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戦いの終わり

今回は少なめです

「アンナさん!クロウさーん!無事ですか!?」


 白竜との戦いを終えた私は、アンナさんとクロウさんの魔力を辿り、大爆発が起きた林の中へと急いだ。

 木々を抜けた先の爆心地では、血だらけで倒れ伏すアンナさんと、ぼろぼろのクロウさんがいた。


「ごほっ、ごほっ。……あ、あ。メリアさん。そちらも勝ったのですね」

「勝ちましたけど、大丈夫ですかアンナさん!?ええっと、何か回復できるもの……!」

「お気に、なさらずとも大丈夫です。急所は外されていますから。ただ、聖属性が体を焼いている、だけで……」

「やっぱり大丈夫じゃないじゃないですか!ええっと……魔法、どうやって使えば……」

「おーい、こっちもボロボロなんだ。回復できるなら頼む……」


 先程体を乗っ取られた際の感覚を必死に思い出して、私は魔法を使う。


「ええっと……ダークヒール!」


 闇がアンナさんの体を包むと、傷口がすぐさま塞がっていった。


「……ありがとうございます、メリアさん」

「それじゃあ、クロウさんの方も……」

「おお、たのまぁ……って、何ぃ!?」


 ボロボロのクロウさんは何かに気が付いて、剣をとる。

 つられて、私とアンナさんもそちらを見ると、そこには無傷のパルデルさんがいた。


「なっ……あの爆発で無傷!?」

「そんな訳がないだろう。今此処に居る私は霊体だ」


 そう言うパルデルさんの姿は、確かに半透明に映っていた。


「死んでまで未だにどんぱちやろうってか?」

「私は死んでいない。トリアント教会の異端審問官として、蘇生契約を結んでいるからな。今はその復活待ちだ」

「んなもんあるのかよ……。おいメリア、アンナ。なんか霊体に効く攻撃方法あるか?」

「祝福された武器でもあればいいのですが……先ほどパルデルごと消し飛ばしましたね」

「霊体に効く技……うーん、死霊支配とか?」

「やめておけ。この身は既にトリアント神の加護を得ている。流浪神とはいえ、失敗すれば相応の反動を受けるぞ」

「命乞いにしか聞こえねーな」

「単なる事実だ」


 そんなやりとりをした後、パルデルさんは「そんなことより」と言って話し始めた。


「お前たちに伝えておくべきことがある」

「あーん?負け犬が遠吠えでも吐くのか?」

「そんな真似はしない。一つ忠告するだけだ」

「忠告?」

「こうして私が敗れた以上、トリアント教会にお前たちの情報が渡るのは避けられないだろう。穏健派も過激派も、より激しくお前たちを狙うはずだ」

「それは、例の予言のせいで?」

「ああ。ここから先は私のような異端審問官以上の、トリアント教会最高戦力……聖罰騎士がお前たちを襲うはずだ」

「聖罰騎士ぃ?地上における神罰の具現とか吹いているあれかぁ?」

「当然ながら実力は私以上のものばかりだ。何人かはそこの流浪神と戦えるものもいるだろう」

「それで、それを話してあなたは何がしたいんですか?」

「私に勝った以上、私以外には負けてくれるなよという話だ。秘蔵の白竜を撃破された以上、私ではもはやお前たちに手が出せん。聖罰騎士の戦闘規模では、死体からの蘇生も望めんからな。……ここからは、トリアント教会も本気で動くだろう。私が追っていた頃よりも過酷な旅になる。覚悟をしておけ」


 私はその言葉に違和感を覚える。まるで自分たちの旅路を応援するかのような言葉だったからだ。


「パルデルさんは、私たちを応援しているのか、止めようとしているのか、どっちなんですか?」


 パルデルさんは、それに少し考えて答えた。


「一つだけ言えるならば。そこのセレールの末裔……アンナに関しては、我々に保護された方が圧倒的に楽な人生になる。危険と分かっていても理想を追う無謀を、諫めたかっただけだ」


 消えかけのパルデルさんに、アンナさんは言う。


「余計なお世話ですよっ!っべーだ!」


 目と舌を伸ばし、ふん、と消えていくパルデルさんを見送った。


「……アンナさん、パルデルさんとは何時からの知り合いだったんですか?」

「……私の母が異端審問官に襲われた時、見逃してくれたのがパルデルです。その後、彼に捕まった後はろくでもないのと結婚させられそうになりましたがね」

「じゃあ、結構長い付き合い何ですか?」

「……そうですね。思えばクロウよりも過ごした期間は長かったかもしれません」

「おいおい、初耳だぞ。だからお前ら会うたびに口喧嘩してたのかよ」


「あと、そろそろ俺の傷治してくれ」「あっ、すみません!ダークヒール!」

 そんなやり取りを挟みつつ。


「さぁ、じゃあ出発するか。今どこらへんだ?」

「メリアさんが大分走ってくれたおかげで、結構距離が稼げましたね……これなら次の町まで明日の朝頃にはつけるかもしれません」

「私が二人を掴んで走れば……」

「私たち二人が吐しゃ物まみれになってもいいのなら許可しますが?」

「すっ、すんませんでした」

「次からは事前に行ってくださいね……本当に辛かったんですから」

「はい」

「おい、二人とも。そろそろ行こうぜ」

「はい。まずは街道にでましょうか」


 パルデルと白竜を退け、私たちは再び旅を再開した。

 けれども、うーん。謎も増えてしまった。私の体を乗っ取った、あの声は何だったのか?トリアント神の予言とやらは本当なのか?

 不安も悩みもたくさんあったけど、今は夜の中、二人と共に浴びる風が、戦闘で少し火照った体に心地よかった。

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