反対派
「やぁ、またギール様だ。えっ?お前、10分の1計画の事、全部知ってるのかって?はっはっは、知ってるよ!えっ?教えろって?はっはっは、じゃ、グッバイ!」
「ガチャ」
ギールが面倒くさそうに腰にある剣を握り、揺らした時、剣から音がした…
「いいだろう… お前が北軍の都攻めの事を俺に教えればこいつらには何も言わない… 後はお前達で話し合え」
ギールはキーナにそう言った。
キーナはキューイを一瞬見て…
「分かった… 話そう… 都攻めの何が聞きたいんだ?」
キーナは怪訝そうにギールにそう言った。
ギールはキーナの近くに行き…
「北軍の都攻めは中央政府にとって最大の危機だった… そしてそれは中央政府の想定外の出来事だった… それはどう考えてもおかしいだろ?あの時、俺達が北軍を挟み討ちにしなかったら中央政府は潰れていたんだぞ?そんな事になればお前達の計画は全て台無しになっていたんじゃないのか?」
キーナにそう聞いた…
「確かにな… あんたの言う通りだよ… 計画通りならウチの都攻めはあんたの言う通りおかしな話だ… だが… ウチのブル最高司令官が実は反対派だと言ったらあんたは納得してくれるか?」
キーナはギールの目を見ながらそう言った。
「実は反対派だと?なるほどな… そう言う事だったのか… 」
ギールは納得した様にそう言った。
「都攻めの後、何度も王族関係者が北地区に訪れたよ、まるでブル最高司令官を見張るかの様にな… 」
キーナはそう言い話を続けた…
「そしてブル最高司令官の… いや… なんでもない… あんたの知りたい事は教えた… もういいだろ?」
キーナはギールを見ながらそう言った。
「いや駄目だ、もう1つだけ教えろ、これから北軍は一体どうするつもりなんだ?計画通りにするつもりなのか?」
ギールがキーナにそう聞いた…
「 …ブル最高司令官は反対派だ、それだけ言えばあんたには分かるだろ?」
キーナがそう答えた…
「そうか… 分かった… なら俺と同じ考えかも知れん… ここでお前達と遭遇した事はなかった事にしよう… アントレイヤの仇を討ってやりたいところだが、俺達はこれで引き上げる事にする」
ギールはそう言い、辺りを見回した後、キューイを見た… そして…
「お前との決着はいずれつける事にしよう」
ギールはキューイに向かってそう言った…
「いいだろう… 俺達もキーナに聞きたい事が山ほどある… あんたとはいずれ決着をつけようじゃないか」
キューイはギールにそう言った…
こうしてスペード師団は囲いを解き退却して行ったのだった…
スペード師団の退却の途中ヒゲの兵士がギールの横に馬を走らせながら…
「あいつらを見逃しちゃっていいんですか?」
ギールにそう聞いた。
「はっはっは、戦闘嫌いのお前が何を言う」
ギールがそう答えた。
「いや、そうですけど、あいつらを見逃したら中央軍の分が悪くなるんじゃないですか?」
ヒゲの兵士がそう聞いた。
「俺もな… 悩んでるんだよ… どっち側で戦うべきなのかをな… 」
ギールはそう言った。
「いや、それは分かりますけど… やっぱり私達は命令通りに動くのが筋じゃないんですか?」
ヒゲの兵士がギールを見てそう言った。
「分かっている… だが計画を知った時から俺はどうするべきなのか分からなくなっちまったんだよ… 何も知らないフリして北軍と戦うべきなのか… それとも… 」
ギールはそう言い言葉を詰まらせた…
ヒゲの兵士はギールの態度を察し…
「ギール師団長… まさか… 王族を敵にしようなんて考えてませんよね?」
ヒゲの兵士がギールにそう聞いたのだった…