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55_ライガの受付生活@ダンジョン入り口_1

「う~ん、暇じゃのう...。」


今ライガは、アウグストと一緒に、受付としてダンジョンの入り口にいる。

朝は、それなりに冒険者達が列をなして、ダンジョンに入っていくのだが、その後は、ぽつぽつとしか冒険者は訪れないので、結構やる事がない。



アウグストは、元銀印冒険者で、引退後生まれ育ったこのクワッツに戻ってきて、ダンジョンの受付係をしている。こちらも、バール爺と同様、孫にお菓子を上げる為のこずかい稼ぎらしい。

ちなみに、年齢は定かではないが、本人曰く、バール爺よりは若いらしい。

見た目変わらないのだが、それを突くと、しばらく説教が続くので、ライガは黙っている。


「ライガ?ね、ね、ライガよね!」

「え?」とライガは声がした方に顔を向ける。

「おや、レイチェルさん、こんにちは。」

「ライガって、ギルドの職員さんだったのね!どおりで、ギルドのサービスに詳しいわけだわ!」

「はは。」


「この前は、ありがとう!マリーさん紹介してくれたから、とても良い武器が手に入ったのよ!」とレイチェルは、ライガの両手を握り、ブンブンと振ってくる。

「それは良かった。」

「おーい、レイチェル、ちょっと良いか~。」

とちょっと離れた所で、レイチェルのパーティー仲間が呼んだ為、レイチェルはライガの元は離れた。すると、

「おい、お前!」

「はい?」

「レイチェルに手を握られたからって、良い気になるなよ!お前は、ただのギルド職員だろう!」

レイチェルがライガの元を去っていってすぐ、いきなり声を掛けられたかと思ったら、レイチェルのパーティー仲間と思われる若い冒険者がライガに向かって声を上げていた。


前衛タイプのガツガツした奴。と初見でライガは感じた。


「はあ。」

「何だ!その気のない返事は!」

「いえ、ご心配しなくとも、別にいい気にはなってないですよ。」

「レイチェルに手を触ってもらって、良い気にならないのか!お前は!!何て奴だ!」


えっ、どっちも駄目なの?

どうすれば良いのさ、俺は!!


「ちょっと!何、ライガに喧嘩売ってるのよ!ごめんね。ライガ。最近ダンジョンで目当てのアイテムが、中々でなくてちょっと苛立ってるのよ。」


う~ん、難癖からすると、ダンジョンのせいじゃない気がするが...。


「そうですか。お気になさらず。

 ちなみに、ダンジョンの魔獣の出没ってどんな感じですか?」

「魔獣の出没って?」

「そうですね。他のダンジョンと比べて、あんまり出没しないとか、弱いとか...。」

「そうねぇ...話に聞いてたよりも、物足りないって、感じかしらね。」

「そうですか。ありがとうございます。」

「それじゃあ、私達これから潜るわね!」

「はい。お気をつけて!」

とレイチェル達のパーティーを見送る。


去り際に、レイチェルは「またね。」と言ってウィンクをして行ったのだった。

俺の腰袋からちょこっとだけ顔を出していたヴェルデは、自分にウィンクを貰ったと思ったとでも思ったのか、うれしかったらしく、袋の中でシッポをバタバタさせているのを太ももで感じる。

ヴェルデよ、女の子好きなのね。


確かに、オッサン(ギルマス)のウィンクより、綺麗な女性の方が何倍も良いわな。

とヴェルデに心の中でライガは同意する。


ライガに難癖をつけた前衛冒険者は、何かまだ言いたそうにしていたが、フンと言って、レイチェルにぐいぐいと背中を押されながら他の仲間達と共にダンジョンに潜っていった。


「何じゃい、ありゃ?」

「さあ。」

「どう考えても、あの前衛の小坊主、あの女冒険者狙いじゃろうて。しかも、ヤダね。ギルド職員と見ると舐めてかかってくる奴なんぞ。」

「はあ。」

「お前さんの方が、さっきの奴なんぞに比べて何倍も“上”じゃろうて」

「いえ、そんな事は。」


「そんな事あるだろうに。お前さん、ここのダンジョン、結局何階層まで到達したんじゃ?」

「俺ですか?何階層だったかな...28だったかな。まあ、でも5年も前ですし。」


「なんじゃ。5年前の28階層だったら、ほぼ最下層じゃないか。」

「まあ、でも。最下層がどこまであるかわかりませんが、今は、36階層まででしょう?28階層なんて、遠く及びませんよ。」

「何言とるんじゃ。攻略しつくされた後に行くよりも、何もわからん所を走るトップランナーの方が上じゃろうて。」

「いやいや。」

「それに、19層の“嘆きの渓谷”に道を作ったのも、21層の”竜の裂け目“につり橋を掛けたのも、26層と27層の間にある”魔女の巨釜“に下に降りやすいように鎖を打ったのも足場をお前さん処のパーティーじゃろうて。」

「あれは、そうしないと先に進めませんでしたし、それに、俺は“手伝い程度”したよ。」

「それにしたって、アレらは、今だに他の冒険者達に使われておるぞ。」

アウグストはヤレヤレと首を振る。


「だが、珍しいの。さっきのお嬢さん。お前さんの事を知っているのに、ギルド職員と知らなかったとは。」

「ああ、確かにそうですね。」

「お前さんも隅に置けんのう!ほれっ、どこで会ったのか、この爺に話してみい!」


うう、めんどくさい...。


「行きつけのバーに、偶々何回か遭遇しただけですよ。」

「ふ~ん。本当かのう...。」

「それより、アウグストさん。さっきの冒険者達が、魔獣が少ないって言ってましたけど、アウグストさんの方で何か気になった事はなかったでしょうか?」


「どうだったかのう。他の冒険者も特に、帰りは話さずに、さっさとギルドへ帰る奴の方が多いからのう。」


「そうですよね。」


後で、ダンジョンの入退ダンジョン記録でも見てみるか。



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