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第12話 決闘3

旬「なんか良い気分になってきたぜえ!」


エリザベス「調子にのるな!」

エリザベスは焦っていた。有利なはずなのに旬の先程の叫びが頭から離れない。


そし旬のgiftがどんな能力か掴めないこともそれらに拍車をかけていた。

そうだ。エリザベスには旬のステータス画面が見えなかったのだ。

相手のステータスが見えるのは旬の「真実を見通す眼」によるものであった。

普通はお互いがgiftを開示させた状態でしか見ることができない。そしてエリザベスは焦りからか、自分のステータスを見ようともしていなかった。

そのため旬が「空中制動」のスキルをインプットして使ったのを知らなかったのである。


エリザベスが地面に拳を突き立てると地面から衝撃波のようなものが打ち出される。

旬が「空中制動」のスキルを使い、宙返りしながら衝撃波を避ける。

しかし旬が空中に浮いているところを見逃さず、間髪入れずに突っ込んでくるエリザベス。

旬は「ゲッ」とうめきながら空中制動のスキルを連続使用し、空中で見えない壁を蹴って

エリザベスの横を抜けていく。途中で肩をポンと触って行く。エリザベスは挑発のようにしか

感じなかったがこれは旬がgiftの発動に必要な行為でもあった。


旬「あと3回…」


悪神様「あれは…なるほどね〜」

瑠奈「ちょっとどういうこと?あれじゃエリザベスの挑発してるだけじゃない?」

蹴鞠「あれはおそらく、旬のスキルに必要なことなんだよ。ただの挑発じゃないはず。」

瑠奈「あいつのgiftって本当に何なのかしら。さっきの感情的な叫びも少しだけ我を失ってる

エリザベスに聞いていたわ。何か感情を揺さぶられるのはこっちも感じたけど」

悪神様「それは見てれば少しはわかるかもね。これはどちらがHeroにふさわしいのかを

決める戦いでもあるのかもしれない。」

3人は固唾を飲んで見守るのであった。


エリザベスは、カメリア合衆国のニューギャーギー州に生を受け、複雑な家庭に生まれて育った。自分と血のつながった両親はまだエリザベスが幼い頃に離婚し、シングルマザーの母親と一緒に暮らしていた。しかしシングルマザーの母はエリザベスが7歳の頃に再婚するも、その再婚相手は元軍人で、酒が入ると手が付けられなくなり、シングルマザーの母やエリザベスに暴力を振るわれることがあった。そんな生活が続き、嫌気が差した母とエリザベスは命からがら家から逃げ出した。別の州に引っ越した2人はそこで2人で暮らしていくのであったが、辛い時によく母がしてくれる話があった。


エリザベス母「良いかい、どんなに辛い時でもいつかHeroが助けに来てくれるからね」

エリザベス「ママ、それはいつなの?」

エリザベス母「あなたが良い子にしていたらね」

エリザベス「うん、良い子にする!」


しかし待てど暮らせどHeroはやってこない。ならば自分がHeroになって悪い奴を懲らしめてやるんだ。小さい頃の経験からそう思うようになった。昔は引っ込み思案で泣き虫だったが、段々と強い子になろうと決意したエリザベスは活動的になり、好きだったバスケットボールに打ち込み、高校の時にはチアリーダーも務めた。彼氏もいたこともある。しかし。彼に浮気されて別れてしまった。男運がないのかもしれない。そして彼女は今でも心の底でHeroを求めているのであった。


エリザベス「私は本当にHeroなの?私は何と戦わなくてはいけないの?」


彼女の心の中では迷いが生じ、gift「Hero is coming」の力を十分に発揮できなくなっていた。

そのためハイパーウーマンのパッシブスキルが実際の効果の3分の1にまで制限されていた。


それだけ制限されれば旬の運動神経でも追いつける。というかもとより運動神経は良い方なのだ。

エリザベスが大ぶりなキックをしてくるところをサッといなしながら、接触を続ける。

あと2回、あと1回と接触を試みていくうちに旬の心にエリザベスの記憶や過去に起こった悲しい出来事が流れ込んでくる。2人の心はつながっていた。そうだよな。大変だったよなと、ついに涙を流しながら戦闘を続ける旬の姿にエリザベスも涙が堪えられなくなる。そして動きを止めた2人は静かに向かい合う。


エリザベス「私のヒーロー?」

旬「そうだ、エリザベスが辛い時に一緒にそばにいる。あなただけのヒーローだよ」

そして2人は抱擁しあっていた。エリザベスの心の中の風景には小さくて頼り甲斐はないがどこか愛らしさがあり、自分のそばに寄り添ってくれる小さなヒーローが加わったのだった。


瑠奈「最後はハッピーエンドってことね…」

蹴鞠「良い最終回だったな〜」

瑠奈と蹴鞠「って違うわ〜 何で抱き合ってんねん!?」


悪神様「良いリアクションとツッコミするね〜。それにしてもほとんど傷を負わせずに勝つとは旬は面白いgiftを得たものだね。」


瑠奈「あれは一体どういうgiftなの?」

蹴鞠「外から見てても全然わからない。」


悪神様「それは旬の口から聞いたほうがいいんじゃない?さあこの闘技場も消してしまおう。」

悪神様はコロッセオのような闘技場を消すと未だに抱き合っている2人の元へ歩いていく。

瑠奈と蹴鞠は2人が乳繰り合いでも始めたらただじゃおかないと肩を怒らせながらついていくのであった。

小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。著者の励みになります\( 'ω')/


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