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21_幽霊屋敷_1

ライガは、マーサが「子供が待っているから帰る」と言った時点で、なぜ自分も帰ると言わなかったのかと、昨日の打ち上げの後悔をしながら、二日酔いで頭がガンガンする中、昨日の昇給試験の残務業務に励んでいると、ギルマスの部屋に呼ばれたのだった。


「ライガ、悪いが、アンデット討伐に出てくれ。」

「は?」

「アンデット討伐に出てくれ。」

「聞こえてますよ。なぜ職員の私が?クエスト課に依頼を出してください。」

「いや、この街で今、確実にアンデット倒せるのお前だけなんだ。」

「急ぎですか?」

「まあな。お前、今朝馬車で来たお仁のこと聞いてるか?」

「あー。」

と言いながら、大層立派な馬車がギルドの前に泊まっていたのを思い出していた。


ってことは、貴族か豪商の依頼か。


「さる貴族のお屋敷の一つがな、しばらく使っていなかったらしいんだが、急遽使われる事になってな。準備をしようとしたら、どうもアンデットがいるようで、近寄れないから、頼むと言われてな。」


「珍しいですね。こういう時って、教会に頼りそうですが。」

「お前は、どう診る?」

と試すような顔をしてギルマスは、ライガに問いかける。


「前情報がなさ過ぎてあれですが、お布施をケチったか、依頼主に薄暗い所があって、バレるのが怖くて、うちに頼ったか、教会に討伐できる人が今いなくて断られたかって、あたりですかね。」


「おっ良い線いってるじゃねえか。正解は、一番と三番の複合だ。」

「はい?」

「最初、教会に持っていって、教会の助祭が討伐に行ったらしいんだが、駄目で、その上の司祭じゃないと討伐できない、しいては追加のお布施をよこせと言われ、依頼者は話が違うと怒って、うちにお鉢が回ってきたらしい。」

「えー。それって、うちが受けてしまったら、教会に睨まれませんか?」

「大丈夫だ。その肝心の司祭様は現在大切な会議で王都に行っている。依頼者は、急いでいるから、司祭様の帰りは待てない…という所で調整しようとしている。」


「...。」


オイッ!調整しようとしている...ってことは、まだ調整しきれてねぇじゃねえか!


「よって、急ぎ解決する必要がある為、いつ現われるかわからない遠くの冒険者を待たずに、近くの身内に頑張ってもらう必要がある!」

「...。はぁ~。依頼内容を詳しく教えてください。」

「良く言った!ライガ!俺はお前が誇らしいぞ!」


全く調子が良いんだから...。


「内容によっては、臨時ボーナスの増額を請求しますからね。あと、教会の調整もしっかり頼みますよ。」

「ぉぉぉぅ。」


さて、どうしたものかな。

そもそも情報がなさすぎる。

教会の助祭が言って駄目だったってことは、結構、強力なアンデットだよな。

腐っても(いや、腐ってないけど)教会だ。

事前準備はちゃんと行ってからお祓いに行くだろうし。

とりあえず、教会に行って聞いてくるか。

政治的な所は、上の問題だし、多少下っ端なら(現場担当)事情を聞いても大丈夫だろう。


とライガは、先ほどまで手を付けていた試験結果のまとめ資料の切りの良い所まで終わらせると、冒険者ギルドを出て、教会へと向かった。


北門の方角とは逆の右方向へと行き中央広場へと向かう。


中央広場は露店が出ていたり、お祭りの時は、みんなで集まってダンスをしたりと市民に愛されている場所である。


そして、その中央広場の真ん中に大きな大聖堂が経っている。


小さな教会もこの街にいくつか散らばっていて、だいたい街の住民は自分の住んでいる所の近くの教会に行くことが多い。つまり、街の中央にある大聖堂は、クワッツとその周辺地域の教会の統括的な役割を担っていると言えるだろう。


ライガは大聖堂に到着すると、来訪者の対応をしている受付の信者のおばちゃんにラフェイロ助祭の面会を申し込んだ。

聖堂の椅子に腰かけ、この国で信仰されている二柱の神をモチーフのステンドグラスをぼんやり眺めながら、待っていると、30代手前位の男性が出てきてライガに声を掛ける。


「久しぶりですね、ライガさん。」

「お久しぶりです。ラフェイロ助祭。」

「君がここに来たという事は、例の件、やはりそちらに行ったのですね。」

と助祭は申し訳なさそうな顔をする。


「ええ。何の前情報もないので、少しお伺いできないかと思いまして。」

「構いませんよ。我々の不始末をあなたに押し付けてしまっているようなものですし。本当に申し訳ない。」

「いえいえ、助祭。顔を上げてください。

お祓いに言った方、大丈夫でした?」

「ええ。一人は意識が混濁していて、もう一人は、足に大けがをしておりますが、命に別状はないのでご安心を。」


おいおいおい。

それって、全然、大丈夫じゃないだろう!


「今回、私は参加していないので、又聞きになってしまうのですが。」と前置きしてラフェイロ助祭は、今回の調査に関して話始めた。


「我々が最初に調査した際、数匹のスケルトンを発見しました。ものすごく弱いというわけではなかったのですが、私達助祭レベルでも問題ないと判断し、実行部隊に引き継いだのですが、結果はご存じの通りです。」


「中にいたアンデットの構成は、変わっていたのでしょうか。」

「足に怪我をした者に確認した所、下見の時に比べスケルトンの数が増えていたようですが、リッチのような大物はいなかったと聞いております。」

「大物がいないのに、一人意識混濁って一体中で何があったのでしょうか?」

ライガは助祭に問いかけたが、助祭は顔を横に振るばかりだった。


これ以上は情報がないか...。

ライガはとりあえず聖水を数本購入し、問題の屋敷を外から見ようと向かったのだった。

もちろん聖水の領収書はギルド宛に貰っている。



今週から一日一話更新になります。

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