3話
一緒に暮らさないか
そう提案してきたにもかかわらず、姉の中ではすでに同居は決定していたらしい。一緒に暮らしていた時ではありえないほど、有無を言わさず強引に事を進められた。
お義兄さんの制止も聞かず、私の意見も聞かず、退去手続きや引っ越し作業などをあっという間に終わらせてしまった。
今現在、気づけば私は姉夫婦が暮らす一軒家で同居をしていた。
特にやる事もなくベッドに座ってぼんやりとしていると、コンコンとドアをノックされた。
返事をしてドアの方を確認すると、何かを手に持った姉が入ってきた。
「…?」
「これね、1年ほど前に発売されたVRMMOで、今もすっごい人気なの」
「・・・『World of Almatia』?」
昨今発売されているVRMMOの中でも最先端のAIを搭載し、NPCも表情豊かで会話も自然に表現されており、本物の異世界といっても過言ではない出来栄えなんだとか。ゲームとしてもしっかりしており、人の監視だけでは限度があるゲーム内でのモラルの欠けた行為や犯罪行為などへの監視なども徹底している為、民度はとても高いらしい。
「今は・・・ちょっと…」
「分かってる。ゲーム、全然触ってないし、やる気も起きないんでしょ?」
あなたの部屋にあったゲーム機を見れば分かると、少し悲しそうな顔をする姉。
「ごめんね、強制するつもりはないの。といっても同居は強制しちゃったけど」
「本当にWorld of Almatiaは色鮮やかで、あの世界にいるだけで気分転換になるの」
「現実逃避がしたい!っていう時にはぴったりよ!ふふっ」
「そんなゲームだから、楽しいとか、嬉しいとか、面白いとか、悔しいとか…、そういう事をまた思えるんじゃないかと思ったの」
「ちょっと贅沢を言うとね…、昔みたいにまた一緒にゲームがしたい」
「もちろん、今すぐじゃないわ」
「けど、いつか…、いつかね…」
「お姉ちゃんと、一緒に、遊んでほしいな」
お読みいただきありがとうございます。
ようやくVRMMOの名前が出てきました。
次回からはいよいよVRMMOの世界メインでの話になり、現実世界での話は少な目でいきますので、よろしくお願いいたします。




