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第3話 考古学研究部

 考古学研究部。

 活動日は木曜日。

 活動内容は土器の復元と、年2回の発掘体験。


 土器って言っても古墳から飛鳥時代のもので、さほど貴重なものではないらしい。今の顧問がこの学校の生徒だった時に恩師だった教師が、趣味で作った部活で、部室の中にはいくつかの復元された壺や皿が飾られている。

 今の顧問である井上拓海いのうえ たくみ先生もかつての部員であり、今もごくごく個人的な趣味として顧問をしている。従って、部室に来る生徒がゼロの年も、なぜか名簿にはキッチリと5人分の名前があり、廃部になることもないとか。

 ……闇だ。



 放課後になって、そんな闇の力の蠢く部室へと、俺たちは向かっている。

「なあ、ゆずさんや。先生、やっぱり眼帯してるかな?あと、左手に包帯とか……」

「そっち系の闇じゃないと思うけどね」

 俺とゆずがいつものように話していると、高野さんが振り返ってにっこり笑った。

「イチローくんて、なんか面白いね!」

「だな。さあ、着いたぞ。ここが部室だ」

 高野さんの隣を歩く藤久保が、振りかえりもせずに相槌をうった。


 藤久保蓮ふじくぼ れん、こいつが成績トップの男だ。中三の模試だと、ゆずより少し上だった。噂によるとスポーツもそこそこできるし、メガネをかけた優等生タイプだが顔もまあまあいいし俺よりちょっとだけ背も高い。ちょっとだけな。

 くっ……相手に不足はねえ!

 まずはぎゃふんと言わせたうえで、ビシビシ鍛えてやるぜ!


 ちなみに俺はゆずには身長は勝ってる!やったね!



 少人数の文化部の部室は、別棟の1階に並んである。空き教室を二つに仕切った狭い部屋だ。中には長テーブルとパイプ椅子があり、壁際の棚には復元された土器と資料が整然と並んでいる。部屋の隅にはでっかい箱がいくつも置いてあり、その中には土器のかけらが無造作に入れられていた。

 きょろきょろと眺めていると、奥の方に座って、土器のかけらを眺めていた人に声を掛けられた。もっさりした頭で、黒縁メガネをかけてる40歳くらいの男の先生だ。



「……ん?どうしたの?今日は人数……多いねえ……」

「転校生が入部したいというので、連れてきました」

「山田一郎です」

「右田楪です。よろしくお願いします」

「……ああ。元気いいね。来週の実力テストが終わったら、土曜日に発掘作業するけど……行く?」


 なんですと!

 早速のイベントに、ワクワクしちゃう!


 そして、来週の月、火曜日は実力テストがある。本当だったら、テスト期間は部室は使えないはずだ。しかし考古学研究部は先生が放課後、ほとんど部室にいるので、部室の使用許可が下りるのだ。つまりここで勉強したら社会科質問、聞き放題だね!


「では……発掘については来週説明しようか。……入部届に名前を書いたら、えー、分からないことがあれば……藤久保君に聞いてね」


 のんびりした先生だな。

 発掘とかしてるから、気が長いんだな、きっと。


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