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もう姉妹には戻れない  作者: キノハタ
第8章 わたしとあなた

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第103話 はると私

 なんて―――。



 なんて、答えを返せばいいのだろう。



 泣きながら。



 震えながら。



 感情という感情を、両手いっぱいでぶちまけるかのような言葉を零して。



 あなたは私を、じっと見ていた。



 そんな眼で見ないでよ―――揺らいでしまうから。



 そんな声で訴えないでよ―――泣きそうになるから。



 そんな想い、見せつけないでよ。



 縋ってしまい―――そうになるから。



 わかってる、こんなの、ひなの刷り込みと変わらない。



 たまたま、目が覚めた時に、隣に居たのが私だっただけ。



 お義母さんでも、琥白でも、白乃さんでも。



 隣に居た誰かが、大事にしてくれたら、きっと今のはるは同じようなことを想ってたはず。



 ずっと、大事にされてこなかった、小さな子どもが、初めて誰かに手を握られたから。



 それが、世界の全てだと、想ってしまっただけ。



 だから―――。



 「       」



 いなせ。



 「       」



 誤魔化せ。



 「       」



 縋るな。



 「――――――――――」



 泣くな。



 「――――――――――――っ」



 零すな。



 「―――――――――――っぁ」



 想いを。



 願いを。



 未練を。


 












 愛を。



 「っぁぁぁあぁぁぁぁぁ―――――――――」



 隠さないと、ダメなのに。



 「うぁぁぁぁぁああっああっぁ――――」



 止まらない。



 「ぁ――――――――――――――――」



 止められない。



 零れる雫も。



 崩れた言葉も。



 溢れるほどの泣き声も。



 なにも止められない。



 どうしたらいいの。



 どうすればよかったの。



 何も、何も。



 もう、わからないの。



 辛かったの、苦しかったの。



 悲しかったの、泣きそうだったの。



 あなたが、私を忘れたことが。



 想い出が、無意味になってしまったことが。



 あなたと、手を繋いだ、あの誓いの夜を。



 夜、たった独りで、想い出すことが。



 あの日、貰った、ささやかな、救いすら。



 全部、なかったことに、なってしまった、ような気がして。



 ねえ、はる。



 「黒江」



 名前を呼んで。



 「黒江」



 手を離さないで。



 「黒江」



 もう、独りにしないで。



 「黒江――――大好きだよ」



 あなたがいない、夜のベッドは。



 どうしようもなく、冷たくて、凍えてしまいそうだったから。



 私は、きっと。



 もう、ずっと。



 あなたなしでは、生きられなくてしまっていたから。



 泣きじゃくる私に、あなたは同じように涙を零しながら、じっと微笑んでいた。



 記憶なんてないはずなのに、本当は私なんかのこと、気に掛けてる場合じゃないのに。



 それでも、あなたは。



 私の手を、離さないでくれていた。



 ずっと、わかっていたこと。



 結局、私はもう、とっくの昔に。



 あなたから、離れられなくなっていた。



 「記憶なんて―――もういいの」



 「想い出せなくても―――もういいの」



 「私のことも、ずっと忘れた、ままでいいから」



 「そばに居て」



 「独りにしないで」



 「ずっと―――ずっと――――」



 「私の隣で笑ってて」



 「おねがい」



 「それだけで」



 「私はもう、それだけで――――充分だから」














 「愛してるの――――はる」















 誰もいない公園の。



 朝の冷たい、静けさの中。



 私達の泣き声だけが響いてく。



 寄り添うように、抱き合うように。



 灰色の空の下、吹きすさぶ風の中。



 そのぬくもりに、縋りあうように。



 私達は、互いの名前を呼び続けてた。



 きっと、もう、いつかの姉妹には戻れないけど。



 それでも、どうかと。



 まるで、何処かへ祈るみたいに。



 ただ、二人っきりで泣いていた。



 離れないで。



 そばに居て。



 あなたの隣に、私をいさせて。



 それだけで、幸せだから。



 だから、どうかと、祈ってた。



 顔も知らない神様に。



 ただ縋りつくように。



 あなたと二人で。


























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