Season2 見つかった小さな変化
いつも笑って、「大丈夫」と答える私、Ami。
友達と笑い、授業を受け、普通の学校生活を送っているように見える私には、誰にも言えない苦しさがあった。
「全season10」
翌朝。
私はいつもより少し早く学校に着いた。
教室にはまだ数人しかいない。
「おはよう、Ami」
後ろから声をかけられて振り返ると、A先生が立っていた。
「おはようございます」
「今日は早いね」
「たまたまです」
笑って答える。
昨日のことを思い出して、少しだけ気まずかった。
――大丈夫じゃないときは、大丈夫って言わなくてもいい。
A先生の言葉が頭から離れなかった。
でも、何を話せばいいのかは分からない。
話したところで、何かが変わるとも思えなかった。
「じゃあ、またあとでね」
A先生はそれ以上何も聞かなかった。
そのことに、私は少し安心した。
午前の授業が始まった。
先生の話を聞いているはずなのに、頭に入ってこない。
ノートを開いたまま、私はぼんやり黒板を見つめていた。
気づけば、手が止まっていた。
「Ami」
突然、名前を呼ばれて顔を上げる。
「ここ、分かる?」
「……はい」
慌てて答えたけれど、実際には何を聞かれたのかさえ分かっていなかった。
周りから小さく笑い声が聞こえる。
恥ずかしくなって、私は下を向いた。
休み時間になると、私は教室を出た。
向かったのは、保健室だった。
別に具合が悪いわけじゃない。
ただ、少しだけ静かな場所にいたかった。
「どうしたの?」
保健室のM先生が顔を上げる。
「……ちょっと休んでもいいですか?」
「もちろん」
M先生は理由を聞かなかった。
「そこ、座っていいよ」
私は椅子に座った。
時計の音だけが聞こえる。
「今日は静かだね」
M先生が笑う。
「はい……」
それ以上、会話は続かなかった。
でも、不思議と嫌ではなかった。
しばらくすると、M先生が温かい飲み物を置いてくれた。
「無理に話さなくていいからね」
その言葉に、私は少し驚いた。
「……先生って、何でも聞くんじゃないんですか?」
「聞くこともあるよ。でも、話したくないことを無理に話す必要はないと思ってる」
私はカップを両手で包んだ。
「……ありがとうございます」
その日の放課後。
M先生が職員室に戻ると、A先生と目が合った。
「今日、Amiが保健室に来ていました」
「やっぱり……」
A先生は少し心配そうな顔をした。
「何か話していましたか?」
「ほとんど話していません。ただ……」
M先生は少し考えてから続けた。
「『大丈夫』と言いながら、本当は大丈夫じゃないように見えました」
A先生は黙って頷いた。
二人は、Amiに何かを急がせることはしなかった。
ただ、見守ることにした。
そして私はまだ知らなかった。
私が何気なく訪れた保健室が、これから私にとって大切な場所になっていくことを。




