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78_ライガと白い獣_後

「ヴェルデ!」

と声を掛けるとヴェルデは、その大きな柱のような人工物の間に、ちょこんと座っており、その前に何かが動いている。


「どうした、ヴェルデ?」

見ると小さな生き物(実はフェンリル)が、苦しそうにうずくまっている。


魔獣...ではないな。

良く見ると、足に矢が刺さっており、そこから血を流していた。


こんな所に血を流しながら、いつまでもいたら、魔獣に狩られるのは時間の問題だな。


「よしっ!」とライガは、ちょっと気合を入れ

「ちょっと、痛いが我慢してくれな。」と小動物に声を掛ける。


最初、「ゔぅ~。」と言いながら威嚇していた小動物だったが、ヴェルデが何やら小動物に寄っていくと、大人しくなった。


「ヴェルデ、ありがとな。」と矢を慎重に抜きながら、ヴェルデにお礼をいうと、ヴェルデは、得意げな顔をしたように、ライガには見えた。

「はは。」思わずその表情にライガは微笑んでしまう。飼い主馬鹿ともいうのかもしれないが。


「苦しいなぁ...今、楽にしてやるからなぁ。がんばれよ。」


うわ~、これ結構深いな。持ってるの低級ポーションしかないけど、大丈夫かな。

矢に毒は...塗って...あるな。どうすっかな。

と思いながら、カバンの中を漁る。


お、聖水がまだ残ってた。

幽霊事件の時に教会で購入し、残っていた聖水だった。


「よ~し良い子だ。傷を治してやるからな。」となるべく優しく小動物に声を掛ける。聖水を傷口にかけ、血を洗い流し、マリー婆の所で買った低級ポーションをかけたのだった。


「これで良しっと。お前歩けるか?」

と話かけると毛むくじゃらの白い小動物は、耳をピクピクさせて、よろよろと立った。

ヴェルデも心配そうに、小動物に寄り添ってパタパタと歩いている。


何度か、動作確認をするように、その小動物は自分の脚を何度か上げたり下ろしたりしながら、確かめているようだった。正常に戻ったと感じたのだろうか、少し足を引きっているようではあったが「わふっ。」と小さく鳴くと、自分の額とヴェルデの額をコツンとぶつけると、ヴェルデと小動物は、連れだって、どこかに移動し始める。


「お、おいっ」


小動物は、ライガをチラッと見る。それはまるで「付いて来い。」と言っているかの様だった。


そして、二匹が辿り着いた先に見つけたのは、とても綺麗な泉があった。

「こんな所に泉があったとは...。ひょっとして、お礼に案内してくれたのか?ありがとうな。そんなこと気にしなくて良いのに。」

「わふっ!」

「せっかくだから、水汲んでおくか。」

ちなみに、ライガが聖水が入っていた瓶にその水を汲んだ間、二匹は楽しくその泉で水浴びをしていたのだった。


「間違って、聖水と思って、使わないようにしないとな。」

あとで、ラベル付けとくかな。


「ヴェルデ、そろそろ戻るぞ!」とお愉しみ中のヴェルデに声を掛ける。

まだまだ、遊び足りないようで不満そうな顔をしていたが、ヴェルデはライガの元へと戻ってきた。小動物の方はというと、ヴェルデと一緒に岸に上がり、ブルブルンと体を揺らして、身体の水を振るい落とすと、「キャン!」と一度鳴き、ライガの方をじっとしばらく見つめ、そして、最初にいた柱のある方角の森の中へと戻っていったのだった。


先ほど若干とはいえ引きずっていたが、時間の経過のせいか、何の違和感もなく歩く姿をみた、ライガは安心したのだった。


「よし、俺らも戻るか。あいつら待ってるだろうしな。」

「ぴー!」

「しっかし、お前、あの獣としゃべれたんだな!すごいなお前は!しかも、なんか察知して助けるとか!偉いぞぉ~!」とぐりぐりと撫でまわす。

「ぴっぴぴーッ!」

とヴェルデとしゃべりながら、元来た広場に戻ったのだった。


戻りながら、待たせてしまったかもと、ライガは少し焦ったが、

「ラ、ライガさん~。」

「はぁ、ようやく着いた...。」

「はぁ、はぁ、、、はぁ、、、」

とヘロヘロになった三人がちょうど到着した所だった。


「お前達、もっと基礎体力つけていかないとだな。」

「「「ひえぇ~。」」」


ちなみに、ギルドに帰ってから森の奥で獣を助けた話をしたライガ。

「その内、綺麗なお姉さんになって、改めてお礼とか言って来ないかなぁ~。」

と心の願望を言ってみると、一緒にいたリーノは「モフモフのケモミミとか付いてると最高だな。」と答える。そして、「あんたたち、拗らせてるわね。」と残念な人を見るような顔をミシカにされてしまった。ナゼダ!!




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