56_ライガの受付生活@ダンジョン入り口_2
その夜、ダンジョンから戻ったライガは、ギルドに残っているダンジョンの入退記録を確認する。
「上級印の冒険者の入ダン数は...変わらず。中級が減って、下級が増えてるな。そんで、入ダンの記録と戻りの記録がほぼ同数、すなわち推定死亡者の数は...ほぼゼロ。ここ最近の数と比べても、死亡者数は、減ってる...」
これって、
どう分析れば良いんだ?
ダンジョンが安全になったって事か?
ちなみに、いつからだ...。
「一か月位から徐々に...最近、結構顕著だな。しかも、滞在時間も前に比べると、どの冒険者も長くなっている...。」
上層部の魔物が少なくなって、実入りが少ないから、
下級印の冒険者は長く潜っているという事だろうか...
上級印の冒険者の人数は変わらないから、下層部の様子は変わらず。
中級印は、上層部では物足りなく、かと言って、今までとレベルが変わらない下層部では手が出せないから、入ダン数が減った...とか?
やっぱり、ダンジョンの中で何か異常が起きているのだろうか?
◆◆
「暇じゃのう...。」
クワッツにあるダンジョンは、一般的と言われている洞穴型のダンジョンで、現在36階層まで攻略されている。実際何階層まであるのか分かっていないが、出没する魔獣のレベルや宝箱の様子から判断すると、中型のダンジョンと言われている。
ちなみに、この国で一番大きいと言われているダンジョンは王都にある神殿型ダンジョンで、現在103階層まで攻略されているらしいが、最下層までは、まだまだ深いらしい。
神殿型っと言われ、ピンっとくる人も少ないくないだろうが、外からの見た感じは、小さな教会なのだが、その教会は神殿の尖塔部分に過ぎなく、その奥に深くの地下にまで神殿が建っているようなダンジョンで、建物の中なのだが、湖もあったり、木が覆い茂っていたりと、ちょっと風変わりなダンジョンらしい。
他のダンジョンを抱えている街はどこも同じようだが、ダンジョンから出るお宝や魔獣のドロップアイテムを求めて、冒険者が流れてくる。そして、商人や職人たちが彼らの需要に応えるように、街に集まる為、ダンジョンをかける街はどこも栄えている。
つまり、ダンジョンありきの経済になりがちなのである。
このまま、ここのダンジョンの魔獣が居なくなってしまったら、クワッツの街は寂れていくのだろうか。そもそもダンジョンって枯れるのか?
ダンジョン主を倒し、最下層にあると言われているダンジョンコアを叩き潰すと、ダンジョンは崩壊すると言われているが、半ばおとぎ話のような話だし、しかも、最下層に到着したって話は、今まで聞いた事がない。
もし、最下層に到着したのならば、その冒険者達は、ギルドに報告を忘れたとしても、間違いなく、大っぴらに自慢するだろう。それこそ、金印どころか白金を飛び越えて、英雄とされるミスリル印になれるチャンスだってある。
そもそも、もし、ダンジョンコアを潰され、崩壊するのであれば、こんなに時間をかけて、じわりじわりと枯れずに、一気に崩れ去るのだと言われている。
わからないなぁ...。
「暇じゃのう...。」
ライガは頭の中で、思考を巡らせていると隣からアウグストの声が聞こえ、考えるのを止めた。
「そういえば。最近、幼女を連れた冒険者って、見かけませんでした?」
「幼女を連れた冒険者?いや、見とらんね。そんな幼い子供を連れて、危険なダンジョンになんか潜らんだろう。」
「そうですよねぇ。」
「まあ、そんな奴、この辺にうろついておれば、目立つじゃろう。」
やっぱり、見てないのか。
まあ、アウグストさんも、ずっとダンジョンの入り口に張り付いているわけじゃないしな。
「そうですよねぇ...そうそう、丁度あの位の女の子なんですが... あ」
「ん?」
「いた―――――――!」
と叫んだと思ったら、ライガは一目さんに森へと走っていった。
「なんじゃ?」
あとに残されてしまったアウグストは、走り去っていったライガを見ながらポカンとしていた。




