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ペンでセカイは廻らない~魔法の石を生み出す力を得た青年が、二重人格少女と冒険する話~  作者: 洞石千陽
第三章『キャストユアシェル─殻を破ったそのあとで─』
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第三章-4『議会』

「国防兵マルコ。議会の召集に応じ、参上仕りました」


 入室したマルコが、正面の円卓──の、そのまた先に鎮座する女性に向けて跪く。キヨシもそれに合わせようとすると、「アンタはいいの」とカルロッタが服の襟を引っ掴んで止めた。礼儀作法はさっぱり故、大人しく従う他ない。


 それはともかく──キヨシたちの方を見やる、円卓に着いた者たち。彼らこそが先程聞いた『各分野のエキスパートたち』、そして議会を構成するメンバーのようだ。老若男女様々だが、キヨシたちを見る目は皆同じで、値踏みされているような感覚に陥ったキヨシは閉口する。


 だが、そんな中でも円卓の向こうにおわす少女の目は、どこか純朴な感じがした。カルロッタのような金髪に、この王宮と同じく白を基調とした装い、そして頭上に輝く冠──見紛うはずもない。彼女こそ、この国を治める"王女様"なのだ。


「ご苦労であった、マルコ・フライド。彼等を伴い、前へ」


「はッ……諸君、こちらへ」


 これまた大人しく従い、マルコについて円卓の中心へ。円卓内に進入する際に軽く会釈したところ、丁度通りかかった位置に着席していた老人が目尻をヒクつかせたような気がしたが、食ってかかるような真似はせずに、ただ言われるがまま、促されるままを貫いた。


【うぅっ……】


 ──俺も嫌いだよ。こーいう"集団面接"みてーなのはな。


 四方八方から刺すような視線を浴びせられ、ティナは楽な表情のセカイの裏側で、恐れおののいている様子。キヨシもまた、元いた世界の『嫌ー』な思い出が蘇り、『やっぱり手を繋いでいてもらった方がよかったかも』などと考えるくらいにはテンションが低くなってしまっていた。


 そんな一行を他所に、"王女様"は席を立ち、


「これより、『パトリツィア・レ・アティージア』の御名の元に、臨時の第二次アティーズ中央議会を執り行う。欠席者一名──規則により、欠席者二名以内の本議会は、有効とする。ただし、決議内容は欠席者である『ンザーロ氏』に通達後、承認と了解を得た場合のみ、即時有効とするものである。異議申立が出た場合、また後日に欠席者を交えた議会を執り行う」


 ──若いみそらで、しっかりやってんな。流石は"王女様"……てなもんだ。


 第二次、というのは恐らくキヨシたちが入国してから数時間の間に第一次があったということだろう。


 形式張った開会宣言だが、キヨシからすればそれすらも立派に思えた。外見から察するに、王女様──パトリツィアは恐らくキヨシやカルロッタよりも一回り年下と思われるが、その若き身で国を背負って立とうという"姿勢"は、大いに見習うべきものだ。実際にできるかどうかは別として。


「では、始める。マルコ・フライド、早速ですが、聴取内容を共有を」


「はッ。ではまず僭越ながら、ここまでの経緯を皆様御承知の上のことと思いますが今一度。その後、この者たちからの簡易的な聴取内容の説明をさせていただきます」


 オーダーを受けたマルコが取り出したるは、愛しのジーリオより受け取った、聴取内容のメモ。


 ここからが、キヨシたちにとっての本番だ。


「まず、事の始まりは三日前。ンザーロ氏の畑に、燃え盛る巨大なソルベリウム片が落着し──」


「マジィッ!?」


「──────!!」


 ──あ、ヤベッ……。


 開幕にブッこまれた、心当たりのあるアイテムについての話を聞いたキヨシは、早くも驚愕の余り大声を上げてしまった。議会内が一瞬ざわめいた後、王女パトリツィアは咳払いをして調子を整えつつ、


「……失礼、私語を慎んで頂きたい」


「あ、ハイ。すいませんでした」


「フン、ヴィンツの国民は、落ち着いて待つこともできんのかね」


 ボソリと聞こえてきたのは、先程円卓の中心へと入る際、キヨシに対し明らかな悪感情を露わにした老人の声だった。


「二席、王女様の御前だ。それに王女様は私語は慎めと仰られた」


「……失敬。マルコ・フライド、報告を続けろ」


「は、はい」


 老人は隣の卓に着く中年の男性に注意され、()()()()()()()()()()()()マルコに続きを促す。


「……して、そのソルベリウムはいくつかの調査結果と目撃証言から、宇宙の彼方から飛来したものではなく、地上にあった物が飛ばされ、地球へと落下してきたものと推測されました。そのソルベリウムは、とてつもない量の『火のチャクラ』を含有しており、また落下してきた方向は、ヴィンツェストが位置する方角と一致。そこから、『ヴィンツェストにて開発された新兵器から発射された砲弾なのでは?』との疑惑が上がりました」


 ──オイオイ、拗れ過ぎっつーか曲解し過ぎだろそれ、"パリ砲"じゃあるまいし! ロンペレの野郎、こんなとこでまで足引っ張りやがって!


 マルコの言う、『燃え盛る巨大なソルベリウム片』──キヨシだけでなく、身内全員それには心当たりがあった。恐らくキヨシが声を上げなかったら、他の誰かが上げていたかもしれない。


 そのソルベリウムはほぼ間違いなく、オリヴィーにてキヨシがマグマを砂漠に誘導した際に生成したソルベリウムの破片だ。よもやこんなところまで飛んできているとは思わなかったのだ。本来作る予定のなかったソルベリウムだったが、ロンペレが状況を引っ掻き回したせいで、そうせざるを得なかった──そう考えると、キヨシは非常に腹立たしく思えてならなかった。『くたばってなお、迷惑な野郎だ』と。


「やや突飛な意見ながら、ヴィンツェスト側から飛んできたことは事実。よって、一ヶ月の間港に配置する国防兵を増員し、警備を強化。及び次弾が着弾する可能性を考慮し、国防兵マルコ・フライド──つまり僕を配置し、飛来する物体を撃墜する……という手筈でした。ただ、余りに予想外だったのは、その飛来物自体が彼等だった、という点」


「そうだ、彼等は何者なんだッ!」


「大体、あの空を飛べる乗り物は一体なんだというのだ! それこそ、ヴィンツの新兵器では!?」


 議会内の誰もが口々に問おうとするのは、とにかく『キヨシたちの素性』、そして『空を飛ぶ乗り物』についてだ。それも当然と言えるだろう。人間誰しも、得体の知れないものには恐れおののく。そして正体を知ることで、安心を得ようとするのだ。


「静粛にッ!!」


 混迷を極めようとする議会に、王女の声が響き渡る。すると騒がしかった議会すっと静寂が戻った。王女よりも遥かに歳を重ねた者たちですら従ったところを見るに、それなりの求心力も持っている──『張子の虎』や『傀儡』の類ではないようだ。


「経緯についての説明、感謝する。聴取内容について報告なさい」


「はッ。まず結論から申し上げれば、彼等はこの国への"亡命希望者"となります」


「亡命希望?」


「彼等はヴィンツで言うところの『考古学』を志す人間で、皆様も御存知の通り、ヴィンツにおいてそれらは忌避され、謂われない迫害を受ける存在。それに嫌気が差し、彼等はこのアティーズの国民になるべく、こちらへやってきた……これが彼等の言い分」


 こうしてあっさりとキヨシたちの素性について明かされると、再び議会内はにわかにざわつき出す。あるものは何やらメモを取り、またある人は隣りにいる人と話しているようだった。


「聴取内容としましては、以上となります。より詳細な事柄は、当人より」


「よく分かった。それでは貴公等について、お聞かせ願う」


 ここまでの話の流れから、キヨシは『俺は、余り喋らないほうがいい』と判断した。何せ、素性が明かされたと言っても、キヨシはそもそもヴィンツェストの国民と偽っている。というかそれ以前に、この世界の人間ですらない。そのキヨシが主体となっては、恐らくどこかでボロが出て話がややこしくなる。その辺りはカルロッタも承知の上だったらしく、キヨシが目配せするとカルロッタは頷いて一歩前へ。


「……アタシの名前はカルロッタ。特別と身分のある者ではありませんので、アティーズの皆様と違い家名はございません。こちらは妹のティナ、そして同行人のキヨシ。我々は、先程マルコ様が申し上げました通り、この国への亡命を希望します。そのために必要なことでしたら、お申し付けくだされば可能な限り、何でも応えます」


「そうか。それではこの者たちに、聞きたいことがある者」


「よろしいでしょうか?」


「……どうぞ」


 明らかに警戒をしているカルロッタに対し、正面の卓についていた女性が『怖がらないで』とでも言わんばかりに、微笑みかける。


「中央議会四席、『セレーナ・セラフィーニ』です。貴女方が乗ってきたという空を飛ぶ乗り物……あれは、どのように運用しているのですか?」


「風のチャクラを用いている、というところまでは私からお話しできます。それ以上のことは、関連技術をアタシたちにもたらした、こちらのキヨシにお尋ねください」


「ちょっ、そこで俺に振る!?」


 突然対象を擦り付けられたキヨシは不満気に悪態をつくが、カルロッタの言い分がもっともなことと、この場にいる全員の注目が自身に集中してしまい、緊張の余り反論する気は完全に失せてしまった。


「……えー、風のチャクラを用いることで、相対的に超高速で空気にぶつかり、上向きの力を得て──」


 キヨシは端的に、且つできるだけ分かりやすく──どういう反応が返ってくるか半ば分かっていながら解説した。が、皆怪訝な顔をするばかりで、誰も理解できないようだ。以前ティナたちに説明したときもこんな反応だったため、予想できたのだ。質問者のセレーナは、未だにこやかな表情を崩さないが。


「……今この場で、満足の行く説明は難しいと思われます。オリジナル……ああいや、大本が入国時のいざこざで破壊されてしまっているので。原理的なことを口で言っても、恐らく理解されませんし、信頼もできないでしょう。実物を新しく製造するか、図面を引き直して、その上で説明する必要があると考えます。カルロッタさんに伝授した際も、そうしました。ただ、どちらにしても皆様の協力なしには難しいでしょう」


「何故?」


「『生まれに恵まれず』……こちらの姉妹と違ってあまり高等な教育を受けておりません故、読み書きができんのです」


「では、最初の図面はどうやって引いたのでしょうか?」


「実はあの飛行機は二作目でして、元になった実験機があったんです。アレを改修しつつ、色々教えたという経緯があったんですね。なので、今すぐにというのはちょっと……」


 キヨシはこの世界の言語体型を理解しているワケではないため、文字列を見てもミミズののたくったような線としか認識できない。当然、理由に関しては適当なことを言っている。


 ──……………………。


【セカイさん?】


 ──ん、なんでもない。議会に集中しよ?


 キヨシがやや含みを持たせるように『生まれに恵まれず』と口走ったその時、ティナは今表に出ているセカイの心中に、ほんの少し影が落ちたような気がしたが、追求しようとするとなんでもないとはぐらかされ、終いには姿勢のダメ出しまで受けた。言い分自体は至極真っ当で、『聞かれたくないことなんだろうな』と思ったティナは、それ以上何も言わずにセカイの言う通りに姿勢を正す。


「つまり、『亡命が認められ、晴れてアティーズの国民となることができれば』……そういうことですね?」


「ッ……そこまで邪なことは考えていませんが、結論だけ言うのであれば、そういうことになります」


「話にならん」


「──!」


 キヨシとセレーナの間で最終的に出た結論に対してそう吐き捨てたのは、キヨシに悪態をつき続けていた『セシリオ』と呼ばれていた老人だった。


「中央議会二席、『セシリオ・フライド』だ」


 ──『フライド』……それでさっき、マルコさんの反応が違ったのか。


 先程この老人がマルコに話の続きを促した際に、マルコが見せた反応はパトリツィアへのそれとは明らかに違っていた。恐らく身内間での距離感がダイレクトに出たのだろう。


 納得するキヨシたちだったが、そのキヨシたちにセシリオは容赦ない質問を浴びせる。


「亡命を真に望むのであれば、何故アティーズに堂々と入国しなかったのだ? そのための仕組みはこの国に、いやヴィンツェストにすら存在するはずだ。それをせず、空から得体の知れぬ方法で入国するなど、『疚しいことがある』と言っているようなものではないか……欠片程も、信用できぬ」


「疚しい……的を射た表現かもしれません。このご時世、私のような考古学を尊ぶ思想を持つ者は、社会から爪弾きにされているも同然。故に、その仕組みを利用せず、ヴィンツ国教騎士団にも気取られない方法で、祖国を出国致しました。我々が用いた乗り物──飛行機についても、その手段以上のことは誓って、何もございません」


「……入国方法については、それで良しとしてもだ。読み書きもできぬ者が、その飛行機とやらの開発に携わり、完成させ、運用までするというのは、いささか不自然ではないかね」


「そ、それは……」


 嘘というのは性質の悪いもので、どう取り繕おうとも必ずどこかで綻びが生まれてしまう。一つ一つ、無難な答えを用意しているつもりでも、最後の最後でキヨシの出自についての嘘が足を引っ張ってしまっていた。


 にっちもさっちもいかなくなって、いっそのことオリヴィーでやったように『ソルベリウム生成能力を誇示する』といった形で力を示し、議会を従わせるという方法も考えたが、思いついて二秒と経たず、早々に見切りをつけた。実際に行動を起こせば、確実にキヨシたちは今この場で、少なくとも今すぐ傍にいるマルコと戦うことになるだろう。キヨシの力も、この国では恐らくただの脅威としか認識されない。


「……やはり、ヴィンツェストの国民など、信用に値せんな。諸君、これ以上の聴取は不毛ではないかね? そも、本人に聞こうということ自体が無駄といえば無駄のなのだ。ヴィンツェストの当局に問いただせばよいのだからな……時間はかかるだろうが」


「──ッ!」


 返答に困り黙りこくっていると、セシリオはやや強引に質疑応答を打ち切ろうとした。言い方は非常に刺々しいが、言っている事自体はもっともだ。


 ──最悪だ。んなことされて、俺たちが向こうでお尋ね者なのが知られでもしたら、強制送還も辞さなくなるかも……いや、それ以前に『"キヨシ"なんて国民は存在しない』ってことが割れて、収拾つかなくなる! だからといって、それを止める口実も存在しない……。


 そしてその綻びは、いつか大きなほつれとなる。


「カルロッタさん」


 刺すような痛い空気の中、パトリツィアが静かに語りかけた。


「確かに、アティーズは貴女の生業である考古学に対する制限も偏見もない。調べたければ、いくらでも調べればいい。土を掘りたくば、いくらでも掘ればいい。しかしあなた方は紛れもないヴィンツェストの国民で、ヴィンツェストはほんの十数年前にアティーズと戦争状態にあった国。そういった者を忌避する風潮は、誠に遺憾ながら存在すると言わざるを──」


 ──言葉は選んでるけど、王女からも全く信用されてねえ……どうする?


 明らかにキヨシたちの旗色は悪い。このままでは間違いなく一行の亡命は認められない。ヴィンツェストに問い合わせ、答えが出るまで拘留された後、強制送還されるところまで、この場にいる誰もが考えていた。キヨシもカルロッタも諦めずに状況を注視し、解決の糸口──突破口を探していたが、


【……皆、『取引』してる】


「ん?」


 その中でもただ一人、ティナだけは全く違うものを見ていた。


【セカイさん、心でお返事ください。どうか、代わっていただけませんか?】


 ──ほえ? 交代?


 ティナは何を思ったか、自分に身体を明け渡すようにとセカイに要求してきた。セカイが意図を測りかねているのを感じ、ティナはこの状況に対する見解を語る。


【今ここにいる人たちが考えていること、なんとなく分かる気がします。お互いがお互いの目的を達成するために、相手の出方や考えを探ってるんです】


 ──そりゃあ、まあ。特にあのセシリオとかいうおじいちゃんはなんだか当たり強いし、それくらいは私にも分かるもん。


【けど、多分……それじゃダメなんです】


 ──ダメ?


 今、キヨシとカルロッタは目の前の困難を打破するために、あれこれと考えを巡らせているが、その姿勢自体をティナは『良くない』とした。


【キヨシさんもカルロも、相手にこっちの要求を認めさせようとしてる感じがして。丁寧に話してるのはご機嫌を取るためですし、話を聞くのは粗を探して隙を突くため。そういう……言い方は悪いですけれど、"騙し合い"を、王女様は望んでいないと思うんです】


 ──なして?


【先程王女様が言っていた、『国の風潮』のくだりは、セシリオさんが言っていた『ヴィンツェストの国民を信用できない』を柔らかく言い直しただけ。セシリオさんとキヨシさんたちの間にある刺々しい雰囲気を和らげるために、国の長としての立場も考えて、発言した──なんというか、王女様は心にもないことを言っているような気がします】


 ──ほうほう。それでそれで?


【えっ】


 ──んー、ゴメンねティナちゃん。柔っこい言い方にしたっていうのは分かったけど、どうして王女様が『心にもないこと言ってる』って思ったのかなーって。


 矢継ぎ早と、しかしばつが悪そうに問い詰め続けるセカイ。それに対するティナの答えは、正直な所自信のあるものとは言えなかった。


 だが、ティナは『自分の考えはちゃんと伝えなくては』と、意を決する。


【……キヨシさんがさっき、『生まれに恵まれず』って言ったとき。ほんのちょっとだけ……王女様が悲しい顔をした気がした、というだけ。もしかしたら……王女様はとっても、優しい人なんじゃないかって、思ったんです。だから……】


 そう、先程キヨシが適当に並べ立てた物言いで、心に影が落ちたのはセカイだけではないように思えたのだ。誰もがキヨシとセレーナに注目していたのを他所に、ティナは唯一人、最奥で悲痛な面持ちをするパトリツィアを見逃さず、こう推論した。『心優しいパトリツィアが望むものは、この騙し合いの中にはないのでは』と。


 とはいえ、それはあくまでティナの主観で塗り固められた、脆くか細い理。それに一行の命運全てを預けるというのは、非常に危険な賭けと言わざるを得ない。


 だが、セカイは──いや、キヨシたちは皆、一度はティナに命を救われた身。信じるに十分だ。


 ──……フッフーン、OK! ティナちゃんに任せた!


【あっ、でも! 絶対にそうとは言い切れなくって、気のせいかもしれなくって……】


 ──自信持ちな!


【──!】


 慎重なティナは自分の意見を全肯定されると途端に萎縮し、懸念事項を並べて一考の余地を与えようとする。無論、それは皆の身を案じてのことだが、ティナが言った懸念事項など、セカイにとっては些細なことだった。


 ──ティナちゃんの見る目は信頼度抜群なんだから! なんたって、あのきー君を助けて、一緒に冒険しちゃうくらいですしー。


【……それ、なんだかキヨシさんに失礼じゃないですかっ】


 ──にししッ、私たちの仲でそいつは言いっこナシだよん!


【もう……フフッ】


 キヨシのこととなるとムキになるティナを見て、セカイは『からかい甲斐があるなあ』と笑い、ティナもまた笑みを零す。


 ティナは再び、ほんの少しの勇気を分けてもらったのだ。


 後は、事を成すのみ。


 ──それじゃ……頑張って!


【はい!】

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