第12話：続討伐準備
エリスが討伐準備を進めている兵士達の様子を見てわまっている。その後ろをヘラクレイオスがついてまわる。
いいかげん鬱陶しくなってエリスが口を開く。
「ねぇ、いつまでついて来るつもり？ 」
「そこは、ほら護衛のようなもんだろ？ つかず離れずってやつだよ」
ヘラクレイオスがそう言って胡散臭い笑顔を向けるとエリスは、溜め息をつく。
「なあ、嬢ちゃん。そう邪険にしないでさ。仲良くやろうぜ」
「嬢ちゃんなんて呼ばないでよ。エイリアスって名前があるの」
「ああ、わかった。エイリアス」
そう言ってヘラクレイオスは、再び胡散臭い笑顔をエリスに向ける。
エリスにはわからなかった。どうして、何の感情も浮かんでこない無機質な笑顔を浮かべる事ができるだと不気味に見えたのだ。
「それで、ヘイオスは幾らで雇われたの？ 」
そうエリスに問われて、ヘラクレイオスの笑顔が消えた。突然愛称で問われたからではない。雇われた値段を聞かれからである。ヘラクレイオスは、少し考えてから、思考のギアを一段階上げる事にした。
「そりゃ、大金ですよ。金額は、勘弁してください。それにあなたを生還させれば、更に倍額出すってんだから、あの王子様には感謝しかないですなぁ」
「そう。そう言う事なら、腕が立つんでしょ？ 少し相手してよ」
「ちょっ、止めましょうや。こんな所で。それに目立ちたくない」
ヘラクレイオスは、慌てた様子で両手を振って、エリスをなだめようとする。
エリスは、残念そうに右手をショートソードの柄から離した。
「残念」
「そんな事より、もっと建設的な話しをしましょうや」
ヘラクレイオスは、話題を変えようと突然そんな事を言い出した。
ヘラクレイオスは、兵士達の討伐準備を一瞥するとエリスに向き直り口を開く。
「ずいぶんと小規模だと思いませんか？ こんな戦力では、大きな被害がでるか失敗すると思いますね」
「ヘイオスもそう思っているのね」
「ええ、何か裏があると思います」
エリスは、少し考え込むと閃いたとばかりに笑顔をむけた。
「ねぇ、ヘイオス。お願いがあるんだけど」
エリスの猫なで声と笑顔にヘラクレイオスは、たじろいだ。
「一応、話しだけでも聞きましょう」
「ちょっ、止めましょうや。こんな所で。それに目立ちたくない」
ヘラクレイオスは、慌てた様子で両手を振って、エリスをなだめようとする。
エリスは、残念そうに右手をショートソードの柄から離した。
「残念」
「そんな事より、もっと建設的な話しをしましょうや」
ヘラクレイオスは、話題を変えようと突然そんな事を言い出した。
ヘラクレイオスは、兵士達の討伐準備を一瞥するとエリスに向き直り口を開く。
「ずいぶんと小規模だと思いませんか？ こんな戦力では、大きな被害がでるか失敗すると思いますね」
「ヘイオスもそう思っているのね」
「ええ、何か裏があると思います」
エリスは、少し考え込むと閃いたとばかりに笑顔をむけた。
「ねぇ、ヘイオス。お願いがあるんだけど」
エリスの猫なで声と笑顔にヘラクレイオスは、たじろいだ。
「一応、話しだけでも聞きましょうか」
エリスがヘラクレイオスにお願いしたのは、討伐に参加する兵士達からの情報収集である。
兵士達の間でまことしやかに語られる噂は、とても重要な情報を含んでいる事が多い。
その情報を精査して、真実に近い情報をつなぎ合わせて、情報の裏を取るのである。
ヘラクレイオスは、兵士達から情報収集してエリスの元に戻ってきた。
「エイリアス。色々わかった事がある」
ヘラクレイオスが持ち帰った情報を要約すると下記の事がわかった。
１、盗賊団の拠点に近い領主が約100名ほどの兵を出す手筈になっている事。
２、その領主は、王族派の人物であること。
３、討伐部隊を指揮するのは、ベリサリウス家の腰巾着と呼ばれるゲリメルと言う人物。
「ねぇ、その領主は、兵を出すと思う？ 」
「出さないかもな。盗賊団討伐を計画したのは、ベリサリウス家に連なる貴族達だと聞いている。貴族派の手柄になる討伐には、兵を出したくないよな」
その言葉を聞いて、エリスは、げんなりとした表情を浮かべた。
それにもう一つ気がかりがある。討伐部隊を指揮するゲリメルと言う人物の事である。
貴族派の中では、かなりの有名人である。悪目立ちする言動が多く、ベリサリウス家の力を盾に好き放題しているイメージがあるのだ。
「うぐぅ、あったま痛いなぁ。この討伐、不安しかない」
「まあ仕方がないだろう。何かあれば、俺に頼れば良い。出来る限り協力しよう」
ヘラクレイオスは、そう言ってニヒルに笑みを浮かべた。
