。
自衛隊のおっさんはガジラに向かってロケランをぶっ放した馬鹿野郎のところに向かった。
蹴鞠は海岸に向かって猛ダッシュしてるみたいだ。あいつのスキルも大概チートだからな。
物理法則を歪める者というスキルで慣性を増やして空気抵抗を弱めることでオリンピック選手も涙目の速さで走れるからな。何で置いていったんだって怒られるかもしれないが非常事態だったと説明すれば何とかなるだろう。
俺は今ハイパーマンの姿で空中に浮かんでいる。空を飛んでいる報道ヘリのプロペラを回す音が辺りに響いていて、うるさい。報道ヘリの方に目線を向けるとカメラを向けるスタッフとマイク片手の今をときめく有名女子アナウンサーの姿も見える。
ヒーローらしく、カメラに向かって手を振ってみる。やばい、女子アナウンサーが顔を赤くしてる。かわいいなあと思いながら海に沈んでいったガジラの様子を伺っていると海面が青白い光を放ち、下から光線が飛んできた。
「あぶねええええええ!!!!」
素早く空中でバック宙をすると元いた場所を青白い光線が飲み込む。この一撃を喰らえばハイパーマンと言えどもひとたまりもないだろう。ちなみに報道ヘリは巻き込まれていない。
だが女子アナウンサーは青い顔をして、パイロットに離れるよう指示している。当たり前か。
「それにしても、海中にいるガジラが空に浮かんでいる俺を正確に狙ってくるとはな。」
ガジラの設定を頭の中で思い出してみる。爬虫類から進化したのは知ってるが水の中から
空が見えるほど、目がよかったかと考えてみる。うーん。そんな情報あったかな。
首を捻っていると旬のスマホが着信音を鳴らす。ドスコードだ。出てみると瑠奈とリザの
興奮した声が聞こえてきた。
「あんた!随分余裕なことしてるわね!危なかったじゃない!!」
「アンビリーバボー!!クールな宙返りね!」
「危なかった。別にかわいいお姉さんに見惚れてたわけじゃないからな!」
「自白したわね。裁判長リザ、判決を。」
「ギルティ」
「せめて弁護士を用意させてくれよ。それで何か中継から見てて分かったことはあるか?」
「旬。ガジラは“観てるわ“。別の視点から」
「どういうことだ?」
「ガジラは操られてる。そして操ってる犯人は中継から旬の居場所を見てるわ」
次の話に続きます。
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